2023.09.07

世界のウェルビーング研究

デジタル メンタル ヘルスケア コンテンツの使用意向の決定要因とは 韓国の就職市場は競争が激しく、若者が良い職に就くためには高いスキルや経験が求められます。これにより、学生は将来への不安やプレッシャーを感じることがあります。また、高い学業や就職活動に集中するあまり、社会的な関係を築く時間が限られることがあり、社会的孤立感が生じる可能性があります。これらの要因により、韓国の大学生の間でストレス、不安、うつ病などのメンタルヘルスの問題が増加していると報告されています。

韓国の大学の学生と教職員278人を対象に、AIチャットボット「MyMentalPocket」を使用したデジタルメンタルヘルスケアコンテンツの利用意向に影響を与える要因を調査が調査されています。参加者のうつ症状レベル、知用性、仮想対話の相互作用が、MyMentalPocketの利用意向に対して重要で肯定的な要因として浮かび上がりました。また、女性の性別、若年層、デジタル技術を利用したうつ関連の特定の動機(コミュニケーションと情緒的サポート、情報収集とガイダンス、日常的な娯楽を求める動機)が、仮想対話の相互作用に対して重要で肯定的な要因として浮かび上がりました。仮想対話の相互作用と知用性が、知用性に対して重要で肯定的な要因として浮かび上がりました。この研究の結果は、AIチャットボットを利用して、特に女性や若年層のうつ症状や対人関係の困難を抱える人々がうつ症状の管理に役立つデジタルメンタルヘルスケアコンテンツを利用し、恩恵を得る手段としての有用性を示唆しています。

DY Park、H Kim Determinants of Intentions to Use Digital Mental Healthcare Content among University Students, Faculty, and Staff: Motivation, Perceived Usefulness, Perceived Ease of Use, and Parasocial Interaction with AI Chatbot, Sustainability 3 January 2023

ヘルスケア目的におけるウェアラブル端末の非利用者への導入について 南米の国であるチリにおいて、消費者がヘルスケアのためにウェアラブル端末を採用する要因を実証的研究によって明らかにされました。具体的には、チリにおいてフィットネストラッカーをヘルスケアの目的で採用する非利用者の消費者意向に影響を与える要因について提案し、検証しています。
研究手法として、テクノロジーアクセプタンスフレームワークUTAUT2を活用し、ウェアラブル端末の採用に関する概念モデルを開発・検証しました。データはチリのサンティアゴにおいて470人のウェアラブル端末の非利用者を対象にオンライン調査を実施して収集されました。
研究結果によれば、快楽的な動機、社会的影響、知用性が、チリにおいてフィットネストラッカーの採用意向に最も強い影響を与える要因であることが示されました。さらに、健康動機は知用性への影響を介して、消費者のウェアラブル端末の採用意向に間接的な予測因子となります。
実務的な示唆として、この研究は南米の発展途上国であるチリにおいて、消費者がヘルスケア目的でウェアラブル端末を採用する意向をより良く理解するのに貢献します。研究結果は、ウェアラブル端末の管理者や小売業者、公共政策立案者にとって有用です。
また、ウェアラブル端末がヘルスケア目的において広く成長し重要性を増している中で、特に南米地域に関する学術研究はまだ少ないため、この提案されたモデルと結果はこの研究の隙間を埋めるのに寄与します。理論的および管理上の示唆だけでなく、公共政策への示唆も議論されています。

Constanza Bianchi, Sven Tuzovic, Volker G. Kuppelwieser Investigating the drivers of wearable technology adoption for healthcare in South America Information Technology & People21 March 2023

前向きな健康行動を取り入れ、維持するために ライフスタイル医療の実践において、対人コミュニケーションスキルを活用することで、患者が健康的な行動を受け入れ、維持することを支援する方法について検討します。食事改善や運動開始など、ポジティブな健康行動の採用と維持を支援するための根拠に基づくスキルを取り入れた2つのアプローチをレビュー。モチベーショナルインタビューと簡潔な行動計画(BAP)です。

モチベーショナルインタビューは、共感、受容、連携、および権限のある環境で行われる4つのプロセスを含みます。まず、「患者との関わり」では、アクティブリスニングと共感的コミュニケーションといった「関係性」のスキルが使用されます。次に、「焦点を当てる」では、患者の関心、期待、欲望の全てを引き出し、協力的なアジェンダを交渉します。3つ目は、「動機づけを引き出す」で、独自の革新的なスキル(例:「持続的話し」の軟化、「変化の話し」の育成など)を使用して、自己変革に対して複雑な感情(または抵抗)を抱える患者の内在的動機を高め、より健康的な行動を選択するよう促します。最後に、「変化の計画」では、共同目標設定のスキルを活用し、患者が具体的な健康の行動計画を立てるのを支援します。

この目的に対し、具体的な実用的なアルゴリズム的アプローチとして、簡潔な行動計画(BAP)が開発されました。BAPでは、共同の「SMART」(具体的、測定可能、達成可能、関連性のある、時間的)なアクション計画、患者のコミットメントステートメントを促進すること、自信の向上のためのスケーリング、変化の障壁を減らすための問題解決、患者の責任を育成し、フォローアップを強調することが含まれます。BAPは、患者が変化に対して準備ができているか、ほぼ準備ができている場合に、患者の対面中にいつでも導入することができます。

Steven A. Cole M.D., M.A. a b, Deepa Sannidhi M.D. c, Yuri Tertilus Jadotte M.D., Ph.D., M.P.H. d e, Alan Rozanski M.D. f  Using motivational interviewing and brief action planning for adopting and maintaining positive health behaviors Science Direct 24 February 2023

生きがいと幸福感の関連性 健康と幸福感は相互に影響し合う関係にあります。健康的な生活習慣や心身のケアが幸福感を向上させ、幸福感が高まることで健康状態が良くなる可能性があります。健康と幸福感の両方をバランスよく促進することが、充実した人生を実現するための重要な要素です。

自律的な動機付けが健康領域での行動変容・健康・および快楽的な幸福感と関連していることが示されています。また、幸福感は健康に貢献するとの証拠もあります。さらに、ライフスタイル疾患の軽減だけでなく、「生きがい」の幸福(快楽的および幸福的な幸福感を含む)の促進が日本で目指されています。しかし、「生きがい」の幸福が健康への動機付けに与える影響についてはほとんど知られていません。Yoshiko Kato氏らの研究では、健康的な食事と運動に対する自律的な動機付け、「生きがい」の幸福、共感覚、および社会的サポートの関係を探求しました。

参加者は622人の日本人(男性269人、女性353人、20歳から59歳)で、健康的な食事に対する動機付け(MHE)、健康のための運動動機(EMH)、共感覚、社会的サポート、および「生きがい」の幸福についてのアンケートを記入しました。

性別・年齢・主観的経済状況などのグループ間でのモデルの不変性は、複数グループ構造方程式モデルを使用して検証されました。
結果として、社会的サポートは共感覚および「生きがい」の幸福に対して正の影響を及ぼし、共感覚は「生きがい」の幸福に対して正の影響を及ぼすことが明らかになりました。

Yoshiko Kato, Ami Kojima & Chenghong Hu Relationships Between IKIGAI Well-Being and Motivation for Autonomous Regulation of Eating and Exercise for Health — Included the Relevance Between Sense of Coherence and Social Support International Journal of Behavioral Medicine 13 May 2022

ヘルスケアアプリがユーザー エクスペリエンスに影響を与える要因の調査 COVID-19パンデミックとドアステップ配送の好みにより、モバイルヘルスプラットフォームへの需要が増加しているが、これらのプラットフォームにおけるユーザーの体験と満足度に影響を及ぼす要因は、まだ学術研究ではほとんど調査されていないという状況があります。この論文で提案された経験的なフレームワークは、一部の人気のあるmHealthプラットフォームについて、ユーザーの未監視のコメントを分析することによって、この研究のギャップに対処しました。トピックモデリングの技術を使用して、影響を及ぼす要因(予測子)を特定し、戦略的な採用と動機付けの関連に基づいてそれらを2つの主要な次元に分類しました。研究から得られた結果は、時間とお金、利便性、レスポンス能力、および利用可能性が、モバイルヘルスプラットフォームでの肯定的なユーザー体験を提供するための重要な予測子として浮かび上がったことを示しています。次に、オンライン予約やビデオ相談などのブランド関連や快楽的動機への関連予測子に対するレビューの極性による著しい修飾効果を特定しました。さらに、これらのプラットフォーム全体で成功したユーザー体験のトップ予測子も特定しました。この研究からの提案は、ビジネスマネージャーにより改善されたサービスデザインを提供し、これらのモバイルヘルスプラットフォーム全体でのユーザー満足度の向上につながるでしょう。

Shounak Pal Baidyanath Biswas , Rohit Gupta , Ajay Kumar , Shivam Gupta ,Exploring the factors that affect user experience in mobile-health applications: A text-mining and machine-learning approachJournal of Business Research
Volume 156, February 2023, 113484

ソーシャルメディアの使用と孤独との関連性 COVID-19パンデミックの発生から2年後のソーシャルメディアの利用と孤独感との関連を調査することを目的とした研究が行われました。参加者はノルウェー、イギリス、アメリカ、オーストラリアで2021年11月から2022年1月までオンラインで行われた横断的な調査に回答した1649人の成人。線形回帰分析を用いてソーシャルメディアの利用時間と参加者の特性と孤独感との関連を調べ、ソーシャルメディアの利用動機による相互作用を検討しました。結果から、健康に対する懸念が高く、年齢が若く、雇用されていない、配偶者やパートナーがいない参加者は、孤独感が高いことがわかりました。また、より多くの時間をソーシャルメディアに費やすことは、より高い孤独感と関連していました。ソーシャルメディアの利用動機による3つのプロファイルグループが浮かび上がり、ソーシャルメディアを利用する目的が困難な気持ちを回避することとコンタクトを維持することのどちらかまたはそれらと同じ程度の高さを示すグループ、コンタクトを維持することをやや重視するグループ、そしてコンタクトを維持することを著しく重視するグループがありました。ソーシャルメディアの利用時間が有意であったのは、動機プロファイルグループ2と3のみでした。この研究の結果から、ソーシャルメディアを主にコンタクトを維持するために利用する人は、他の目的で同じ時間をソーシャルメディアに費やす人よりも孤独感を感じる可能性があると示唆されます。

Tore Bonsaksen,Mary Ruffolo,Daicia Price,Janni Leung,Hilde Thygesen,Gary Lamph,Associations between social media use and loneliness in a cross-national population: do motives for social media use matter?Health Psychology and Behavioral Medicine 2023 – Issue 1

新型コロナウイルス感染症危機における対人コミュニケーションの健康保護行動への影響 新型コロナウイルス(COVID-19)は、世界的な公衆衛生に対する重大な脅威をもたらしました。
ロックダウンや経済の低迷により、多くの人々が雇用を失ったり、労働時間が短縮されたりしました。特に一時雇用労働者やサービス業の従業員に影響が出ました。また、不安やストレスを引き起こす要因となりました。感染への恐れ、社会的な孤立、経済的な不安などが心理的な健康に影響を与えました。
個人は家族・友人・同僚・医師・薬剤師などの人間関係を通じて健康情報に広く接触しています。人間関係はしばしば他の健康情報源を問い直すか強化することに影響を与え、これは個人の認識や行動に影響を及ぼす可能性があります。ジュ・イルウらは人間関係を介した健康コミュニケーションにさらされることが、リスク認知と感情的な反応に及ぼす影響を統合し、健康情報の収集や予防対策の遵守などの健康保護行動にどのように影響するかを調査しました。

アメリカの成人(n = 488)を対象としたオンライン調査の結果、リスク認知と感情的な反応が行動の動機付け要因として機能することが示されました。認知的および感情的な反応の影響は、個人が健康保護行動が有益であると信じる程度によって大きく異なります。この研究によって、COVID-19の文脈で人々が自己を守るための予防的な健康行動にどのように関与しているかを明らかにし、人間関係の社会的ネットワークがそのような行動を促進することを示されました。

Ilwoo JuORCID Icon,Jennifer Ohs,Taehwan Park & Amber Hinsley,Interpersonal Communication Influence on Health-Protective Behaviors amid the COVID-19 Crisis,Health Communication,Volume 38, 2023 – Issue 3

身体的および心理的健康と仕事への取り組みや活力との関係 職業健康心理学では、従業員の健康を促進する要因を分析する必要性を強調しています。この視点から、仕事の従事感は従業員のポジティブな情動的・動機付けの状態であり、仕事における活力は異なる要素との持続的な相互作用に対するポジティブな感情的反応といえます。これらの概念は健康への影響があるものの、心理的健康、心理的障害の症状、身体的健康、健康関連行動、全体的な健康といった異なる健康のカテゴリーとの関連は異なる可能性があります。

そこで、研究者はPRISMA準拠の体系的なレビューを実施し、仕事の従事感と仕事における活力が労働者の健康に与える異なる影響が分析されました。4つの電子データベースから得た情報を基に、仕事の従事感に関する70件の論文と、仕事における活力に関する9件の論文が最終的に分析されました。

結果によれば、仕事の従事感と仕事における活力の両方が健康に関連しており、精神的健康、心理的障害の症状、身体的健康、健康関連行動、全体的な健康の改善に寄与しています。ただし、両概念の影響は異なります。

具体的には、仕事における活力は身体的健康に大きく関与しており、高感度C反応性タンパク質のレベル、フィブリノーゲンのレベル、高脂血症のリスク、糖尿病の死亡リスク、身体的症状などを低減させる一方、健康関連行動にも影響を与えており、不眠症の軽減、より多くの運動、より多くの身体活動を促進しています。一方、仕事の従事感は主に心理的健康と関連しており、幸福感や生活満足度の向上、ストレス、不安、うつ、疲労、心理的緊張のリスクの低減に寄与しています。

この研究により、仕事の従事感と仕事における活力が労働者の健康に異なる影響を及ぼすことが分かりました。仕事の健康に関するアプローチでは、これらの異なる影響を考慮することが重要であると言えるでしょう。

Daniel Cortés-Denia, Esther Lopez-Zafra & Manuel Pulido-Martos,Physical and psychological health relations to engagement and vigor at work: A PRISMA-compliant systematic reviewCurrent Psychology volume 42, pages765–780 (2023)

ウェルネスツーリズムの動機とグループ間の行動の違いに応じた市場細分化に関する研究 この研究の目的は、ウェルネス観光客の訪問動機を導き出し、訪問動機に基づいた市場セグメンテーションを通じてウェルネス観光市場への戦略を導き出すことでした。まず、文献レビューと専門家の議論を通じて、リラクゼーション/癒し/日常生活からの脱出、健康向上、新奇性、贅沢と名声、自己評価/教育、自然に優しい動機、社会的関係向上の7つの動機が導き出されました。

次に、市場セグメンテーションに応じた動機による差別化された特性を導出するために、ウェルネス観光参加者の満足度、行動意向、フローを分析する差異分析が行われました。データ収集は、2021年9月2日から12月4日まで、韓国の忠清北道のウェルネス観光製品の利用者を対象に行われ、文化体育観光省(韓国)の支援を受けました。

この研究の分析により、ウェルネス観光客のウェルネス観光動機が「リラクゼーション/癒し/健康向上」「新奇性」「贅沢と名声」「自己評価/教育」「自然に優しい動機」「社会的関係向上」という6つの要因に分かれることが最初に明らかにされました。

そして、ウェルネス観光客の訪問動機に基づく市場セグメンテーションにより、市場が「新奇性を求めるタイプ」「総合的な動機を求めるタイプ」「中立的なウェルネスを求めるタイプ」「探求的なウェルネスを求めるタイプ」に分けられることが分かりました。

最後に、これらのウェルネス観光客のグループ間で満足度、行動意向、フローに有意な違いがあり、中立的なウェルネスを求めるタイプの平均満足度、行動意向、フローのレベルが総合的な動機を求めるタイプと探求的なウェルネスを求めるタイプよりも一般的に低いことが確認されました。

この研究は、ウェルネス観光動機の尺度と市場セグメンテーション研究の開発により、ウェルネス観光動機グループに対して異なる戦略を考慮する必要性を導き出し、個々のグループの特性に応じた実践的な含意を提供しました。

Jun Lee,Jeong-Joon Kim,A Study on Market Segmentation According to Wellness Tourism Motivation and Differences in Behavior between the Groups—Focusing on Satisfaction, Behavioral Intention, and Flow,Public Health 2023

社会的な制約から逃れるためにアウトドア観光 この研究は、イラン・イスラム共和国におけるアウトドア観光客と観光ステークホルダーの動機と視点を分析しています。セミ構造化の質的インタビューと解釈主義のグラウンデッド・セオリーを使用し、基本的なコーディングと軸心コーディング、細部の差別化されたナラティブ分析を行いました。本研究では、主に3つの観光客セグメントを区別しました。それは、アドベンチャーを通じた高揚、自然を楽しむこと、文化的制約とそれに伴う社会的監視からの逃避を求めるセグメントです。

自然とアドベンチャーセグメントはエコツーリストのように行動し、ユーデイモニックなウェルビーイングを向上させます。自然観光客は穏やかで静かな自然の鑑賞によって心理的な回復を得ます。一方、アドベンチャー観光客は挑戦と達成を通じて心理的なリチャージを得ます。対照的に、逃避セグメントはヘドニックなウェルビーイングを目指し、社会的・生態学的な影響に無頓着であり、エコツーリストとしての行動をとりません。彼らは期待される文化的な規範を破ることを避けるためにエコツーリズムの仮面をかぶっています。不正規の秘密のロジスティクスプロバイダーを使用しており、これは認可された商業アウトドアツアー・プロバイダーにとって大きな管理上の障害となっています。

社会的な監視からの一時的な逃避は、関係者の心の健康にとって心理的な安全弁となりますが、その行動は地域社会、自然環境、自然観光客、アウトドア観光事業者に持続不能な負担を課します。これらの負担により、アウトドア観光の心の健康上の利益から得られる社会経済的な利益が減少します。

この研究は、イランにおけるアウトドア観光客と観光ステークホルダーの動機と行動に関する重要な洞察を提供しています。特に、エコツーリズムの重要性や社会的・環境的な持続可能性に関する課題が浮かび上がります。これに基づいて、アウトドア観光の健全な成長と持続可能性を実現するために、適切な規制と管理の必要性が示唆されます。

Mahshad Akhoundogli,Ralf Buckley,Outdoor tourism to escape social surveillance: health gains but sustainability costs,Journal of Ecotourism, May 2021

従業員のモチベーションとエンゲージメント この多検体研究(5つのサンプル)は、多次元的な職場の動機づけ尺度(MWMS)の内容と因子構造を探索的構造方程式モデリングを用いて再評価しました。具体的には、行動調整のタイプの操作的表現とその関連性、およびそれらが理論的な結果との関係を調査しました。結果は、問題のある3つの項目を除外することを示し、MWMSによって測定された職場の動機づけは、自律的な動機づけ、内在化および外部調整、無動機として表現される因子構造によって最も適切に表現されると示しました。さらに、内在化調整は、その回避サブスケールによってより強く表現されますが、2つの外部調整のタイプ(物質的および社会的)は区別できないことがわかりました。最後に、自律的な動機づけは、最適な従業員の機能(活力/生気、満足度、低い離職意向)と関連しています。一方、制御された2つの調整のタイプは、パフォーマンスと異なった関連を持っていますが、両方とも従業員の健康と離職意向と関連しており、特に回避的な内在化調整は重要な予測因子として浮かび上がりました。

MWMSの内容を再評価し、5つのサンプルでその構造を相互検証することにより、この研究は調整のタイプとその結果に関する実証的に適切な表現を提供しています。また、MWMSの内容を改善するための将来の研究に向けた提案も行われています。

Sarah-Geneviève Trépanier,Clayton Peterson,Marylène Gagné,Claude Fernet,Julie Levesque-Côté & Joshua L. Howard,Revisiting the Multidimensional Work Motivation Scale (MWMS),European Journal of Work and Organizational Psychology 2022

デジタルトレーニングが従業員のパフォーマンスに与える影響とは デジタルHRM(人的資源管理)の実践が従業員の動機づけに及ぼす影響、およびそれによって従業員の仕事のパフォーマンスにどのような影響があるかを調査が行われてました。デジタルHRMの実践と従業員の仕事のパフォーマンスとの間における従業員の動機づけの仲介役を調べることを目的としています。 Awwad らの研究では、デジタルトレーニングとデジタルパフォーマンス評価の2つのデジタルHRMの実践が使用されました。産業企業の従業員から有効で信頼性のあるアンケートを用いてデータを収集し、その結果、デジタルトレーニングは従業員の動機づけと仕事のパフォーマンスの両方に有意な影響を与えることがわかりました。また、デジタルパフォーマンス評価も従業員の動機づけと評価に有意な影響を与え、従業員の動機づけは仕事のパフォーマンスに有意な影響を与えることが確認されました。したがって、従業員の動機づけはデジタルHRMの実践が仕事のパフォーマンスに及ぼす影響を部分的に仲介していることが示されました。スキルを持ち、自分のパフォーマンスレベルを認識している従業員ほど、より高い仕事のパフォーマンスを示す動機づけを持つことが結論づけられました。この研究は、理論的には他のHRMの実践が従業員の動機づけを介して仕事のパフォーマンスに与える影響を調査するために、学者たちにさらなる研究を呼びかけています。実証的には、組織はデジタル手段を用いてトレーニングセッションを実施し、従業員のパフォーマンスを評価するよう求められています。

Sami Awwad Al-kharabsheh, Murad Salim Attiany, Rawan Odeh Khalaf Alshawabkeh, Samer Hamadneh, Muhammad Turki Alshurideh,The impact of digital HRM on employee performance through employee motivation,International Journal of Data and Network Science,2023

予防的健康マーケティングのためのフレームワーク 健康マーケティングは、正確で信頼性のある健康情報を提供することを通じて、人々の健康意識を高め、正しい知識を得る手助けをします。また、健康マーケティングは、人々が健康的な行動を取るように促すための情報やメッセージを提供します。例えば、タバコをやめる、運動をする、バランスの取れた食事を摂るなど、健康に良い行動を奨励することがあります。そして、行動変容のプロセスを支援し、人々が健康的な行動を継続するためのサポートを提供します。

健康に対する意識の高まりとともに、予防的なアプローチが重要視されるようになりましたが、そのための適切な戦略やアプローチが不足していました。そこで、Yapらの研究では予防的健康マーケティングを促進するためのフレームワークを提案されています。

フレームワークは以下の要素から構成されています。

ターゲットオーディエンスの特定:予防的な健康マーケティングの対象となるオーディエンスを明確に特定することが重要です。特定の健康リスクやニーズに対して、効果的なメッセージを届けることができます。

健康リスクの啓発:ターゲットオーディエンスに健康リスクについて正確な情報を提供し、意識を高めることが必要です。健康へのリスクを理解することで、予防的な行動を促すことができます。

健康へのインセンティブ:予防的な健康マーケティングでは、健康へのインセンティブを提供することが重要です。例えば、健康的な生活を送ることで割引や特典を受けられるなどのインセンティブを設定することで、行動への動機付けを高めることができます。

顧客参加の促進:健康に対する意識を高めるだけでなく、顧客の参加を促すことも重要です。顧客が自分自身で健康を管理し、積極的に予防的な行動を取ることを促進します。

マーケティングチャネルの選択:適切なマーケティングチャネルを選択することで、ターゲットオーディエンスに適切なメッセージを届けることができます。オンライン広告、ソーシャルメディア、コミュニティイベントなど、様々なチャネルを活用します。

このフレームワークは、予防的な健康マーケティングの成功に向けたガイドとなります。健康意識の向上と共に、予防的な行動を促すための効果的な戦略やアプローチを提供します。

Sheau-Fen Yap,Weng Marc Lim,Sanjaya Singh Gaur & Pek Yean Lim,A framework for preventive health marketing,Journal of Strategic Marketing,2023

パーソナリティがウェルビーイングに与える影響とは パーソナリティは一貫性を持ち、異なる状況や時期においても安定して見られる特徴を指します。パーソナリティは遺伝的な要因や環境要因によって形成され、個々の経験や社会的な影響も影響を及ぼします。

多くの研究者や心理学者がさまざまな方法でパーソナリティを分析し、理解しようとしてきました。
最近のゲノム、心理学、発達学の研究によると、人間のパーソナリティは、多くの具体的な状況での個々の特性から始まり、情動の反応を調節する2つの領域(気質)や目標と価値観を調整する領域(性格)に至る複雑な階層で構成されています。そして最終的には、変化する条件下での幸福を維持する学習を調節する3つの統合された気質-性格ネットワークへと結びついています。Moreiraらの研究では、青少年(N = 1739)と大人(N = 897)の主観的幸福感(ポジティブ感情、ネガティブ感情、生活満足度)の要素に対して、パーソナリティの各レベル(特性、気質または性格のプロファイル、そして気質-性格のネットワーク)で人間のパーソナリティを分析しました。我々は初めて、ネガティブ感情と生活満足度が意図的な自己コントロールのパーソナリティネットワークに依存していることを示しました。一方で、ポジティブ感情は、健康な長寿命、創造性、そして協力的な価値観の基盤となる自己認識のパーソナリティネットワークに依存していることが示されています。

Paulo A. S. Moreira, Richard A. Inman & C. Robert Cloninger,Disentangling the personality pathways to well-being,Scientific Reports,2023

デセンダリングとウェルビーイングの関係性について デセンタリングは、自己中心的な視点から解放され、客観的な視点や他者の視点を尊重することを促すものです。これにより、自己の主観的な感情や思考にとらわれず、より客観的な判断を下すことができるようになります。また、異なる視点や情報を受け入れ、適応的な行動を取るための柔軟性を向上させるのに役立ちます。自己中心的な固定観念にとらわれず、新しい情報に基づいて判断を下すことができます。さらに他者の感情や視点を理解しやすくするため、対人関係を良好に保つのに役立ちます。相手の立場や感情を考慮することができるようになります。

デセンタリングは、さまざまな心理的症状に対して保護的な効果があると考えられていますが、日常生活における瞬間的な状態としてのデセンタリングの結果についてはほとんど知られていません。Gaineyらの研究では、生態学的瞬間評価(1週間にわたって42回の報告)を用いて、デセンタリングと気分、うつ症状、個別の参加者固有の症状、およびウェルビーイングとの関連の時間的順序を調べました。また、より高いデセンタリングが各変数のイネルシャ(持続性)を減少させ、気分とうつ症状、個別の症状、およびウェルビーイングとの関連を弱めると仮説を立てました。調査結果は、345人のコミュニティ参加者を対象に行われ、デセンタリングとこれらの変数が時間の経過とともに相互に補強されていること、そしてより高いデセンタリングが否定的な気分とうつ症状のイネルシャを減少させると関連していることを示しました。デセンタリングは一般的に、気分とうつ症状、個別の症状、およびウェルビーイングの関連に対するポジティブな影響と否定的な影響を減少させることを予測しましたが、個別の症状やウェルビーイングを予測する際の結果は異なりました。臨床的な意義とデセンタリングに関する理論の改良についても議論されています。

Kristin Naragon-Gainey, Kenneth G. DeMarree ,Kaitlyn M. Biehler Decentering From Emotions in Daily Life: Dynamic Associations With Affect, Symptoms, and Well-Being,Clinical Psychological Science,2023

運動について動機付けの要因を分析 従来の研究では、個人が運動を健康に関連する理由で行う場合もあれば、外見の魅力を高めるために行う場合もあることが指摘されていました。。それは、後者の場合、外見への不満が原因とされることが多いです。しかしながら、自尊心の違いが異なる運動の動機に関連しているかどうかについては、あまり研究されていませんでした。 R. Earlの研究では、全体的な自尊心、外見に依存した自己価値、外見への満足度が、健康と魅力的な外見を目的とした運動の動機と関連しているかを調査しました。さらに、これらの関係が異なる動機づけ要因と一致するかどうかも探求しました。

イギリスのイースト・ミッドランズ地域から成人(N = 209;女性75%、男性25%;平均年齢29.77歳)が、全体的な自尊心や外見に依存した自尊心、外見への満足度、運動の意図、動機づけに関連する評価を行いました。構造方程式モデリングの結果、全体的な自尊心は外見への満足度と健康に関する運動の理由と肯定的に関連していましたが、外見に依存した自尊心は外見への満足度を低下させ、魅力的な外見を目的とした運動と関連していました。外見への満足度は、どちらの運動の理由とも関連していませんでしたが、内在的動機づけと制御された運動の動機づけを低下させる関連がありました。健康に関する運動の理由は、内在的、確認的、内在化された動機づけと肯定的に関連していましたが、魅力的な外見を目的とした運動は外部動機づけとのみ関連していました。

この結果は、運動者の自尊心のレベルと依存性を区別することの概念的重要性を強調しています。また、運動を実践する専門家にとっても、運動の異なる理由を理解する上で実質的な価値があるかもしれません。

Stephen R. Earl,Global and appearance-contingent self-esteem: Associations with health and attractiveness exercise reasons,Psychology of Sport and Exercise,2023

座りがちな人をいかに運動させるか mHealth(モバイルヘルス、モバイル・ヘルス)は、モバイル技術や通信技術を活用して健康管理や医療を支援する健康関連の取り組みやサービスです。mHealthはモバイルアプリ、ウェアラブルデバイス、スマートフォン、タブレットなどのモバイルデバイスを利用して、健康情報の収集、ヘルスケアの提供、医療情報の共有などの目的で利用されます。mHealthの応用範囲は広く、健康のモニタリング、予防、診断、治療、患者教育、医療プロフェッショナルの支援などさまざまな側面にわたります。mHealthは、健康状態のトラッキング、薬のリマインダー、運動や食事のモニタリング、テレメディスン、予防的な健康情報の提供などに利用され、人々の健康管理を促進し、アクセス可能な医療を向上させる役割を果たしています。

J Bannellらは、非監督型の運動に対する遵守率が低いため、新しいアプローチを探る必要があるとして、モバイルヘルス(mHealth)技術を活用した2つの運動および身体活動(PA)介入の遵守率向上の可能性を調査を行いました。

方法として、86人の参加者をオンラインリソース(n = 44、女性29人)またはMOTIVATE(n = 42、女性28人)の2つのグループに無作為に割り当てました。オンラインリソースグループは、進行性の運動プログラムを実行するためのブックレットやビデオにアクセスすることができました。一方、MOTIVATEの参加者は、mHealthバイオメトリクスを活用した運動指導セッションを受け、運動強度に関する即時のフィードバックや運動専門家とのコミュニケーションが可能でした。遵守率の評価には心拍数(HR)モニタリング、アンケートによる運動行動、および加速度計によるPAのデータを使用し、遠隔測定技術を用いて体格測定、血圧、HbA1c、脂質プロファイルを評価しました。

結果として、HRに基づく遵守率は、オンラインリソースグループが22%±34%であり、MOTIVATEグループは113%±68%でした。自己報告された運動行動は、オンラインリソースグループとMOTIVATEグループの両方で効果がありましたが(Cohenのd = 0.63、CI = 0.27〜0.99およびCohenのd = 0.88、CI = 0.49〜1.26)、MOTIVATEグループの方がより大きな効果が見られました。参加者の中途離脱を含めた場合、遠隔収集されたデータの利用可能性は84%であり、中途離脱を除去した場合は94%でした。
結論として、このデータから、両方の介入が非監督型の運動の遵守率に良い影響を与えていることが示唆されています。しかし、より遵守率を向上させるためには、今後、適切なパワーを持った試験によりMOTIVATE介入の有効性を探る必要があるでしょう。

Daniel J Bannell , Madeleine France-Ratcliffe, Benjamin James Roy Buckley,etc,Adherence to unsupervised exercise in sedentary individuals: A randomised feasibility trial of two mobile health interventions,DIGITAL HEALTH,2023

メタボリックシンドロームにおける食事と運動の行動変容 これまでメタボリックシンドローム(MetS)患者における総合的な食事と運動の行動変容に焦点を当てた研究は行われていませんでした。Dandan Chenらの研究ではCapability, Opportunity, Motivation, and Behaviour(COM-B)モデルに基づいて、MetS患者の食事と運動行動の遵守に影響する要因を探求しました。

方法は、中国の浙江省にある大学病院の健康促進センターで2021年に横断的な研究です。MetSを持つ241人が全てのスケールに回答しました。ブートストラップサンプルを用いた構造方程式モデリングを用いて中介モデルを検証しました。回帰ベースの経路分析では、MetSの知識(β = 0.140)、社会経済的地位(β = 0.162)、および社会的サポート(β = 0.143)が直接的に食事行動に肯定的な影響を与えていることがわかりました。さらに、社会的サポートは適応と運動行動を経由して間接的に肯定的な影響を与えていることがわかりました(β = 0.090)。最終的な理論モデルは適切な適合度を示しました(平均二乗誤差近似 = 0.057、比較適合指数 = 0.946)。

結論として、食事行動に関連する要因はMetSの知識、社会経済的地位、および社会的サポートであることが示されました。適応は社会的サポートと運動行動の間の中介要因である可能性があります。MetS患者に対して食事と運動の遵守を高めるための介入プログラムは、これらの要因を含めることができるでしょう。

Dandan Chen, Hui Zhang, Jing Shao, Leiwen Tang, Nianqi Cui, Xiyi Wang, Jingjie Wu, Dan Wang, Zhihong Ye,Determinants of adherence to diet and exercise behaviours among individuals with metabolic syndrome based on the Capability, Opportunity, Motivation, and Behaviour model: a cross-sectional study,European Journal of Cardiovascular Nursing,2023

ウェアラブル端末と運動の動機の関係性とは ウェアラブル端末は心拍数、歩数、睡眠パターンなどの健康データをリアルタイムでモニタリングできるため、個人の健康状態やフィットネス進捗を把握し、改善を促すのに役立ちます。定期的な活動や運動を維持するための習慣づけに役立つツールとして利用されます。
ウェアラブル端末が身体活動の遵守を改善し、座っている時間を減らすための潜在的な介入手段として提案されています。しかし、これらのデバイスの長期的な効果には疑問があり、身体活動行動を促す動機付けのプロセスにはほとんど注意が払われていませんでした。P. Steelによる研究では、ウェアラブル端末が体組成と身体活動を改善する効果を検証し、また自己決定的動機付けとの関連を探りました。58人の参加者が6ヶ月間、毎月体組成と動機付けを測定するアンケートに回答しました。また、基準となる体組成と研究終了時の体組成も測定しました。ウェアラブル端末を使用した参加者は、研究期間中に体組成を改善しませんでした。さらに、ウェアラブル端末を使用した参加者は、非使用者と比較して身体活動レベルが低下しました。さらに、ウェアラブル端末の利用と内在化動機付けの間に関連が見られました。この研究は、ウェアラブル端末が長期的な身体活動の遵守を改善するのに効果的でない可能性があることを示す追加の証拠を提供しています。さらに、内在化動機付けがこの関係において重要なメカニズムである可能性が示唆されています。

Richard P. Steel,The longitudinal associations between wearable technology, physical activity and self-determined motivation,International Journal of Sport and Exercise Psychology ,2023

メタボリックシンドロームのリスクを持つ中年向けのウェアラブル端末導入効果とは Jaeyoung Ha らの研究は、メタボリックシンドローム(MetS)のリスク要因を持つ中年の個人におけるウェアラブルヘルスデバイスの習慣的な利用の予測要因を調査しました。健康信念モデル、統合技術受容利用モデル2、および知覚リスクに基づく統合的な理論モデルを提案し、2021年9月3日から7日までの間、MetSを持つ中年の300人を対象にウェブベースの調査を実施しました。構造方程式モデリングを使用してモデルを検証しました。

結果は、ウェアラブルヘルスデバイスの習慣的な利用の86.6%の変動を説明することができるモデルであることを示しました。性能期待がウェアラブルデバイスの習慣的な利用を説明する中核的な変数であり、継続利用意図よりも性能期待の直接効果が大きかったです。また、性能期待は、健康動機、努力期待、およびリスク認知に影響を受けていました。さらに、健康動機は認知された脆弱性と認知された重症度によって影響を受けていました。

結論として、結果は、中年のMetSリスク要因を持つ個人のウェアラブルヘルスデバイスに対するユーザーの性能期待の重要性を示しています。開発者と医療従事者は、MetSリスク要因を持つ中年の個人の性能期待により適した方法を見つけるべきです。また、利用者の健康動機を高める方法を見つけ、利用者の努力期待を減らし、合理的な性能期待を生み出すことで、ウェアラブルヘルスデバイスの習慣的な利用行動を促進する必要があります。

Jaeyoung Ha, Author Orcid,Jungmi Park ,Sangyi Lee,etc,Predicting Habitual Use of Wearable Health Devices Among Middle-aged Individuals With Metabolic Syndrome Risk Factors in South Korea: Cross-sectional Study,JMIR Publications Advancing Digital Health & Open Science,2023

運動の動機付けとSNSを通したコミュニケーション戦略の効果とは 大学生活では多くの時間が自己管理に委ねられるため、効果的な時間の使い方やスケジュールの立て方が重要です。

Alsalehによる研究は、ヨルダンの大学の学生を対象に、目標設定、自己モニタリング、フィードバックなどの多要素な行動介入の有効性を測定し、学生の身体活動レベルと運動自己効力感を向上させ、体重指数(BMI)と血圧を低下させることを目指しています。

方法として、個別の相談、テキストメッセージのリマインダー、Facebookページとのやり取りなどに基づく行動介入を、教育セッションと比較して、フィラデルフィア大学の学生を対象にランダム化比較試験を行いました。

結果は、介入群と対照群が基準時点で比較可能であったことを示しています。6か月後に、介入群において対照群と比較して中程度の身体活動と歩行レベルが有意に増加しています。また、自己効力感も介入群で対照群に比べて有意に向上しています。さらに、BMIも介入群では基準時点から6か月後に有意に減少しています。

結論として、多要素な戦略を用いた行動介入と、電話やソーシャルメディアを通じた高度なコミュニケーション戦略の実装は、大学の学生を身体活動を増加させることに動機付けるために効果的であることが示されました。
なお研究は臨床試験として登録されているものです。

Eman Alsaleh,Is a combination of individual consultations, text message reminders and interaction with a Facebook page more effective than educational sessions for encouraging university students to increase their physical activity levels?,Front Public Health. 2023

最適なメッセージが運動の動機を高める可能性 従来、内在的な感情的な運動の利益を促進することが自律的な動機付けと運動行動を支援する可能性があると考えられてきました。しかし、ほとんどのメディアメッセージは主に外在的な体重や健康に関連する利益を強調しています。Emily L. Maileyらの研究では、運動メッセージを変えることが個人の運動動機付けと行動に影響を与えるかどうかを調べました。2×2の因子設計を用いて、次の次元でメッセージフレームを操作しました:内在的/外在的な運動目標と簡単/難しい運動ルーチン。30歳から45歳の成人の代表的なサンプル(N = 505)がレジャー時間の運動と動機付けの尺度を完成させた後、ランダムに四つのメッセージまたはコントロールメッセージのいずれかを閲覧するよう割り当てられました。メッセージを閲覧した直後に、参加者は主な運動目標を示しました。1週間後に、運動と動機付けの尺度を再び完成させました。 ANCOVAによると、動機や運動行動においてグループ間の違いは見られませんでした。外在的およびコントロール条件に比べ、内在的なメッセージの条件では、メッセージを見た直後に効果的な主な運動目標を示す傾向が高かったです。全体的に、このサンプルでは、単一のメッセージの露出は個人の運動動機付けや行動に有意な影響を与えることはありませんでした。将来の研究では、最適なメッセージ内容を磨き上げること、メッセージの理解を評価すること、および意義のある影響をもたらすために必要なメッセージ露出の最小量を検討することが考慮されるべきだと考えられます。

Emily L. Mailey,Deirdre Dlugonski,Gina M. Besenyi,Rebecca Gasper &Stacey Slone,Effects of a single message exposure on exercise motivation and behavior among adults aged 30-45,International Journal of Health Promotion and Education, 2022

行動変容へ導くライフスタイルへの介入効果のパイロット研究 肥満は妊娠中の高血圧、妊娠糖尿病、子宮内成育不全などの妊娠合併症のリスクを増加させる可能性があります。これらの合併症は母体と胎児の両方に影響を及ぼすことがあります。
Mei-Wei Changらは、過体重または肥満の妊婦を対象としたパイロット介入を行いました。

方法:70人の参加者が介入群または通常のケア群にランダムに割り当てられました。20週間の介入期間中、参加者は週に1回のオンライン介入モジュールを完了し、個別のオンライン健康コーチングに参加しました。データは、基準値(妊娠17週未満)、妊娠24-27週(T2)、および妊娠35-37週(T3)で収集されました。

ライフスタイル行動には、食事摂取(カロリー・脂肪・添加糖分・果物・野菜)と身体活動(PA)が含まれています。心理社会的要因には、自律的動機付け・自己効力感・実行機能・未来の結果への考慮(CFC)が含まれています。感情面では、ストレスと感情のコントロールが評価されました。介入群と通常のケア群の間の変化からの群間平均の差を比較するために、2つの標本t検定とCohen’s dが使用されました。

結果:T2では、介入が果物摂取(d = 0.47)、健康的な食事への自律的動機付け(d = 0.36)、健康的な食事への自己効力感(d = 0.25)およびPA(d = 0.24)、実行機能(行動規制、d = -0.21; メタ認知、d = -0.69)、および感情のコントロール(d = 0.79)に対して正の影響を与えました。 T3では、介入がPA(d = 0.19)、健康的な食事への自律的動機付け(d = 0.33)、健康的な食事への自己効力感(d = 0.50)、ストレスの管理(d = 0.62)、実行機能(メタ認知、d = -0.46)、CFC(d = 0.25)、ストレス(d = -0.45)、および感情のコントロール(d = 0.72)を改善しました。

結論:このパイロット介入は、ほとんどの心理社会的変数と感情に対して、短期および長期の両方で正の影響を持っています。

Mei-Wei Chang, Duane T. Wegener, Alai Tan, Jonathan Schaffir, Brett Worly, Katherine Strafford, Loriana Soma
,Cassandra Sampsell, Pilot Lifestyle Intervention Effect on Lifestyle Behaviors, Psychosocial Factors, and Affect,

身体活動レベルの低い高齢者に対する運動の動機付け 高齢者は慢性疾患(高血圧、糖尿病、心臓病など)のリスクが高まる傾向があり、これらの疾患が健康に影響を及ぼすことがあります。また、加齢に伴い筋力や骨密度が低下し、骨折や転倒のリスクが増加する可能性があります。高齢者の身体と精神の健康にとって、運動と体力活動は非常に重要です。Lisa A. Royse氏らは、これまで身体活動を行っていなかった高齢者が8週間のグループエクササイズ介入の3つのアームの無作為化比較試験(RCT)に参加した際の、身体活動への動機付けと障壁を多角的に検証しました。
方法は、15人の参加者(強度トレーニング、ウォーキング、非活動対照群からそれぞれ5人ずつ)との個別面接を質的内容分析。なお参加者には60歳から86歳までの9人の女性と6人の男性が含まれています。
結果、身体活動の主な動機として、身体と精神の健康の向上の認識、ポジティブな社会的影響、他者の健康悪化の観察、家族との時間を過ごし、家族の世話をするという欲求が挙げられました。一方、身体活動への障壁として、既存の健康状態、怪我をすることへの恐怖、否定的な社会的影響、時間と動機の欠如の認識、不便な時間と場所、お金の負担が挙げられました。これらの要因は高齢者の自己効力感に影響を与え、身体活動の開始と維持を奨励するために新しいプログラムや既存のプログラムの設計に取り入れるべきと示唆されています。

Lisa A. Royse,Breanne S. Baker,Melissa D. Warne-Griggs,Kristin Miller,etc,“It’s not time for us to sit down yet”: how group exercise programs can motivate physical activity and overcome barriers in inactive older adults,International Journal of Qualitative Studies on Health and Well-being
Volume 18, 2023 – Issue 1

外来患者における身体活動・果物・野菜摂取に関する電話での動機付け面接の効果検証 理論的には、モチベーショナルインタビュー(MI)の適合性はクライアントの結果に関連するはずです。それにもかかわらず、この適合性と効果の関連はあまり調査されていません。Ilse Mestersらの研究では、電話によるモチベーショナルインタビュー(TMI)の適合性が、自己報告された身体活動(PA)、果物摂取量、野菜摂取量の変化と関連している程度を評価しました。

方法
45歳から70歳の成人が、個別印刷通信、電話によるモチベーショナルインタビュー(TMI)、および両方を組み合わせた効果を比較する研究に参加しました。MIの適合性は、409回のオーディオ録音されたセッションからランダムに選択された232人のTMIグループ参加者を代表するものを用いて、「Motivational Interviewing Treatment Integrity Code (MITI)」という行動コーディング法を用いて評価されました。MI適合性スコアと基準線から47週間後のフォローアップまでの行動の変化との関連を、共変量に調整した後退的な多重線形回帰分析を用いて検討しました。

結果
MIに適合した応答の割合とPAおよび果物摂取量の改善との間には、それぞれ小さな効果サイズと中程度の効果サイズで有意で正の関連が見られました。グローバル評価「スピリット」(インタビュアーのMIの能力を一括して評価するもの)は、野菜摂取量の進歩と中程度の効果サイズで有意で逆の関連がありました。

結論
比較的低いMIの能力がより高い野菜摂取量と関連しているという結果は予想に反するものでした。結果から、MIに適合したスキルの実践がPAと果物の摂取量の促進に有益であったが、野菜摂取量には影響を及ぼしたことが示されました。この研究は、TMIがPAと果物摂取量の変化を可能にすることに対する科学的な信頼に寄与しています。

Ilse Mesters, Hilde M. van Keulen, Hein de Vries & Johannes Brug ,Intervention Fidelity of Telephone Motivational Interviewing On Physical Activity, Fruit Intake, and Vegetable Consumption in Dutch Outpatients With and Without Hypertension,International Journal of Behavioral Medicine,2023

活動的な高齢者が身体活動アプリを利用する際のモチベーション特性 高齢者が運動不足だと、筋肉の量や質が低下し、骨密度も減少する可能性があります。これにより、骨折や転倒のリスクが増加することがあります。また、運動不足は日常生活の動作(歩行、階段の昇り降り、自己身支えなど)への影響を及ぼし、身体の機能低下を招く可能性があります。これにより、自立した生活が難しくなることがあります。

約70%の高齢者が運動のガイドラインを満たしていないとされています。多くの介入が身体活動(physical activity:以下、PA)の促進に使用されていますが、高齢者を対象としたものや実質的な行動変容技術を含むものは少ないです。PAの目標設定はよく使われますが、健康の改善、年齢による影響の防止、柔軟性の向上などの目標設定の結果に関する研究は少ないです。この研究の目的は、高齢者の目標設定の結果であるPAアプリへの参加目的を理解し、その動機の特性を明らかにすることです。

クロスセクショナルで質的なオンライン調査が、60歳以上のフランス人とアイルランド人の高齢者24人を対象に行われました。テーマテンプレート分析が使用され、これらの動機をSelf-Determination Theory of Motivation(自己決定理論)を用いて評価されました。

健康や身体活動の向上/維持、身体的健康の機能面の維持、したいことを続けること、精神的な健康の維持、疾病と老化の予防。個人は一般的な目標、具体的な目標、または両方に関連する目標を挙げ、PAの維持と老化の衰退の予防に関連する目標が最も多く挙げられました。多くの場合、活発な高齢者の動機は自律的で内部的に推進されるものでした。

高齢者向けの介入、特にアプリを含むものは、PAの具体的な目標設定を促すことにより、より内部的な動機づけを高め、所有権と参加を強化し、したがって効果を向上させる可能性があります。

Aileen M. Lynch , Sean Kilroy , Heather McKee , Fintan Sheerin, Monique Epstein,etc.Active older adults goal setting outcomes for engaging in a physical activity app and the motivation characteristics of these goals (MOVEAGE-ACT),Preventive Medicine Reports,Volume 31, February 2023

内発的動機付けとフレックス プレイスの関係性 昨今の趨勢としては、従業員の幸福を確保することが組織にとって重要なタスクであると考えられています。従来の研究は主に内発的動機へのポジティブな影響に焦点を当ててきましたが、Stockkampらの研究では内発的動機と仕事に関連する幸福感についてより包括的な視点で研究が行われました。具体的には、資源保存理論(※1)に基づいて、仕事に関連する幸福感の2つの側面(職場満足度と感情的疲労)に焦点を当て、不一致な仲介モデルとしての切り離しの直接(有益)および間接(不利)的な効果を検討しました。さらに、従業員がどこで働くかを選択する機会を提供するフレックスプレイスプラクティス(FPPs※2)の利用が、高い内発的動機の潜在的な不利な影響を緩和する役割についても詳細に調査しました。データは欧州の製造業者の408人の従業員から収集され、FPPs導入前と導入後の2つの測定点で行われました。結果は、内発的動機が幸福感の変化に対して直接的なポジティブな効果があり、切り離しの低減を通じた幸福感の変化に対して間接的な不利な効果があることを示しました。一方、FPPsを使用している従業員では、この間接的な不利な効果が解消されることがわかりました。この研究は、内発的動機の潜在的なデメリットとFPPsの内発的動機の機能における役割を探究した点で、初めての取り組みとなります。

(※1)職務満足にも応用されているストレ ス研究の理論的枠組み conservation of resources theory
(※2)個々のチームメンバーがその日にどこで働くかを自由に決定すること

Mariella Stockkamp, Angela Kuonath, Jana Kühnel, Silja Kennecke, Dieter Frey,Intrinsic motivation as a double-edged sword: Investigating effects on well-being and the role of flex place practices as moderator to buffer adverse effects,Applied Psychology: Health & Wellbeing ,2023

ヘルスケア 5.0とAIによる医療 Society 5.における0ヘルスケア領域では、ヘルスケア 5.0 に向けた変革的なシフトが構想されています。これは、ヘルスケア 4.0 の運用限界を拡大し、患者中心の医療を活用します。

医療分野における説明可能なAIの重要性、利点、可能性、そして直面する課題について述べられています。具体的には、以下のポイントが含まれています。

背景と導入:ヘルスケア5.0のコンセプトにおける人工知能の役割が説明され、説明可能なAIの重要性が強調されています。患者や医療専門家がAIの意思決定を理解し、信頼できる形で使用できることの重要性が強調されています。

説明可能性の利点:説明可能なAIの利点として、患者への説明や医療専門家のサポート、モデルの信頼性向上などが挙げられています。これにより、AIの意思決定が透明で適切であることが確保されます。

技術的挑戦:説明可能なAIの技術的な課題として、モデルの複雑さと解釈可能性のバランス、正確な説明生成、ドメイン適応の難しさなどが述べられています。また、医療データのプライバシーとセキュリティも重要な課題として取り上げられています。

倫理的課題:説明可能なAIの導入には倫理的な側面も関わります。例えば、患者のプライバシーの保護、バイアスの排除、意思決定の透明性の確保などが挙げられています。

将来展望:説明可能なAIのヘルスケアへの導入の将来展望が考察されています。AIの進化とともに、より洗練された説明可能性の技術が開発され、医療診断や治療の向上に貢献する可能性が示唆されています。

サラスワト氏らは、医療分野における説明可能なAIの導入がもたらす可能性と課題を包括的に取り上げており、AIの透明性と信頼性を高めるために重要な洞察を提供しています。

Deepti Saraswat; Pronaya Bhattacharya; Ashwin Verma; Vivek Kumar Prasa,Explainable AI for Healthcare 5.0: Opportunities and Challenges,IEEE Access,2022

メンタルヘルス向けの人間中心のAIアプリケーションのデザイン オンライン認知行動療法(CBT)治療のための臨床的に有用なAIアプリケーションの開発に焦点を当てた論文があります。その要点を以下の通りにまとめます。

背景と導入:メンタルヘルスの課題とオンライン治療の需要の増加が説明され、AIがメンタルヘルス支援にどのように役立つかが導入されます。人間中心のアプローチに基づいて、患者のニーズや専門家のフィードバックを統合したAIアプリケーションの設計が重要であることが強調されます。

オンラインCBTとAIの統合:認知行動療法(CBT)の基本的な原則と、それをオンライン環境で支援するAIアプリケーションの構築が説明されます。AIが患者の進捗をモニタリングし、適切なアドバイスやサポートを提供する方法が議論されます。

人間中心のデザイン:アプリケーションのデザインは、患者の利用性、利便性、および受容性を考慮して行われます。ユーザビリティテストやフィードバックの収集を通じて、アプリケーションの改善と最適化が行われる方法が説明されます。

クリニカルリレーションシップの維持:AIアプリケーションの導入において、患者とのクリニカルな関係を維持することが重要です。AIが人間の専門家の補完として機能し、治療全体の一部として位置付けられる方法が提案されます。

将来展望:人間中心のAIアプリケーションがメンタルヘルス分野でますます重要になると考えられています。AI技術の進歩と共に、患者のニーズに合わせたカスタマイズ可能なアプリケーションが開発され、効果的な治療と支援を提供する可能性が示唆されています。

ティーム氏らは、メンタルヘルス支援のための人間中心のAIアプリケーションの重要性と設計に関する洞察を提供しており、技術と臨床の両面を統合したアプローチの価値を示しています。

Anja Thieme,Maryann Hanratty,Maria Lyons,Jorge Palacios,Rita Faia Marques,Cecily Morrison,Gavin Doherty,Designing Human-centered AI for Mental Health: Developing Clinically Relevant Applications for Online CBT Treatment,ACM Transactions on Computer-Human Interaction,2023

フェデレーテッドラーニングベースのAIアプローチ スマートヘルスケア分野におけるフェデレーテッドラーニングを基盤とするAIアプローチに関する研究や洞察をまとめた論文の主要な要点は以下の通りです。

概念の導入:論文はまず、フェデレーテッドラーニングの概念とそのスマートヘルスケアへの適用可能性を導入します。フェデレーテッドラーニングは、分散されたデバイスやデータソース間でモデルのトレーニングを行う手法であり、プライバシー保護とデータセキュリティの観点から特に重要です。

分類とタクソノミー:論文は、スマートヘルスケアにおけるフェデレーテッドラーニングベースのアプローチを分類し、タクソノミーを提供します。異なるアプローチや応用事例を整理し、その特徴や利点を解説します。

課題と挑戦:フェデレーテッドラーニングをスマートヘルスケアに適用する際の課題や挑戦が詳述されます。データの分散、通信オーバーヘッド、モデルアグリゲーションの難しさなど、技術的な課題だけでなくプライバシーやセキュリティに関連する課題も取り上げられます。

未解決の課題:論文は、現在のフェデレーテッドラーニングベースのアプローチが直面している未解決の課題を議論します。モデルの一般化能力の向上、セキュリティの確保、データの信頼性の確保などが挙げられています。

展望と未来の方向性:フェデレーテッドラーニングはスマートヘルスケアにおける大きな可能性を持っていますが、さまざまな技術的および組織的な課題が存在します。論文は、これらの課題を解決するための展望や未来の方向性について考察します。

ラーマン氏らは、フェデレーテッドラーニングをスマートヘルスケアに適用する際の概念、挑戦、未解決の課題に関する理解を提供しており、プライバシー保護やデータセキュリティを含む重要なテーマに焦点を当てています。

Anichur Rahman, Md. Sazzad Hossain, Ghulam Muhammad, Dipanjali Kundu, Tanoy Debnath, Muaz Rahman, Md. Saikat Islam Khan, Prayag Tiwari & Shahab S. Band,Federated learning-based AI approaches in smart healthcare: concepts, taxonomies, challenges and open issues,Cluster Computing volume 26, pages2271–2311 (2023)

健康危機管理のための人工知能ベースの感情分析 スマートシティは、従来の都市インフラと情報技術(IT)を統合し、市内の生活の質と持続可能な都市サービスを向上させるための取り組みです。これを実現するために、スマートシティでは公共および民間セクターの協力が必要であり、大量のデータを収集し分析するためのITプラットフォームを導入する必要があります。同時に、スマートシティ内の健康危機の状況を処理するための効果的な人工知能(AI)ベースのツールを設計することが重要です。健康危機時に効率的なサービスを提供するためには、当局は市民に対して近づいて対応する必要があります。ソーシャルネットワーキングにおける感情分析(SA)は、政府の行動に対する市民の意見に関する貴重な情報を提供できます。そのため、Hilal氏らの論文では、スマートシティにおける健康危機管理のための新しいAIベースのSAツール(AISA-HCM)を提案しています。

AISA-HCM技術は、健康危機時(例:COVID-19時)の人々の感情を特定することを目指しています。提案されたAISA-HCM技術には、前処理、特徴抽出、および分類などの異なる操作が含まれます。また、特徴抽出にはDeep Belief Network(DBN)とBrain Storm Optimization(BSO)を組み合わせたBSO-DBNモデルが使用されます。さらに、感情の分類にはExtreme Learning Machine(ELM)とBeetle Antenna Search(BAS)を組み合わせたBAS-ELM方法が使用されます。BSOとBASアルゴリズムの使用により、DBNおよびELMモデルのパラメーターを効果的に調整することが可能です。

AISA-HCM技術の性能評価はTwitterのデータを用いて行われ、結果はさまざまな指標に基づいて検証されます。実験結果は、AISA-HCM技術が従来のSA手法に比べて優れた性能を示しており、最大精度0.89、再現率0.88、F値0.89、および正解率0.94を達成していることが示されています。

Anwer Mustafa Hila, Badria Sulaiman Alfurhood, Fahd N. Al-Wesabi,, Manar Ahmed Hamza,Mesfer Al Duhayyim and Huda G. Iskandar,Artificial Intelligence Based Sentiment Analysis for Health Crisis
Management in Smart Cities,Computers, Materials & Continua ,2022

人工知能 (AI) を活用した CRM 機能 AIを活用した顧客関係管理(CRM)システムは、パフォーマンス向上を図るために医療分野で勢いを増していますが、そのような能力がどのように形成され、サービスイノベーションにどのように影響を与えるかに関する知識は著しく不足しています。

Kumar氏らの研究は、この基盤となる現象を調査するためにミックスメソッドのアプローチを採用しました。リソースベースの理論、ダイナミックキャパビリティ理論、生産性の逆説の理論を組み合わせて、インドの医療分野がAIを活用したCRMの能力を獲得し、サービスイノベーションをどのように向上させるかを調査しました。

ケーススタディを用いてAIを活用したCRMの能力の側面を特定し、AIを活用したCRMの能力とサービスイノベーションのためのフレームワークを開発しました。この研究では、顧客サービスの柔軟性(CSF)がこの関係において欠けていることに気づきました。
PLS-SEMを用いた定量的研究の結果から、AIを活用したCRMの能力、CSF、およびサービスイノベーションの間に線形の関係があることが明らかになりました。この研究は、AIを活用したCRMの能力の形成を説明し、研究のギャップを埋め、変動の激しい環境で持続するために革新的なパフォーマンスを導くためのものです。理論的な示唆を提供し、意思決定者にとっての実用的な示唆をもたらす研究といえるでしょう。

Pradeep Kumar, Sujeet Kumar Sharma, Vincent Dutot,Artificial intelligence (AI)-enabled CRM capability in healthcare: The impact on service innovation,International Journal of Information Management,2023

AIを用いたヘルスケア業界のビジネスモデル クルコフ氏らは、医療業界における人工知能スタートアップのための新しいビジネスモデルに関する研究を論文にまとめています。その要点は以下の通りです。

背景と導入: 医療業界における人工知能の進化は、新しいビジネスモデルの機会を提供しています。この論文は、その背景と、医療分野における次世代のビジネスモデルに関する関心を導入します。

新しいビジネスモデルの必要性: 従来の医療業界は、効率性や医療提供の質の向上を求めています。人工知能技術はこれらの課題に対処する可能性を秘めており、新しいビジネスモデルが求められています。

技術の進化とビジネスモデルの変革: 論文は、人工知能の技術進化がどのように既存のビジネスモデルを変革しているかを詳しく説明します。診断、治療、予防などの健康ケアプロセスにおける人工知能の活用により、新たな価値提供が可能となっています。

データ駆動とプラットフォームモデル: 医療データの活用は重要であり、データ駆動型のビジネスモデルが台頭しています。また、プラットフォームモデルを活用して、データ共有や協力を促進するアプローチも取り上げられています。

価値提供とエコシステム構築: 医療業界の人工知能スタートアップは、患者、医療プロバイダー、保険会社などの関係者と連携して価値を提供するエコシステムを構築する必要があります。論文は、これに関する具体的なアプローチを提案しています。

この論文は、医療業界における人工知能スタートアップのための新しいビジネスモデルに焦点を当て、技術の進化と業界変革の関連性を示しています。医療業界の変化に対応し、革新的な価値を提供するための方向性を示唆しています。

Ignat Kulkov,Next-generation business models for artificial intelligence start-ups in the healthcare industry,International Journal of Entrepreneurial Behavior & Research,2023

産婦人科における妊娠の結果改善とAI技術 人工知能(AI)の適用が増えている医療分野の一つが婦人科と産科です。以前の研究では、AI技術と医師による産科管理が妊娠健康を向上させ、妊娠の結果を改善し、全体的な体験を向上させることができると示されており、合併症による可能性のある長期的な影響を軽減する効果もあります。この研究では、健康に対する責任あるAIのデータ収集方法と妊娠領域におけるケーススタディを提案しています。この研究は、妊娠中の女性が責任あるAIと感情計算に対してどのような好みや期待を持っているかについての質的記述的研究です。41項目の構造化インタビューを2020年10月と11月にスペイン、セビリアのホスピタル・ビルヘン・デル・ロシオとクリニック・ヴィクトリア・レイで予定されている出産前ケアを受けている150人の妊娠患者に実施しました。オプレス氏らによる研究では、妊娠中の女性の間で知識を持つAIによる妊娠の解決策への関心が示されました。関心度が低い参加者はプライバシーの懸念とAIソリューションへの信頼の欠如を報告しました。特に感情計算に基づく知的なソリューションに関しては、ほとんどの参加者が肯定的な意見を報告し、健康な妊娠か高リスクの妊娠を持つ女性間でこの点においては有意な差が見られませんでした。調査結果は、参加者の間でパーソナライズされた知的なソリューションへの高い需要があることを示唆しています。科学的研究のために健康提供者と妊娠データを共有することに関して、公的な医療サービスを受けている妊婦は、データを公的医療システムと共有する方が私的なエンティティよりも選ぶ可能性が高いことがわかりました。AI妊娠アプリケーションを使用する興味を持つ妊婦は、それが責任あるもので信頼性があり、有用で安全である必要があると強く考えています。同様に、知的なソリューションがシステムの決定と推奨について説明を提供する場合、妊婦は懸念を変え、XAIアプローチが促進されると感じるでしょう。

A.M. Oprescu, G. Miró-Amarante , L. García-Díaz , V.E. Rey, A. Chimenea-Toscano , R. Martínez-Martínez , M.C. Romero-Ternero ,Towards a data collection methodology for Responsible Artificial Intelligence in health: A prospective and qualitative study in pregnancy,Information Fusion,2022

メンタルヘルスアプリにおけるレコメンダーシステムの利点と倫理的課題とは Valentine氏らは、メンタルヘルスアプリ向けの推薦システムの利点と倫理的な課題に焦点を当てた研究をまとめています。
その要点は以下の通りです。

背景と導入:論文は、デジタルメンタルヘルスアプリにおける推薦システムの役割を導入します。推薦システムがユーザーに適切なアプローチや情報を提供することで、アプリの利用者体験や効果を向上できる可能性があることが説明されます。

利点の特定:推薦システムをデジタルメンタルヘルスアプリに統合する利点が議論されます。選択の過多を軽減し、デジタル療法の関係性を向上させ、個人データへのアクセスと自己管理を促進するなどの利点が特定されます。

倫理的な課題:推薦システムの利用には倫理的な懸念も存在します。論文は、説明不可能性、プライバシーとパーソナライゼーションのトレードオフ、推薦の品質に関する複雑さ、アプリ使用履歴データの制御などの倫理的な課題を議論します。

利点と課題のバランス:推薦システムの導入には利点と倫理的な課題のバランスを取る必要があります。論文は、これらの要素の間の関係性を深く理解することの重要性に焦点を当てます。

知識の貢献:この研究は、メンタルヘルスアプリにおける推薦システムの利点と倫理的な課題に関する新しい知識を提供しています。この分野での理解を拡大し、より適切で効果的な実装に向けての指針を提供する役割を果たしています。

Valentine氏らはは、メンタルヘルスアプリ向けの推薦システムの導入に関する利点と倫理的な課題を明らかにし、これらの要素のバランスを取る方法に焦点を当てています。推薦システムの導入における注意すべき倫理的な問題とその解決策を理解する上で役立つ情報を提供しています。

Lee Valentine, Simon D’Alfonso & Reeva Lederman ,Recommender systems for mental health apps: advantages and ethical challenges, AI & SOCIETY,2023

AIがメンタルヘルスサポートにおいてテキストベースで行う共感的な会話 人工知能(AI)の進化により、会議のスケジュール調整や文章の文法チェックなどの簡単な機械的なタスクを支援し、人間と共同で作業するシステムが可能になっています。しかし、複雑なタスク、特に共感的な対話のような複雑な人間の感情を扱う必要があるタスクにおいては、AIシステムが複雑な人間の感情を理解する難しさや、タスクの開放的な性質に起因する課題があります。この研究では、ピアサポートメンタルヘルス(同じ経験を共有する他の人による支援)に焦点を当て、AIが人間と協力してテキストベースのオンライン対話において共感を促進する方法について調査しています。

シャルマインナ氏らの研究では、HAILEYと呼ばれるAI-in-the-loopエージェントを開発し、サポートを提供する人(ピアサポーター)が助けを求める人(サポート求める人)に対してより共感的な対応をするのを支援するためのリアルタイムのフィードバックを提供します。実際のオンラインピアサポートプラットフォーム「TalkLife」(N = 300)で、非臨床のランダム化比較試験によってHAILEYを評価しました。その結果、人間とAIの協力アプローチにより、ピア間の対話的な共感が全体で19.6%向上することを示しました。さらに、支援提供に難しさを感じるピアサポーターの副標本では、共感が38.9%増加することがわかりました。また、人間とAIの協力パターンを分析し、ピアサポーターがAIのフィードバックを直接および間接的に使用できることを見出し、AIに過度に依存することなく、フィードバック後に自己効力感が向上することを報告しています。

この研究の結果は、フィードバック駆動のAI-in-the-loopシステムが、共感的な対話などの開放的で社会的、かつ高リスクなタスクにおいて、人間を支援する潜在能力を示しています。

Ashish Sharma, Inna W. Lin, Adam S. Miner, David C. Atkins & Tim Althoff,Human–AI collaboration enables more empathic conversations in text-based peer-to-peer mental health support,Nature Machine Intelligence,2023

AIロボットが個人の体重管理に関する意思決定を効果的に促進!? 医療意思決定における人工知能(AI)の導入はまだ初期段階にあります。Yi-Tang Chuらは、健康リテラシーに配慮したインターフェースを備えたAIロボット介入のプロトタイプを開発しました。このプロトタイプは、対話的な音声応答(IVR)調査を使用して、体重減少の意思決定を支援するものです。体重特定の健康リテラシー尺度(WSHLI)および共有意思決定質問票(SDMQ)を使用して、体重減少の意思決定に影響を与える要因を測定しました。体重を減らすことを選択した参加者に関連する要因は、ロジスティック回帰を用いて分析され、特定の体重減少計画の選択に影響を与える要因は一方の分散分析で調べられました。

研究は、144人の過体重または肥満の成人(女性69.4%、体重指数(BMI)≥ 24の人が58.3%)を募集しました。AIロボットとのインタラクションの後、研究対象者の78%が体重を減らす決定をしました。SDMQスコアは、体重減少の決定に対して有意な影響を及ぼす要因であることが示されました(オッズ比[OR]: 2.16、95%信頼区間[CI]: 1.09–4.29、p = 0.027)。自己モニタリング型のライフスタイル改善計画を選択した個人(平均±SD:11.52±1.95)は、栄養士支援計画(9.92±2.30)および医師指導治療(9.60±1.52)を選択した個人よりも健康リテラシーが有意に高かった(いずれもp = 0.001)。

この研究の結果は、私たちのプロトタイプAIロボットが個人が体重管理に関する意思決定を効果的に促進できることを示しており、WSHLIおよびSDMQスコアが体重減少計画の選択に影響を与えることを示しています。

Yi-Tang Chu , Ru-Yi Huang , Tara Tai-Wen Chen, Wei-Hsuan Lin , James TaoQian Tang , Chi-Wei Lin, Chi-Hsien Huang, Chung-Ying Lin, Jung-Sheng Chen, Sabrina Kurtz-Rossi, and Kristine Sørensen,Effect of health literacy and shared decision-making on choice of weight-loss plan among overweight or obese participants receiving a prototype artificial intelligence robot intervention facilitating weight-loss management decisions,DIGITAL HEALTH,2022

AIロボットが個人の体重管理に関する意思決定を効果的に促進!? Min Chenらは、COVID-19の影響下での精神健康のモニタリングにおいて、ネガティブな情報の影響を測定し、効果的な対策を提供する新しいアプローチを提案しています。

その要点は以下の通りです。
背景と導入: COVID-19の流行は精神的な健康に影響を与える情報の増加を引き起こしました。しかし、そのような状況に適切な対策が不足しています。この論文では、ネガティブ情報の測定とその影響を軽減するシステムの開発を提案しています。
ネガティブ情報の概念: ネガティブ情報は精神的健康に負の影響を与える情報を指す概念です。この情報を測定することで、精神的健康状態をモニタリングし、対策を講じる手段を提供します。
システム設計: ネガティブ情報を測定するシステムが提案されています。エッジクラウド上に展開されたインテリジェントアルゴリズムに基づき、ユーザーの精神的健康状態をモニタリングし、ネガティブ情報の影響を評価することができます。
実験と結果: 実際のデータセットを使用して、ネガティブ情報の影響を検証しました。実験の結果、システムはネガティブ情報を測定し、パンデミック状況下での精神的健康問題の解決策として効果的な対策を提供できることが示されました。

この研究は、精神的健康モニタリングにおいてネガティブ情報の影響を評価し、その対策を提供する新しいアプローチを提案しています。エッジクラウド上のインテリジェントアルゴリズムを活用することで、ユーザーのニーズにリアルタイムで対応し、精神的健康の向上に貢献する可能性が示されています。

Min Chen, Ke Shen, Rui Wang, Yiming Miao,Yingying Jiang, Kai Hwang,Yixue Hao, Guangming Tao, Long Hu, Zhongchun Liu,Authors Info & Claims,Negative Information Measurement at AI Edge: A New Perspective for Mental Health Monitoring,ACM Transactions on Internet Technology,2022

ショート動画への依存がチベーションと幸福に与える影響 メディアの使用はある面で有益である一方、過度のメディア使用は潜在的な悪影響に対する懸念が高まっています。中国の動画アプリ(DouYin、TikTok、Kwaiなど)の人気が世界中の学校に広がる中で、短編動画アプリの多様性と没入感の原則により、その人気は続き、学生たちが短編動画に中毒になる現象は学習効果に多くの潜在的な危険をもたらしています。特に中国の若者のインターネットの過剰使用の問題は、政府がオンラインアプリの使用における若者の有害な習慣のモニタリングを強化するための一連の制御政策を提案する原因となっています。また、短編動画への若者の中毒の問題は教育専門家や一般の人々にとっても大きな関心事となっており、短編動画中毒は継続的な研究課題であることが示されています。そのため、この研究は、短編動画中毒の原因と学習心理への影響を理解し、流れの経験理論とマイクロ生態系の視点から短編動画の流れの経験、中毒、内在的および外在的学習動機、学習の幸福感の関係を調査することを目的としています。アンケートはQQやWeChatなどのインスタントメッセージングソフトウェアを通じて送信され、中国の専門学校の大学生にアンケートの回答を求めました。合計517件の有効なデータが収集され、そのうち222件(42.9%)が男性学生で、295件(57.1%)が女性学生でした。収集されたアンケートは、不完全なデータを削除した後、信頼性と妥当性の分析が行われ、その後モデルの検証のために構造方程式モデリングが行われました。研究結果は次の通りです:(1)短編動画の流れの経験は短編動画中毒に対して正の影響を持っています。(2)短編動画中毒は内在的および外在的学習動機に対して負の影響を持っています。(3)内在的および外在的学習動機は学習の幸福感に対して正の影響を持っています。(4)短編動画の流れの経験は内在的および外在的学習動機に対して間接的な負の影響を持っています。(5)短編動画の流れと短編動画中毒は学習の幸福感に対して間接的な負の影響を持っています。結果から明らかなように、短編動画への中毒は学習者の学習動機とポジティブな学習心理に負の影響を及ぼすため、保護者や教師は学生が短編動画アプリを自己管理の方法で使用するように適切に指導する必要があります。

Jian-Hong Ye,Yu-Tai Wu, Yu-Feng Wu* Mei-Yen Chen,Jhen-Ni Ye,Effects of Short Video Addiction on the Motivation and Well-Being of Chinese Vocational College Students,Frontiers in Public Health,2022

ロックダウン前およびロックダウン中の中学生のモチベーションと幸福度 2020年春のCOVID-19封鎖中、オランダの子供たちは在宅学習を行っていました。Hornstra氏らの研究では、親(470人)の中学生(平均年齢14.23歳)の必要満足度、学業の動機づけ、幸福感に対する認識が封鎖前(後ろ向きに評価)と封鎖中でどのように異なるかを調査しました。さらに、封鎖の影響が親の教育水準、学業トラック、性別、特別な教育ニーズ(SEN)に基づく異なる子供たちのグループにどのように影響するかも調査しました。結果は、封鎖中に親が認識する学生の動機づけと幸福感が減少し、これは必要満足度の低下によって説明できることを示しました。ほとんどの学生の特性は封鎖の影響を調整しなかったが、SENに関しては異なりました。封鎖の影響は、特に優れた才能を持つ子供や行動障害のある子供を含むSENのある子供たちにとって、SENのない子供たちよりも負の影響が少なかったという結果が得られました。結果は、封鎖後や将来の封鎖後の実務的な影響や示唆について議論されています。

Lisette Hornstra, Linda van den Bergh, Jaap J. A. Denissen, Isabelle Diepstraten, Anouke Bakx,Parents’ perceptions of secondary school students’ motivation and well-being before and during the COVID-19 lockdown: the moderating role of student characteristics,JORSEN,2021

SNSが高齢者に与える有益な影響 背景と導入:ソーシャルメディアプラットフォームであるFacebookは、高齢者にとっても重要なコミュニケーションと交流の手段となっています。Eun Hwa Jungらは、高齢者がFacebook上で行う活動が、内在的動機づけと幸福感にどのような影響を与えるかを調査しました。

研究目的:この研究の目的は、高齢者のFacebook上での活動が、内在的動機づけと幸福感にどのような関連があるかを明らかにすることです。また、アフォーダンス(プラットフォームが提供する機能や機会)がこの関連にどのように影響するかも調査します。

方法:調査は高齢者を対象に行われ、Facebook上での活動、内在的動機づけ、幸福感に関するアンケートが実施されました。アフォーダンスも評価され、それらが内在的動機づけと幸福感に与える影響が分析されます。

結果と考察:調査結果から、高齢者のFacebook上での活動が内在的動機づけと幸福感と関連があることが示されました。特に、情報共有やコミュニケーション活動がこの関連に寄与していることがわかりました。また、アフォーダンスも内在的動機づけと幸福感に影響を与えることが明らかにされました。

結論と意義:この研究は、高齢者のFacebook上での活動が内在的動機づけと幸福感に与える影響を理解する上で重要な洞察を提供しています。また、アフォーダンスがこの関連に与える影響も明らかにし、ソーシャルメディア活動が高齢者の幸福感や動機づけに与える影響を考える上で有益な情報となっています。

Eun Hwa Jung&S. Shyam Sundar,Older Adults’ Activities on Facebook: Can Affordances Predict Intrinsic Motivation and Well-Being?,Health Communication ,2022

身体運動が若年成人の心理的幸福感に与える影響 背景と目的:Jesús Granero-Jiménezらの研究は、身体運動が若年成人の心理的幸福感に与える影響を調査することを目的としています。運動と心理的幸福感の関係についての理解を深めることを目指しています。

研究方法:この研究は、定量的なアプローチを用いて行われました。若年成人を対象にアンケート調査が行われ、身体運動の実施頻度や種類、心理的幸福感に関する情報が収集されました。

結果:調査結果から、身体運動の実施頻度が高いほど、若年成人の心理的幸福感が高まる傾向が示されました。特に、定期的に運動を行っている若年成人は、運動を行わない場合と比べてより高い幸福感を報告しています。

結論と意義:この研究の結果は、身体運動が若年成人の心理的幸福感にポジティブな影響を与える可能性があることを示唆しています。定期的な身体運動が若年成人のメンタルウェルビーイングに寄与する重要性が強調されています。これにより、身体的健康と心理的健康の関連性が強調され、運動習慣の重要性が示されています。

Jesús Granero-Jiménez ,María Mar López-Rodríguez ,Iria Dobarrio-Sanz andAlda Elena Cortés-Rodríguez,Influence of Physical Exercise on Psychological Well-Being of Young Adults:A Quantitative Study,International Journal of Environmental Research and Public Health,2022

高齢者施設の入居者の孤独の経験と幸福感への影響 背景と目的: Jennifer L. Smithらによる研究は、高齢者施設の入居者における孤独の経験とその動機づけプロファイルと、これが幸福感にどのような影響を与えるかを調査することを目的としています。

研究方法: この研究では、高齢者施設の入居者を対象にアンケート調査が行われました。孤独の経験に関する情報、その動機づけ、および幸福感に関する情報が収集されました。

結果: 調査結果から、高齢者施設の入居者には異なる孤独の動機づけプロファイルが存在することが示されました。一部の入居者は自己成長や内省のために孤独を好む一方、他の入居者は社会的な繋がりの欠如による孤独を経験していることがわかりました。自発的な孤独のプロファイルは幸福感と正の関連が見られましたが、社会的な繋がりの欠如による孤独のプロファイルは幸福感と負の関連が見られました。

結論と意義: この研究は、高齢者施設の入居者における孤独の経験が異なる動機づけに基づいて存在し、その動機づけが幸福感に影響を与えることを示しています。自己成長や内省を求めて孤独を楽しむ入居者は幸福感が高まる一方、社会的な繋がりの欠如による孤独は幸福感に負の影響を与える可能性があります。この研究は、高齢者の孤独の経験と幸福感の関連性を深く理解する上で重要な洞察を提供しています。

Jennifer L. Smith , Virginia Thomas , and Margarita Azmitia,Happy Alone? Motivational Profiles of Solitude and Well-Being Among Senior Living Residents,The International Journal of Aging and Human Development,2022

認知的なジョブクラフティング(CJC)と内発的動機づけ 従業員はしばしば自身の仕事の役割を再定義し、仕事に意味を付与することで、認知的なジョブクラフティング(CJC)と呼ばれる変化を生じます。CJCの重要性は研究者によって認識されていますが、どのような動機的特性がこの認知的変化の発端に影響を与えるか、またこれらの認知的変化が個人の幸福感にどのような影響を与えるかに関するエビデンスはまだ不足しています。エレン・ キリッチらによる研究によって、職務設計と自己決定理論に基づき、内在的動機がCJCにどのように影響を与えるか、そしてそれによって認知的変化を通じて情緒的幸福感(AWB)を最適化するか明らかになりました。

方法:
横断的なデータは、さまざまな組織で働く327人のホワイトカラー従業員からオンラインアンケートを用いて収集されました。仮説モデルの妥当性は構造方程式モデリングを使用して検証され、Process分析を用いて仮説が検証されました。

結果:
研究結果は、内在的動機(つまり、自己決定と意味)がCJCと肯定的に関連し、これによって肯定的な感情が増加し、否定的な感情が減少するということを示し、これは中介メカニズムを反映しています。

実務への示唆:
エレン・ キリッチらは、従業員の幸福感を向上させるために、積極的な仕事再設計戦略(例:ジョブクラフティングトレーニング)を価値あるものとする政策を実施することで、実務家が従業員をモチベートし、仕事をクラフトすることを奨励できると提案しています。これにより、従業員は積極的に関与し、優れたパフォーマンスを発揮することができます。

価値:
この研究の結果は、動機的および認知的メカニズムの役割にエビデンスを提供することによって、仕事での幸福感を最適化するのに役立つジョブクラフティングの取り組みのより深い理解に貢献しています。

Eren Kilic, Hakan Kitapci,Cognitive job crafting: an intervening mechanism between intrinsic motivation and affective well-being,Management Research Review,2023

労働環境における幸福と不健康の予測因子 これまでに、職場の文脈における幸福感と不幸感の予測要因を包括的に調査するための体系的なレビューは行われていませんでした。経験的な研究は、幸福感を自律的な動機付けと基本的な心理的ニーズの満足の結果として広く関連付けており、不満は不幸感の結果とされています。パウラ マルティンス ヌネス氏らは、現象の発生と個人/組織の特徴、従業員の幸福感/不幸感に関連する結果を関連付けた経験的な研究で特定された変数を統合しました。

結果は、自己決定的な動機付けとニーズの満足の役割を強調し、幸福感を促進する一方で、欠如した動機とニーズの不満は不幸感を引き起こすことを裏付けています。さらに、不幸感が否定的な結果をもたらすだけでなく、ポジティブな職務成果を減少させる可能性があることを示しています。研究結果はまた、統合された動機が幸福感の促進において内発的および同定的な動機と明確に異なるわけではないように見えること、内在化された動機づけ行動が外向きのものよりも心理的健康に対する悪影響が少ない可能性があること、外部動機づけと幸福感/不幸感の関係については将来の調査が必要であること、および欠如した動機は労働者の心理的健康に有害な影響を与えるようです。

実務への示唆:
研究結果は、人材管理の実務家に対して、従業員の心理的健康を促進するための作業環境と実践を設計するための実用的な情報を提供します。

独自性/価値:
職場の文脈における不幸感/幸福感の予兆、予測要因、および結果に関する経験的知見を集約した前例のないフレームワークが提示されています。

Paula Martins Nunes, Teresa Proença, Mauro Enrique,A systematic review on well-being and ill-being in working contexts: contributions of self-determination theory,Personnel Review,2023

目標達成の理由フレームワークと主観的幸福感の関係 Christian Ehrlichらの研究は、「目標達成の理由フレームワーク※1)」と主観的幸福感※2)との間に存在する亜集団特有の関係に焦点を当てています。研究は、異なる人々の目標達成の理由が主観的幸福感にどのように影響を与えるかを探求しています。特に、異なる亜集団内でのこの関係の特徴やパターンを明らかにすることを目指しています。

方法:
研究は、さまざまな亜集団内のデータを分析して行われました。異なる人々や背景の特徴における目標達成の理由と主観的幸福感の関連性を調査しています。

結果:
研究の結果は、目標達成の理由と主観的幸福感との関連性が亜集団ごとに異なることを示唆しています。異なる背景や特性を持つ人々の間で、目標達成の理由が主観的幸福感に与える影響が異なることが明らかにされています。これにより、亜集団特有の関係性やパターンが明らかにされています。

実務への示唆:
研究の成果は、異なる亜集団内での目標達成の理由と主観的幸福感の関係を理解し、それに基づいて個別のアプローチや介入を検討する上で実務家に役立つ可能性があります。

独自性/価値:
この研究は、「目標達成の理由フレームワーク」と主観的幸福感との関係が亜集団ごとに異なる可能性を示唆することで、個人の背景や特性が関係性にどのように影響を与えるかに関する理解を提供しています。

※1)目標達成の理由フレームワーク:人々が目標を追求する理由に関する枠組みで、内在的動機、外部動機、規制の動機の3つのカテゴリに分けられます。
※2)主観的幸福感:個人の主観的な幸福や満足度の感じ方。

Christian Ehrlich,Sashenka Milston,Subgroup specific relations between the goal-striving reasons framework and subjective well-being, Current Psychology,2023

心理的柔軟性・ニーズの満足、および主観的幸福感の間の関連性とは Andrew J. Howellらは、心理的柔軟性※1)、ニーズの満足※2)、および主観的幸福感の間の関連性を検証することを目的として研究を行いました。心理的柔軟性と個人の幸福感に関連する要因との関係を探求し、心理的柔軟性が個人の主観的な幸福感※3)に与える影響を理解することを試みています。また、幸福活動モデル※4)という枠組みを使用して、幸福感の要因となる活動に焦点を当てています。

方法:
研究は、調査データを用いて行われました。心理的柔軟性、ニーズの満足、主観的幸福感の関連性を明らかにするための分析が行われました。

結果:
研究の結果は、心理的柔軟性とニーズの満足との間に関連性があることを示唆しています。また、心理的柔軟性が主観的幸福感と関連していることが示されており、幸福活動モデルの観点からの関連性も明らかにされています。

実務への示唆:
この研究の成果は、心理的柔軟性と幸福感との関連性を理解し、個人の幸福感を向上させるアプローチや介入を考える上で実業家に役立つ可能性があります。

独自性:
Andrew J. Howellらの研究は、心理的柔軟性と幸福感との間の関連性を探求するだけでなく、幸福活動モデルを組み込むことによって、個人の活動が幸福感に与える影響を深く理解する価値を提供しています。

※1)心理的柔軟性:個人が状況に適応し、変化に対処するための柔軟な認知的・行動的スキル。
※2)ニーズの満足:個人の基本的な心理的ニーズが満たされることによって生じる満足感。
※3)主観的幸福感:個人の主観的な幸福や満足度の感じ方。
※4)幸福活動モデル:個人の幸福感に影響を与える活動や経験に関する枠組み。

Andrew J. Howell, Katelyn M. Demuynck,Psychological flexibility and the Eudaimonic Activity Model: Testing associations among psychological flexibility, need satisfaction, and subjective well-being,Journal of Contextual Behavioral Science,20023

マインドセットとパフォーマンスの関係 近年のマインドセットに関する研究は、そのパフォーマンスへの均質な役割を理解することから、教室環境がその異なる影響を説明する方法へとシフトしています(つまり、マインドセット × コンテキスト仮説)。マクロなコンテキスト(例:学生のマインドセットの社会的水準)もその異なる影響を説明するのに役立つでしょうか?そして、この相互作用効果は、学生の幸福感を理解するためにも適用されるでしょうか?これらの問いに対処するために、Nigel Mantou Louらは学生のマインドセットの役割が成績(数学、科学、読書)と幸福感(人生の意味、ポジティブな感情、生活満足度)にどのように影響されるか、社会的マインドセットの規範(つまり、マインドセット × 社会的規範効果)がどのように関与するかを検討しました。

サンプル/方法
多層分析を用いて、グローバルなデータセット(78の社会で612,004人の思春期の若者)を分析しました。学生のマインドセットの社会的規範は、各社会内の学生から得られた平均スコアでした。

結果
成長マインドセットはすべてのパフォーマンスの結果において正の影響を示しましたが(r = .192、.210、.224)、これらの関連は成長マインドセットの規範が存在する社会では有意に強かったです。対照的に、成長マインドセットと心理的な幸福感との関連は非常に弱く不一致でした(r = −.066、.003、.008)。重要なことは、この関連性が固定マインドセットの規範の社会では負の影響を示し、成長マインドセットの規範の社会では正の影響を示しました。

結論
これらの結果は、成長マインドセットがすべての社会で普遍的な肯定的な影響を持つというアイデアに疑問を投げかけています。成長マインドセットは、固定マインドセットの規範の社会では効果がないか、さらには有害であるかもしれません。このような社会的な規範は、成長マインドセットを持つ学生の可能性を抑制し、その幸福感を損なう可能性があります。研究者は、学生の成長を理解し促進する取り組みにおいて社会的規範を考慮する必要があるでしょう。

Nigel Mantou Lou, Liman Man Wai Li,The mindsets × societal norm effect across 78 cultures: Growth mindsets are linked to performance weakly and well-being negatively in societies with fixed-mindset norms,British Journal of Educational Psychology,2022

高いワークエンゲージメントを示すフィンランドの教育専門職 フィンランドの教育システムは国際的に評価が高く、子供の発達全般をサポートするアプローチが取られています。早期教育から始まり、子供の学習や社会的スキルの発達を促進します。

Sajaniemi氏らは、フィンランドの幼児教育専門職(ECEP)(n = 107)の職業的幸福感とシステムインテリジェントなチームワークの経験について調査しました。職業的幸福感は基本的な心理的仕事の満足度、ワークエンゲージメント、バーンアウトで測定されました。階級別の分散分析の分析によると、ECEPは高いワークエンゲージメントを持ち、働くコミュニティでの能力と関連性を感じました。一方で、彼らの自律性は低く、疲れを感じましたが、全体的なバーンアウトレベルは低かったです。豊富な職務経験は、職務関連の幸福感と職場での社会的感情システムの認識を高めました。ECEの教員は最も高いワークエンゲージメントと基本的な心理的ニーズの満足度を持ち、最も低いバーンアウトを経験しましたが、システム的な相互作用構造の認識に関してはあまり自己評価が高くありませんでした。一方、ECEの社会教育学者は、システムインテリジェントな行動において最も自己評価が高いと感じました。ECEの保育士は、システムインテリジェントなチームのサポートを高く評価しました。クラスター分析では、職業的幸福感とシステムインテリジェントのレベルを表す2つの異なるクラスターを特定しました。この解決策は、高い職業関連の幸福感とシステムインテリジェントを持つECE教師との関連性を示しています。Sajaniemi氏らは、多職種のチームワークをECEPの多様な教育背景に合わせて発展させ、専門的な責任を彼らの教育により一貫性のあるものにすることを提案しています。

Nina Sajaniemi,Eira Suhonen,Harri Pitkäniemi,Occupational well-being and teamwork in Finnish early childhood education,Journal of Early Childhood Education Research,2023

園芸が社会的つながりと幸福感を向上させる!? 園芸は、身体活動と社会的つながりの増加を通じて健康と幸福感を向上させる潜在性を持っています。しかし、庭の活動の利点については多く知られていますが、より受動的な形態の庭への関与(例:庭の鑑賞)の健康への潜在的な影響については少なく知られています。また、多くの庭園の研究は都市部で行われており、農村地域の人々に与える健康への影響についてはあまり知られていません。サイムズ氏らの研究は、これらの研究のギャップを埋めるために、オーストラリアの農村地域で活動する庭園鑑賞グループ「コラック園芸と素晴らしいプロパティ鑑賞協会(CHAMPAS)」のメンバーの経験と視点を理解することを目的としています。現象学的かつ質的な方法論を用い、データ収集には半構造化面接を使用しました。目的選考法とスノーボールサンプリングを用いて11人の参加者を選出し、データは解釈的で反射的なテーマ分析を適用して分析されました。4つの主要なテーマとそれを支えるサブテーマが生成されました。4つの主要なテーマは次のとおりです:(i)CHAMPASへの参加の維持動機、(ii)メンバーシップから形成される社会的なつながりと友情、(iii)CHAMPASのコミュニティ感と組織構造、および(iv)このグループへの継続的な関与に伴う知覚された健康と幸福の利点。この研究では、メンバーが社会的なつながりの促進、コミュニティグループとしての機能、およびメンバー同士での家庭園芸の愛を共有する方法としてのCHAMPASの健康と幸福の利点を知覚していることがわかりました。この研究は、農村地域の人々に対する庭園鑑賞グループの健康促進効果を知覚し、可能性を示すものです。

Leith Symes, Nyssa Hadgraft, Pauline Marsh, Sonia Nuttman, Jonathan Kingsley,‘Surrounding yourself with beauty’: exploring the health promotion potential of a rural garden appreciation group,Health Promotion International ,2023

共感が健康行動につながる動機になる Barragan氏らの研究は、利他的な行動と健康の関係に焦点を当て、全ての人間との共感が健康行動における利他的な動機を予測する再現可能な要因であるかどうかを検証しています。

研究は、個人の利他的な行動や健康行動に影響を与える要因を明らかにするために行われました。特に、全ての人間との共感が、健康行動を推進する利他的な動機にどのような影響を及ぼすかが焦点です。

全ての人間との共感がマスクの着用や公共の場でのマスクなしでの身体的距離を取る利他的な動機を予測することが示されました。これらの結果は、人口統計、教育達成度、ビッグファイブの人格次元などの多くの共変量を制御した状態で得られました。一部の人々は、見知らぬ人々の健康に気を使う強い意欲を持っており、これは彼らが自分のコミュニティや国に限定されるのではなく、全ての人間に対する関心に関連していることがわかりました。これにより、他者との共感が個人の健康行動を促進する上で重要な役割を果たす可能性が示唆されています。

この研究は、利他的な行動と健康の関係において全ての人間との共感が予測要因として機能することを明らかにし、健康行動の促進に向けて他者への共感を育むアプローチの重要性を示唆しています。

Rodolfo Barragan,Andrew N. Meltzoff,Prosociality and health: Identification with all humanity is a replicable predictor of prosocial motivation for health behaviors, Personality and Social Psychology,2023

メタ認知と内発的動機付け メタ認知とは、個人が自分自身の認知プロセスや思考を理解し、監視し、制御する能力を指します。つまり、自分の思考や学習方法についての意識的な知識と認識を指します。メタ認知は、自己調整や学習の効果を高めるために重要な概念です。

具体的には、メタ認知は以下のような側面を含みます:

メタ認知知識(Metacognitive Knowledge):自分の認知プロセスに関する知識や理解を指します。これは、どのような学習戦略が効果的か、どのような問題解決方法が適切かなどの知識を含みます。

メタ認知監視(Metacognitive Monitoring):自分の思考や学習の過程を監視し、評価する能力を指します。これにより、自分の理解度や進捗状況を把握し、必要に応じて調整を行うことが可能となります。

メタ認知制御(Metacognitive Control):自分の認知プロセスや学習戦略を制御・調整する能力を指します。これにより、適切な戦略を選択し、課題に適したアプローチを取ることができます。

メタ認知は、学習、問題解決、意思決定、創造性など、さまざまな認知タスクに影響を与える重要な要素です。また、自己評価や自己効力感の形成にも関連しており、個人の自己調整能力を高める上で重要な役割を果たしています。

メタ認知と動機は、さまざまな文脈での自己調整の重要な側面とされています。最近の研究では、メタ認知と創造的なパフォーマンスの間に関連性があり、メタ認知に気付いている学生ほど創造的なパフォーマンスが高く、内発的および同定された外発的動機の水準も高いことが示されています。Marek Urban氏らは、メタ認知と内発的な動機または外発的な動機への志向、そして創造的なパフォーマンスとの関係を調査を行いました。119人の大学生がメタ認知意識インベントリ(MAI)と教室内での内発的動機と外発的動機の志向の尺度を完了し、4つの言語的な創造力タスク(製品改善タスク、結果タスク、2つの異常使用タスク)を行いました。部分相関ネットワークは、すべての創造力タスクが少なくとも1つのメタ認知の側面と固有に関連しており、最も複雑なタスク(製品改善タスク)がメタ認知の知識と調整の両方に関連していることを示しています。さらに、構造方程式モデルは、内発的動機への志向がメタ認知と創造的なパフォーマンスの関係を中介しており、創造的なパフォーマンスの分散の16%を説明しています。

Marek Urban, Kamila Urban,Orientation Toward Intrinsic Motivation Mediates the Relationship Between Metacognition and Creativity,The Journal of Creative Behavior,2022

創造性と内発的動機付け 動機は創造的なアイデアの生成において鍵となり、内発的動機は創造性の中核的な推進力です。研究者は、より高い内発的動機を持つ個人は、より高い新奇性と柔軟性のあるアイデアを生み出すと信じています。創造性は、環境の手がかりにも影響を受ける可能性があり、これは個人が問題を解決するために環境内の対象を利用できるものです.Xiaoqing Ma氏らは、内発的動機と環境の手がかりが社会的創造性に与える影響を調査し、内発的動機と環境の手がかりが電子ブレインストーミング(EBS)の過程において相互作用効果があるかどうかを検討しました。結果は、より多くの手がかりが提示された場合、個人はより多くのアイデア(数量とタイプの両方で)を生成したことを示しました。この過程において、手がかりの数が社会的創造性の流暢性と柔軟性に与える影響は内発的動機によって調整されました。また、手がかりがより新奇であるほど、参加者が生成したアイデアの総合的な独創性が高くなりました。同様に、手がかりの新奇性が社会的創造性の効果と流暢性に与える影響も内発的動機によって調整されました。この研究は、内発的動機と創造性の複雑な関係に新たな理論的視点を提供します。さらに、大学生向けの社会的創造性のトレーニングに関する実証的なエビデンスを提供しています。

Xiaoqing Ma,Zhi Bie,Chun Li,Chuanhua Gu,The effect of intrinsic motivation and environmental cues on social creativity,Interactive Learning Environments ,2021

月曜日にモチベーションが低下する!? 心理学者によって広く研究されている内発的動機(IM)と制御的外発的動機(EM)ですが、多くの研究は静的な関連性に焦点を当てています。一方、従業員のモチベーションと週末効果との間のダイナミックな関係に関する研究は限られています。Ruoxuan Li氏らの研究では、新しい時系列アプローチである動的構造方程式モデリング(DSEM)を使用して、内発的動機と制御的外発的動機の2つのモチベーションタイプの日々のダイナミックで循環的な関係を評価しました。チームイベントとモチベーション研究から得られたデータは、238人の従業員(51人の女性)と計11,470の日々のアンケートを含みました。結果は、特性レベルでのIMと制御的EMの正の関係を支持し、1つの勤務日から翌日にかけてのキャリーオーバーは低いか中程度であることを示しました。制御的EMの増加は、翌日の勤務日におけるIMの向上と関連していました。さらに、従業員は月曜日にモチベーションが低下する週次サイクルが現れました。IMと制御的EMのオートリグレッシブ効果は、金曜日から月曜日までの間で他の期間よりも大きく、また、週末を考慮した後には双方向のクロスラグ効果が負でした。これらの結果は、モチベーションプロセスの複雑さと、従業員のモチベーションをダイナミックな視点から理解する重要性を強調しています。

Ruoxuan Li, Hongyun Liu, Zuowei Chen, Yunan Wang ,Dynamic and cyclic relationships between employees’ intrinsic and extrinsic motivation: Evidence from dynamic multilevel modeling analysis,Journal of Vocational Behavior2023

キャリアの志向性とコミットメントの関連性 プロティアンキャリア志向とバウンダリスレスキャリア志向が組織へのコミットメントの先行要因としてどのような影響を持つでしょうか。クマール氏らはインドのIT業界の実証的なデータを通じて、キャリアと組織関係の相互作用を調査しました。

研究目的:この研究の目的は、プロティアンキャリア志向とバウンダリスレスキャリア志向が組織へのコミットメントにどのような影響を与えるかを理解することであり、特にインドのIT業界における実証的なエビデンスを提供することを目指しました。

プロティアンキャリア志向:プロティアンキャリア志向は、個人が自身のキャリアの方向性や目標を柔軟に変更する意向や能力を指します。プロティアンキャリア志向を持つ人々は、自己成長や意義ある経験を追求する傾向があります。

バウンダリスレスキャリア志向:バウンダリスレスキャリア志向は、組織や業界の枠を越えてキャリアを展開する志向性を指します。これにより、異なる経験やスキルを獲得し、自己成長を促進することが可能となります。

組織へのコミットメント:組織へのコミットメントは、個人が組織に対してどれだけ忠誠心を持ち、継続的に努力をしようとするかを示す指標です。組織へのコミットメントが高い人々は、組織の目標達成に寄与する可能性が高いとされます。

結果:研究の結果、プロティアンキャリア志向とバウンダリスレスキャリア志向が組織へのコミットメントに正の影響を与えることが示されました。つまり、これらのキャリア志向を持つ人々は、組織への忠誠心や継続的な貢献意欲が高まる可能性があることが示唆されました。

Sunil Kumar,Anthony Bagherian,Anshu Lochab,Adil Khan,Protean and Boundaryless Career Attitudes as Antecedents of Organizational Commitment—Evidence from the Indian IT Industry,MDPI Journals Awarded Impact Factor,January 2023

能動的なキャリア志向と主観的なキャリア成功の関連性とは キャリア構築理論の視点から、能動的なキャリア志向と主観的なキャリア成功にはどのような関連性があるでしょうか。

Po-Chien Chang氏らの研究の目的は、キャリア構築理論を用いて、能動的なキャリア志向と主観的なキャリア成功の間にどのような関係があるかを明らかにすることです。能動的なキャリア志向は、個人が自己のキャリアを積極的に計画し、方向づける傾向を指します。一方、主観的なキャリア成功は、個人が自分のキャリアに満足し、達成感を感じる程度を表します。

研究は、キャリア構築理論の枠組みを通じて、能動的なキャリア志向が主観的なキャリア成功にどのような影響を及ぼすかを分析しています。データは、アンケート調査やインタビューなどを通じて収集され、能動的なキャリア志向と主観的なキャリア成功の関連性を評価しています。

研究の結果は、能動的なキャリア志向が主観的なキャリア成功に正の影響を与えることを示しています。つまり、個人が自己のキャリアを積極的に計画し、目標を追求する姿勢が、キャリアの満足度や達成感に寄与することが示唆されています。

この研究により、能動的なキャリア志向と主観的なキャリア成功の関係性についての理解が深まり、キャリアの成果や満足度を高めるためのアプローチに関する示唆が得られることが期待されます。

Po-Chien Chang,Yuanli Guo,Qihai Cai,Hongchi Guo,Proactive Career Orientation and Subjective Career Success: A Perspective of Career Construction Theory,MDPI Journals,2023

キャリア資本としての従業員のキャリアマインドセットについて こデジタルワークの環境に向け、キャリア資本としての従業員のキャリアマインドセットはどのような役割を持つでしょうか。

クッツェー氏らの研究の主な目的は、デジタルワークの新しい環境において、従業員のキャリアマインドセットがどのようにキャリア資本として機能するかを理解することです。キャリアマインドセットとは、個人がキャリアに関する考え方や態度のことを指します。デジタル化の進展によって変化する職場の状況において、どのようなキャリアマインドセットが有益であるかや、従業員がどのようにそれをキャリアの資本として活用できるかが焦点となっています。

研究は、キャリアマインドセットがデジタルワーク環境においてどのように影響を与えるかを調査し、従業員のキャリア資本としての役割を評価しています。データは、アンケート調査やインタビューなどを通じて収集され、キャリアマインドセットがデジタルワークの展望にどのように適合するかが分析されています。

研究の結果は、キャリアマインドセットがデジタルワークの環境において重要なキャリア資本となることを示唆しています。従業員が適切なキャリアマインドセットを持つことで、新しいテクノロジーや変化する職場環境に適応し、成功を収める可能性が高まることが示されています。

この研究により、デジタルワークの展望においてキャリアマインドセットが果たす役割やその価値についての理解が深まり、個人のキャリア戦略や組織のキャリア開発に関する洞察が得られることが期待されます。

Melinde Coetzee, Nadia Ferreira, Ingrid L. Potgieter,Employees’ career mindsets as career capital for a digital work world orientation,SA Journal of Industrial Psychology,2023

マレーシアの労働人口におけるキャリアチェンジの主要な要因 マレーシアの労働人口にはさまざまな課題が存在します。以下にいくつかの主な課題を挙げてみましょう:

失業率の上昇:マレーシアでは、失業率が一定の課題となっています。特に若年層や新卒者の失業率が高く、適切な雇用機会が提供されていないことが問題となっています。

低賃金と経済的不平等:一部の労働者は低賃金で働いており、経済的な不平等が存在します。低賃金のために生活の質が低下し、十分な生活水準を維持することが難しい状況もあります。

技能不足と労働力の不適合:マレーシアの労働市場では、一部の分野において求められるスキルと実際の労働者のスキルが一致しないギャップが存在しています。これにより、適切な職業に就くことが難しくなることがあります。

女性の職業機会とジェンダー不平等:女性労働者が職業市場で男性に比べて不利な条件で働いているケースがあり、ジェンダー不平等が存在します。女性の職業機会や昇進の機会に制約があることが問題とされています。

高い労働移動率と安定性の不足:労働者の間での頻繁な転職が見られ、職業の安定性が不足していることがあります。これにより、雇用の不安定感が広がっています。

人材流出とブレインドレイン:高度な教育を受けた人材が海外で働くことを選ぶ「ブレインドレイン」現象が見られ、国内の人材流出が懸念されています。

これらの課題に対処するために、マレーシア政府や関連する組織は、労働市場の改革、スキル開発プログラムの強化、ジェンダー平等の推進、雇用創出の促進などさまざまな取り組みを行っています。

Jennifer Yee Quan Tham 氏らの研究は、マレーシアの労働人口におけるキャリアチェンジの現象を現象学的な視点から分析しています。

研究の目的は、マレーシアの労働人口においてキャリアチェンジがどのような過程で生じているかを理解することです。キャリアチェンジとは、個人が異なる職業や仕事に移行する過程を指します。この研究では、キャリアチェンジの決定要因、過程、およびその影響についての洞察を得ることを目指しています。

研究は、現象学的なアプローチを用いて、マレーシアの労働人口におけるキャリアチェンジの経験を分析しています。データは、インタビューやアンケート調査などを通じて収集され、個人のキャリアチェンジの動機や過程、結果についての洞察が得られるようになっています。

研究の結果は、マレーシアの労働人口におけるキャリアチェンジの主要な要因が何であるか、どのような過程でキャリアチェンジが進行するか、そして個人や組織に対する影響がどのように現れるかについての理解を提供しています。

この研究により、マレーシアの労働市場におけるキャリアチェンジの特徴や背後にある動機に関する洞察が深まり、個人のキャリア選択や組織のキャリア開発に関する戦略の構築に役立つ情報が得られることが期待されます。

Jennifer Yee Quan Tham , Yit Sean Chong , Pervaiz K. Ahmed,A Phenomenology of Career Change in the Malaysian Workforce,The Narratives of Rejectors, Navigators and Seekers,2023

英国のテレビ業界にみるキャリア形成と進展 英国のテレビ業界にはいくつかの課題が存在します。以下にいくつかの主な課題を挙げてみましょう

多様性とインクルージョンの欠如:テレビ業界は、多様性やインクルージョンに関する課題を抱えています。特に、ジェンダーや人種、障がいを持つ人々などが業界内で十分な表現や機会を得られないケースがあります。

報酬不平等:テレビ業界においても、男女間や異なる役職間での報酬不平等が存在します。女性やマイノリティが同じ職務を果たすにもかかわらず、男性と比べて報酬が低い場合があります。

制作内容の品質と多様性:テレビ番組や制作内容の多様性と品質に関する懸念があります。一部の番組が特定の視聴者を対象とし、多様な声や視点が不足している場合があります。

視聴習慣の変化:オンラインストリーミングサービスの普及などにより、視聴習慣が変化しています。これに伴い、従来の放送業態に対する競争が激化し、テレビ業界全体に影響を与えています。

技術の進化とスキルニーズ:テレビ業界は技術の進化に追いつく必要がありますが、これには適切なスキルが必要です。従業員のスキルや能力の向上が求められています。

制作環境と労働条件:テレビ制作は非常に忙しい環境で行われることが多く、労働条件が厳しい場合があります。労働時間や健康面への配慮が求められています。

これらの課題に対処するために、業界内の団体や政府、関連組織は、多様性とインクルージョンの推進、報酬平等の確保、制作内容の多様性の向上、新しい技術に適応したスキルの育成、労働環境の改善などさまざまな取り組みを行っています。

Jonathan Morris氏らの研究は、英国のテレビ業界において、ネットワーク、プロジェクト、およびキャリアの関係性に焦点を当てています。

研究の目的は、テレビ業界内での人々のつながりやプロジェクトの影響が、個人のキャリアにどのような影響を与えるかを理解することです。ネットワークは、人々が他の人との関係を通じて形成するつながりのことを指します。プロジェクトは、特定の仕事やタスクに取り組む活動を指します。キャリアは、個人の職業的な経歴や進展を指します。

研究は、これらの要因がテレビ業界内でどのように相互作用し、キャリアの形成や進展に影響を及ぼすかを分析しています。データは、インタビューやアンケート調査などを通じて収集され、ネットワークとプロジェクトがキャリアの方向性や成功にどのように関与するかについての洞察が得られるようになっています。

研究の結果は、テレビ業界におけるネットワークやプロジェクトの重要性がキャリアに与える影響について示唆しています。特定の人々とのつながりやプロジェクトへの関与が、個人の職業的な進展や成功に寄与する可能性があることが示されています。

この研究により、テレビ業界におけるネットワークとプロジェクトの役割や、これらがキャリア形成に与える影響に関する理解が深まり、テレビ業界での個人のキャリア戦略やプロフェッショナルなつながりの構築に関する示唆が得られることが期待されます。

Jonathan Morris , Alan McKinlay, and Catherine Farrell ,The ties that bind us: Networks, projects and careers in British TV,Human Relations,2021

希望がキャリアエンパワーメントにもたらす影響とは Daphna Shwartz-Asher氏らの研究は、「ホープ」と組織の成果との関係における「キャリアエンパワーメント」の仲介役を検証しています。

研究の目的は、個人の「ホープ」が組織の成果にどのような影響を及ぼし、その関係において「キャリアエンパワーメント」がどのように働くかを理解することです。ここでの「ホープ」とは、個人が達成可能な目標を見出す能力を指し、キャリアエンパワーメントは個人が自身のキャリアに対して自己決定力や自己効力感を持つ能力を指します。

研究は、「ホープ」が個人のキャリアエンパワーメントに与える影響と、そのキャリアエンパワーメントが組織の成果に及ぼす影響を分析しています。データは、アンケート調査などを通じて収集され、ホープ、キャリアエンパワーメント、組織の成果の関連性についての分析が行われています。

研究の結果は、「ホープ」と組織の成果の関係において、「キャリアエンパワーメント」が仲介役として働くことを示唆しています。つまり、個人が自己のキャリアを自己決定的に進め、目標達成を希望する力(ホープ)が、組織の成果に対する影響をキャリアエンパワーメントを通じて仲介することが示されています。

この研究により、「ホープ」とキャリアエンパワーメントの関係が組織の成果に与える影響についての理解が深まり、個人のキャリア開発や組織の人材戦略における重要な要因に関する洞察が提供されることが期待されます。

Daphna Shwartz-Asher, Mirit Grabarskib, Aharon Tzinera, , and Or Shkolerd Mirit Grabarski, Aharon Tzinera, Journal of Work and Organizational Psychology,2023

市民の公共サービス志向のデジタル共同制作における市民の行動への影響 デジタル共同制作は、市民がデジタル技術やオンラインプラットフォームを活用して、公共サービスや政策の開発・実現に参加する取り組みを指します。市民が自らの意見や知識を提供し、データを共有し、政府や公的機関と連携して公共の課題に取り組むことが特徴です。デジタル共同制作は、市民参加の促進や政策決定の透明性を高めるための手段として注目されています。

デジタル共同制作における具体的な例としては、オンラインプラットフォームを通じて市民が政策提案を行ったり、データを提供したりすること、市民が政策の評価や改善に参加すること、デジタル技術を用いて市民と行政機関とのコミュニケーションを強化することなどがあります。

公共サービスとデジタル共同制作は、市民の参加や貢献を通じてより効果的で包括的なサービスの提供や政策の実現を目指す取り組みであり、現代の社会や行政において重要な役割を果たしています。

Oliver Neumann氏らの研究は、市民の公共サービス志向が、デジタル共同制作における市民の行動にどのような影響を及ぼすかを検証しました。
研究の目的は、市民の公共サービス志向が、デジタル共同制作というコンテキストにおいて市民の行動にどのような効果を持つかを理解することです。公共サービス志向は、個人が公共の利益や社会的な価値に対する関心や貢献を持つことを指します。

研究は、市民の公共サービス志向が、デジタル共同制作における市民の行動に与える影響を分析しています。デジタル共同制作は、市民がデジタル技術を活用して公共サービスや政策の開発に参加する形態を指します。

研究の結果は、市民の公共サービス志向がデジタル共同制作における市民の行動に影響を与えることを示唆しています。具体的には、公共サービス志向が市民の参加や貢献意向、情報共有などの行動に関連していることが示されています。

この研究により、市民の公共サービス志向がデジタル共同制作における市民の行動に与える影響についての理解が深まり、公共政策や市民参加の促進に関する戦略において重要な示唆が得られることが期待されます。

Oliver Neumann,Carina Schott,Behavioral effects of public service motivation among citizens: testing the case of digital co-production,International Public Management Journal,2021

ドイツの団塊の世代における仕事の質の変化 ドイツの団塊の世代(ベビーブーマー世代)が直面する主な問題は、以下のようなものが挙げられます:

人口高齢化と年金制度への影響:団塊の世代が高齢化し、退職する人々が増加することで、年金制度に対する負担が増大しています。これにより、年金制度の持続可能性や経済的な健全性に関する懸念が高まっています。

医療と健康ケアのニーズ:高齢化に伴い、医療および健康ケアの需要が増加しています。団塊の世代は慢性的な健康問題や老化に伴う健康課題に直面し、これに対応するための適切な医療およびケアの提供が求められています。

労働市場への影響:一部の団塊の世代のメンバーはまだ労働市場に参加しており、彼らの退職によって労働力の減少がもたらされる可能性があります。これに伴い、労働市場における人材の供給と需要のバランスが変動する可能性があります。

住宅と生活環境:高齢化する団塊の世代にとって、住宅や生活環境が重要な課題となっています。適切な住宅へのアクセスやバリアフリーの環境整備が求められています。

社会保障と経済的不平等:団塊の世代の中には、経済的に豊かでない人々も含まれています。社会保障制度の充実や経済的な不平等の問題に対処することが、特に困難を抱える人々の支援に重要です。

教育と技術の変化:一部の団塊の世代のメンバーがまだ労働市場におり、新たな技術やスキルが求められる現代の労働環境に適応する必要があります。教育や再教育の機会が必要です。

社会的孤立と精神的健康:高齢化する人々が社会から孤立することや、精神的な健康課題が生じることがあります。社会的なコミュニティやサポートネットワークの充実が重要です。

これらの問題は、団塊の世代が直面する重要な課題であり、政府や社会全体での取り組みが求められています。
Michael Stiller氏らの研究は、ドイツのベビーブーマー世代の中で仕事の質の変遷がどのように推移し、それが仕事への動機にどのような影響を及ぼすかを調査しています。研究は、lidA(Leben in der Arbeit)コホート研究からの結果をもとに行われました。

研究の目的は、ベビーブーマー世代が経験する仕事の質の変化を追跡し、それが彼らの仕事への動機にどのような影響をもたらすかを理解することです。ベビーブーマー世代は、1946年から1964年にかけて生まれた世代を指します。

研究は、lidAコホート研究のデータを用いて、ベビーブーマー世代の仕事の質に関する軌跡や変遷を分析しています。また、仕事への動機に及ぼす影響も調査されています。具体的なデータや統計分析を通じて、仕事の質と動機の関連性についての洞察が得られています。

研究の結果は、ベビーブーマー世代の中で仕事の質がどのように変化するかについての理解を提供しています。また、仕事の質が動機に与える影響についても示唆が得られています。

この研究により、ベビーブーマー世代の労働者のキャリアパスや仕事の質に関する洞察が深まり、労働政策や組織の人事戦略の立案において重要な示唆が得られることが期待されます。

Michael Stiller,Nina Garthe, Nina Garthe and Hans Martin Hasselhorn,Job quality trajectories among baby-boomers in Germany and their consequences for the motivation to work – results from the lidA cohort study, Cambridge University Press,2021

ベトナムの公務員における公共サービス志向が、職務遂行に及ぼす影響 ベトナムの公務員制度は、ベトナム共産党の指導の下で運営され、政府の指導方針や政策の実行を支える役割を果たしています。公務員は、国の発展と公共の利益を促進するために重要な役割を果たすとされています。

ベトナムの公務員は、専門性や責任の度合いに応じて異なるレベルで分類されています。一般的な公務員の職務には、政策の立案と実施、行政手続きの処理、公共サービスの提供、法執行、監督などが含まれます。公務員は、公共の利益を最優先に考え、政府や国の目標を達成するために尽力する役割を担っています。

ベトナムの公務員制度は、国の発展や改革に合わせて変革を遂げており、効率性や透明性の向上、職務遂行の専門性の強化などが取り組まれています。また、公務員のモチベーションや能力の向上を支援するプログラムも展開されています。

Nguyen Thi Thanh Thuy氏らの研究は、ベトナムの公務員の中で公共サービス志向が、職務遂行にどのような影響を及ぼすかを調査し、その影響メカニズムにおける職務満足と組織適合の役割を検証しています。

研究の目的は、ベトナムの公務員における公共サービス志向が、彼らの職務遂行にどのような影響を持つかを理解し、その影響の過程において職務満足と組織適合がどのような役割を果たすかを明らかにすることです。公共サービス志向は、個人が公共の利益に対する関心や貢献を持つことを指します。

研究は、ベトナムの公務員を対象に、公共サービス志向が職務遂行に与える影響と、その影響過程における職務満足と組織適合の中介役を分析しています。具体的には、公務員のアンケートデータを用いて、これらの要因間の関連性や影響のメカニズムについての分析が行われています。

研究の結果は、ベトナムの公務員の中で公共サービス志向が職務遂行に正の影響を与えることを示しています。また、この影響の一部は職務満足と組織適合を介して伝達されることが示されています。

この研究により、公共サービス志向がベトナムの公務員の職務遂行に及ぼす影響の理解が深まり、職務満足と組織適合がこの影響のメカニズムにおいてどのような役割を果たすかに関する洞察が提供されることが期待されます。

Nguyen Thi Thanh Thuy,Boon-Anan Phinaitrup,The Effect of Public Service Motivation on Job Performance of Public Servants in Vietnam: The Role of Mediation of Job Satisfaction and Person-organization Fit,International Journal of Public Administration,2023

カナダにおける母親の食育行動 カナダの食育に関する課題はいくつか存在します。

肥満と健康問題:カナダでも肥満や関連する健康問題が増加しています。不健康な食事習慣や運動不足がこれに影響を与えており、肥満や糖尿病、心血管疾患などの健康リスクが高まっています。

食品選択の意識の向上:食品の栄養価や安全性への意識が不十分な人々も多いです。適切な食品選択や食事のバランスの取れた摂取が促進される必要があります。

食品廃棄物の削減:カナダでは食品廃棄物が大きな問題となっており、環境への負荷が高まっています。持続可能な食事習慣や食品の無駄を減少させる取り組みが必要です。

食育の普及と教育:食育に関する情報や教育がすべての年齢層に広く普及しているわけではありません。特に子供たちへの栄養教育や調理のスキルの提供が必要です。

食品不足と栄養格差:カナダ内でも一部の地域や社会階層では食品不足や栄養格差が問題となっています。特に低所得世帯や先住民コミュニティでは栄養の偏りが顕著です。

食品産業と持続可能性:食品供給チェーンや農業の持続可能性が懸念されています。持続可能な食品生産と消費の促進が求められています。

文化的多様性への配慮:カナダは多文化社会であり、異なる食文化が共存しています。文化的多様性を尊重しながら、健康的な食事習慣を促進するアプローチが必要です。

これらの課題に対処するために、カナダでは食育プログラムや政策の開発、意識向上キャンペーン、食品供給の改善などが行われています。しかし、さらなる取り組みが求められており、個人や社会全体の意識と行動の変革が必要です。
Noémie Carbonneau氏らの研究は、母親の食事行動を自己調整するモチベーションと、食育行動、さらには子供の食事に対する反応性の認識との関連性を調査しています。

研究の目的は、母親の食事行動を自己調整するモチベーションが、彼女らの子供に対する食育行動や子供の食事に対する反応性の認識とどのように関連しているかを理解することです。

研究は、母親を対象に、彼女らの食事行動の自己調整に対するモチベーション、子供への食育行動、子供の食事への反応性の認識に関するデータを収集し、これらの要因間の関連性を分析します。具体的には、母親の食事行動の自己調整に対するモチベーションが、子供の食事習慣や食事への反応性にどのような影響を与えるかを検証します。

研究の結果は、母親の食事行動の自己調整へのモチベーションが、彼女らの子供への食育行動や子供の食事への反応性の認識に影響を及ぼすことを示唆しています。

この研究により、母親の食事行動と子供の食事への関連性に関する理解が深まり、子供の健康的な食事習慣の促進や食育プログラムの開発において重要な示唆が得られることが期待されます。

Noémie Carbonneau, Élise Carbonneau , Audrée-Anne Dumas , Geneviève Lavigne , Fanny-Alexandra Guimond ,Examining the associations between mothers’ motivation to regulate their own eating behaviors, food parenting practices and perceptions of their child’s food responsiveness,Appetite,2023

個別における未病予防の要素、展望、そして課題とは 未病予防の個別化は、一般的な予防アプローチよりも効果的な結果をもたらす可能性があります。個人の特性やリスクを考慮した予防戦略は、健康の維持や疾患予防に向けた効果的なアプローチとして注目されています。
Stefanie Jaskulski氏らは、個別の予防戦略に焦点を当てて、その要素、展望、課題について論じています。

要素:
個別の予防は、個人の特性や健康状態に基づいてカスタマイズされたアプローチを採用します。このアプローチの要素には、個人の健康データの収集と分析、特定の健康リスクの評価、個別の健康改善プランの立案が含まれます。

展望:
個別の予防は、一般的な予防戦略よりも効果的な結果をもたらす可能性があります。個人の健康状態や特性に合わせたアプローチは、効果的な健康管理を支援し、健康リスクの軽減や疾患の予防につながると期待されています。

課題:
個別の予防にはいくつかの課題が存在します。プライバシーやセキュリティの懸念があり、個人の健康データの保護が求められます。また、データの正確性や信頼性が重要であり、誤った情報が予防戦略に影響を及ぼす可能性があります。倫理的な問題も考慮され、遺伝子情報を含む個人データの適切な取り扱いが求められます。さらに、コストやアクセスの問題も存在し、予防戦略の実施やアプローチの提供において困難が生じることがあります。

この論文により、個別の予防の概念、展望、そして取り組むべき課題についての理解が深まります。個別の予防は有望なアプローチである一方、技術的、倫理的、社会的な側面について慎重な議論と対応が必要です。

Stefanie Jaskulski, Cosima Nuszbaum, Karin B. Michels,Components, prospects and challenges of personalized prevention,Front. Public Health, 16 February 2023

スコットランドの眼科における未病予防ツールの開発 スコットランドでは高度な眼科医療サービスが提供されており、眼疾患の診断、治療、手術などが行われています。スコットランド国内には専門の眼科クリニックや病院があり、一般から専門的な眼の問題に対応しています。

スコットランドの地域の眼科医は、15年以上にわたり全員に対して定期的な無料の眼検査を実施しています。眼検査には網膜画像も含まれていますが、画像の保存は断片化されており、研究には活用されていませんでした。スコットランド協同眼科医学-眼科学ネットワーク電子研究プロジェクトは、これらの画像を収集し、ルーチンの医療データにリンクされたリポジトリを作成することを目指しており、未病の診断ツールの開発を支援します。

方法:画像レコードは通常患者レコードとは別であり、最小限の患者情報しか含まれていませんでした。そのため、誤検知のリスクを最小限に抑える効率的なマッチングアルゴリズムを開発し、国民保健記録へのリンクを容易にしました。2つのプラクティスを訪問し、画像デバイスとプラクティスマネジメントシステムに含まれるデータを評価しました。データ収集プロセスの文脈を理解するためにプラクティスの活動を調査しました。反復的に、真陽性レコードの高い割合を手動マッチングと比較して捕捉する一連のマッチングルールをテストしました。手動マッチングを自動ステップと比較して3つの追加のプラクティスでアプローチを検証しました。

結果:決定論的なルールのシーケンスは、手動マッチングと比較して3つのテストプラクティスの95%のレコードを正常にマッチングしました。アルゴリズムに2つの確率的なルールを追加することで、99%のレコードが正常にマッチングされました。

結論:地域で取得した網膜画像の潜在的な価値は、中央に保持された医療データにリンクされる場合にのみ活用できます。眼科医療機関内のシステム間の相互運用性の欠如にもかかわらず、堅牢でほぼ完全に自動化されたプロセスを使用してデータリンクを行うことが可能です。

Claire Tochel,Emma Pead,Alice McTrusty,Fiona Buckmaster,Tom MacGillivray,Andrew J Tatham,Niall Strang,Baljean Dhillon,Miguel Bernabeu,Novel linkage approach to join community-acquired and national data,BMC Medical Research Methodology,2023

デンマークにおける公衆衛生政策~アンケートからCOVID-19の有病率を推計~ デンマークは2019年時点でテレヘルス(遠隔医療)の導入が進んでおり、COVID-19流行時にはテレヘルスを活用して患者と医療スタッフの間で相談や診療が行われました。COVID-19の症状がある人々にはテストが提供され、陽性の場合は自己隔離が奨励されました。

Adam Mielke氏らは、アンケートデータを用いて真の有病率を推定する方法に焦点を当てて調査を行いました。アンケートデータを通じて得られる有病率は、実際の有病率と異なることがあります。この論文は、アンケートデータから得られる推定有病率と真の有病率との関係について探求し、より正確な有病率の推定方法を提案しています。

方法:
論文では、アンケートデータを用いて得られる有病率のバイアスを評価し、真の有病率を推定するための統計的手法を提案しています。具体的には、アンケートデータと実際の臨床データなどの比較を通じて、アンケートバイアスの特性を分析します。さらに、このバイアスを補正するための数学的手法や統計モデルを導入します。

結果:
論文の結果によれば、アンケートデータを用いて得られる有病率は、真の有病率よりも低く推定されることが多いことが示されました。これは、アンケート調査の性質や対象者の報告バイアスなどが影響していると考えられます。

提案された手法:
論文では、アンケートバイアスを考慮した有病率の補正方法を提案しています。アンケートデータと実際の臨床データを組み合わせて、バイアスを調整するための数学的モデルや統計モデルを提示しています。これにより、より真実に近い有病率の推定が可能とされています。

応用と展望:
この論文の提案された手法は、健康調査や疫学研究などで有用な情報を提供する可能性があります。真の有病率を正確に推定することは、公衆衛生政策や予防プログラムの開発において重要です。

総じて、この論文はアンケートデータを用いて真の有病率を推定する方法に焦点を当て、バイアスを評価し補正する手法を提案しています。真の有病率の推定においてアンケートバイアスの影響を考慮することは、より正確な健康データの収集と分析に寄与するものと言えるでしょう。

Adam Mielke, Matt Denwood, Lasse Engbo Christiansen,Estimating true prevalence through questionnaire data,Journal of Medical Virology,2023

ソーシャルペインと行動免疫系 感染症に対して無敵であると信じる人々は、他人が彼らに対して持つ疾病の脅威から自分自身を守ることができないことがあるといいます。

サンドラ・L・ マレー氏らは、行動免疫系という概念に焦点を当て、ソーシャルペイン(社会的な苦痛)が行動免疫系に与える影響について探求しています。

背景:
行動免疫系は、身体の免疫応答とは異なり、社会的な環境や関係に対する心理的・行動的な応答を指します。ソーシャルペインは、社会的な拒絶や孤立などから生じる精神的な苦痛のことを指します。

研究方法:
論文では、2,794 人の参加者を対象にソーシャルペインが行動免疫系にどのような影響を及ぼすかについて、心理的および生理的な反応に焦点を当てて調査しました。実験や調査研究を通じて、ソーシャルペインが感染症への抵抗力や身体的な健康にどのような影響を与えるかを分析しました。

結果:
論文の結果によれば、ソーシャルペインは行動免疫系を感受化する可能性があることが示されました。つまり、ソーシャルペインの経験が身体の免疫応答や健康に影響を与える可能性があるとされています。

応用と展望:
この論文の研究結果は、ソーシャルペインが身体的な免疫応答に影響を及ぼす可能性を示唆しており、心理的側面と身体的健康の関連性を探求する重要性を強調しています。今後の研究において、ソーシャルペインと行動免疫系との関係をより詳細に解明し、健康管理や予防プログラムの展開に役立てることが期待されます。

Sandra L. Murray,Ji Xia,Veronica M. Lamarche,Mark D. Seery,James McNulty,Deborah E. Ward,Dale W. Griffin,Lindsey Hicks,Sensitizing the Behavioral-Immune System: The Power of Social Pain,Social Psychological and Personality Science,2022

動機付け面接法が肥満とがん予防の親や成人介護者の行動を改善する!? モチベーショナルインタビュー(MI)は生活習慣病の予防や管理において、個人のモチベーションや行動変容の支援に役立つ手法とされています。個々のニーズや状況に合わせて適切なアプローチを導入することで、健康行動の改善を促進することが期待されています。

アシュリー・ブラウン博士らは、MIが肥満とがん予防の親や成人介護者の行動を改善するための支援手法として有用かどうかについて検討を行いました。

背景:
肥満やがんといった健康問題は、予防的な行動やライフスタイルの変化によって防ぐことができる可能性があります。この論文では、MIが健康行動の変容を促進する手法として検討されました。

研究目的:
論文は、MIを用いて親や成人介護者の肥満やがん予防に関する健康行動をどのように改善できるかについて、初期的な支持を提供することを目指しています。

方法:
論文では、MIの手法を用いて、肥満やがん予防の親や成人介護者の行動変容を促進する試みを行いました。インタビューを通じて、個人のモチベーションや目標、障壁を明確にし、健康行動の意欲を高めるアプローチを採用しました。

結果:
論文の結果によれば、MIが肥満やがん予防に関する健康行動の変容に初期的な支持を提供できることが示唆されました。インタビューを受けた参加者は、自身のモチベーションや行動に関する洞察を得ることができ、ポジティブな変化が見られたと報告されました。

応用と展望:
この論文の結果は、MIが肥満やがん予防に関する健康行動変容の支援に有効である可能性を示しています。これに基づいて、MIを健康教育や行動介入プログラムに組み込むことで、健康行動の改善を促進する取り組みが展開される可能性があります。

MIが肥満やがん予防に関する親や成人介護者の行動改善に対して有用な手法であることを示唆し、初期的な支持を提供しています。

イタリアにおける責任ある飲酒の動機 イタリアはワインやビールなどのアルコール飲料が文化的に根付いており、一人当たりのアルコール消費量が比較的高い国の一つです。これにより、アルコール関連の健康リスクや社会的問題が顕在化しています。

Maria G. Bartoloa 氏らの研究は、親の監視、仲間のプレッシャー、責任ある飲酒の動機との関連性を調査しました。また、肯定的なアルコールの期待が仲介的な役割を果たすことも考慮に入れました。対象は、579人のイタリアの10代の若者で、年齢は14~20歳(平均16.39歳、標準偏差1.27)、クロスセクション調査に参加しました。彼らはオンラインの自己報告アンケートを受けました。構造方程式モデリングにより、研究変数間の直接的および間接的な正の関連が明らかにされました。親の監視は、肯定的なアルコールの期待を介した経由で、若者の責任ある飲酒の動機と正の関連がありました。一方、仲間のプレッシャーは、肯定的なアルコールの期待を介した経由で、若者の責任ある飲酒の動機と間接的に負の関連がありました。結果は、責任ある飲酒の動機に関して環境要因の重要性を強調し、親の監視の向上や仲間のプレッシャーへの対処スキルの向上、および現実的な飲酒に対する期待の開発を支援する予防プログラムの機会を示唆しています。

Maria G. Bartolo,Anna L. Palermiti,Rocco Servidio,Pasquale MussoORCID Icon,Flaviana Tenuta,Maria F. Amendola,Angela Costabile & Cristiano Inguglia,The Relationship between Parental Monitoring, Peer Pressure, and Motivations for Responsible Drinking among Italian Adolescents: The Mediating Role of Positive Alcohol Expectancies,The Journal of Genetic Psychology,

フランスにおける大学生の喫煙者の心理的プロファイル フランスの一部の大学生の間で、喫煙が一般的な習慣とされています。大学生は自立して生活する際に新たな自由を楽しむ一方、ストレスや社交の場で喫煙を選ぶことがあることから、喫煙率が高い傾向があります。

健康への影響:大学生は若い年齢層であり、喫煙による健康リスクが将来的に影響を及ぼす可能性があります。健康への影響やリスクを理解していない場合もあり、長期的な健康への配慮が必要です。

社会的影響:大学生の喫煙が社会的な影響を与えることがあります。同世代の中での社交や親しい関係での喫煙は、他の学生に影響を与える可能性があります。

喫煙からのストレスへの対処:大学生は学業や社会的圧力にさらされることが多く、そのストレスから喫煙を選ぶ場合があります。喫煙がストレスの軽減方法として見なされることがあるため、ストレス管理の側面も関連しています。

フランスでは、大学キャンパス内での喫煙制限や喫煙を促進する広告の制限など、大学生を対象とした喫煙対策が行われています。また、若者向けの喫煙防止キャンペーンや教育プログラムも導入されています。大学生の健康への配慮や喫煙の削減を目指す取り組みが行われています。

Maxime Mauduy氏らは、フランスの大学生の中でタバコ喫煙に関連する複数の心理的要因の組み合わせを調査し、喫煙者の心理的プロファイルを特定しました。喫煙の動機、心理社会的要因、および喫煙者のアイデンティティに関するデータを元にクラスター分析が行われました(参加者数:909人)。5つのプロファイルが特定され、それらがタバコ依存および禁煙の動機と関連して比較されました。

「規範的喫煙者」と「社会快楽主義者」は、それぞれ規範的影響と社会的動機といった異なる社会的要因を特徴とし、中程度の依存度を示しました。「依存アイデンティファイド喫煙者」は、高い依存動機、喫煙者アイデンティティ、そして禁煙の動機の低さと関連しています。「一貫性のない喫煙者」は、喫煙者アイデンティティと動機が弱く、禁煙の意志力の高さ、低い依存度、そして禁煙の動機を持っています。「コーピング喫煙者」は、鎮静と中毒的な動機が強く、中程度の依存度と禁煙の動機を示しています。

この研究は、大学生の喫煙者が異なる心理的プロファイルを持つことを示し、それに基づいて予防プログラムが異なる戦略を採用する必要があることを強調しています。各学生の心理的特性に適応したアプローチを検討することが重要であるとされています。

Maxime Mauduy,Nicolas Mauny,Jessica Mange,Tobacco Dependence Among French University Students: A Cluster Analytic Approach to Identifying Distinct Psychological Profiles of Smokers,Journal of Drug Issues2022

ベイピング予防メッセージのフレーミング ベイピングにおける健康リスクや安全性に関する議論も存在します。特に、若者や未成年者への影響や、ベイプジュースの成分による健康被害が懸念されています。ベイピングは、アメリカ合衆国の若者の間で最も一般的なたばこ使用形態です。Xiaomei Cai氏らの研究は、プロスペクト理論の確実性効果に基づいて、不確実性耐性が若者のベイピング予防のための利益対損失フレームのテキストメッセージの効果の潜在的な調整要因として果たす役割を調査しました。将来のベイピングに影響を受けやすい若者(N = 536)は、ベイピングの健康影響に関する8つの利益対損失フレームのテキストメッセージを見るように無作為に割り当てられました。メッセージへの認知的および情動的な反応、またメッセージに関する信念、態度、意図については、露出後に評価されました。結果は、損失フレームの方が多くの結果で全体的に有利であることを示しました。さらに、フレーミングと不確実性耐性の相互作用が、ほとんどの結果において観察されました。つまり、不確実性耐性が高い人ほど、損失フレームの効果が高く、不確実性耐性が低い人ほど、わずかながら利益フレームが優位であることが示唆されました。この研究の結果は、メッセージフレーミングの研究においてプロスペクト理論をさらに適用するための示唆を与えます。また、若者のベイピング予防のための観客の分割とターゲットメッセージの設計に関する洞察を提供する可能性があります。

Xiaomei Cai,Xiaoquan Zhao,Framing Youth Vaping Prevention Messages: The Role of Uncertainty Tolerance,Health Communication ,2023

CSRが従業員のモチベーションや満足度を向上させる可能性 CSR活動は、従業員に対する企業の責任感や社会的意識を示す手段となります。これにより、従業員のモチベーションや満足度が向上する可能性があります。Halder Yandry Loor-Zambrano博士らは、企業の社会的責任活動と従業員のコミットメントの関係が、労働者の他の2つの態度変数である内在的動機と組織への信頼の存在によって中介されるかどうかを検証しました。 318人のエクアドルの労働者に対する調査データを用いて研究が行われました。この研究では、CSR活動と労働者の信頼と内在的動機の2つの態度間には、正のかつ有意な関係があることが示されました。さらに、CSRと組織へのコミットメントの関係において、これらの変数が中介的な役割を果たすことが確認されました。エクアドルの経営者は、この研究から、CSRの実践が従業員の態度や行動に及ぼす肯定的な影響を推測することができます。これには仕事への動機付け、会社への信頼、およびそのコミットメントが含まれます。 “” から “”CSR活動は、従業員に対する企業の責任感や社会的意識を示す手段となります。これにより、従業員のモチベーションや満足度が向上する可能性があります。 エクアドル最大の銀行であるバンコ・ピチンチャは、社会的責任を意識しています。彼らは教育、文化、環境、健康などの分野でプログラムを運営し、地域社会への貢献を行っています。特に教育支援に力を入れており、奨学金や学習リソースを提供しています。 Halder Yandry Loor-Zambrano博士らは、企業の社会的責任活動と従業員のコミットメントの関係が、労働者の他の2つの態度変数である内在的動機と組織への信頼の存在によって中介されるかどうかを検証しました。 318人のエクアドルの労働者に対する調査データを用いて研究が行われました。この研究では、CSR活動と労働者の信頼と内在的動機の2つの態度間には、正のかつ有意な関係があることが示されました。さらに、CSRと組織へのコミットメントの関係において、これらの変数が中介的な役割を果たすことが確認されました。エクアドルの経営者は、この研究から、CSRの実践が従業員の態度や行動に及ぼす肯定的な影響を推測することができます。これには仕事への動機付け、会社への信頼、およびそのコミットメントが含まれます。

Halder Yandry Loor-Zambrano Dr, Luna Santos-Roldán Dra., Beatriz Palacios-Florencio Dra.,Relationship CSR and employee commitment: Mediating effects of internal motivation and trust,European Research on Management and Business Economy,2022

上司による非生産的な行動が職場にもたらす影響とは 「スーパーバイザー・フッビング」(Supervisor Phubbing)は、管理者や上司が部下や従業員とのコミュニケーションを欠いたり無視したりする行動を指します。これは、上司がスマートフォンや他のデバイスに夢中になり、部下や従業員との対話やコミュニケーションを適切に行わない状況を示します。

スーパーバイザー・フッビングは、従業員のモチベーションやエンゲージメント、効果的なコミュニケーションなどの要素に影響を及ぼす可能性があります。管理者が部下や従業員とのコミュニケーションを適切に行わないことで、信頼関係や情報共有が阻害され、労働環境や生産性が悪影響を受けることがあります。
上司によるスーパーバイザー・フッビングが増加する中で、その組織内での影響に関する研究はほとんど行われていません。Saira Yousaf氏らの研究は、このギャップを埋めることを目指し、スーパーバイザー・フッビングと従業員の重要な結果との関係を調査しました。異文化環境で2つの研究を実施。第1研究は、コレクティビスティックな文化であるパキスタンで行われ、サービスセクターの組織で働く従業員を対象にオンライン調査で370件の有用な回答を収集しました。第2研究は、個人主義的な文化であるアメリカ合衆国で、Prolificデータ収集サービスを使用して352件の回答を収集しました。両研究からの結果は、スーパーバイザー・フッビングが従業員の仕事の成果や職場でのエンゲージメントを、内在的動機を介して負の関連性を持つことを示しています。さらに、組織内の企業ソーシャルメディア(ESM)の使用は、スーパーバイザー・フッビングとその結果との関係を中和し、ESMの使用が高い従業員の場合、この関係は弱くなることがわかりました。私たちの研究は、職場での技術利用に関する文献に重要な貢献をもたらし、管理者のカウンタープロダクティブな行動(フッビング)とその行動と組織内の主要な従業員結果との関連性を取り上げつつ、組織内のESMの使用の修飾役割も考慮しています。

Saira Yousaf , Muhammad Imran Rasheed , Puneet Kaur , Nazrul Islam e, Amandeep Dhir,The dark side of phubbing in the workplace: Investigating the role of intrinsic motivation and the use of enterprise social media (ESM) in a cross-cultural setting,Journal of Business Research,2022

内発的動機付けがパフォーマンスを上げる!? 内発的動機付け(Intrinsic Motivation)と外発的動機付け(Extrinsic Motivation)は、個人の行動や努力の背後にある動機を表す概念です。これらの動機は異なる要因によって引き起こされ、異なる影響を与えることがあります。

内発的動機付け(Intrinsic Motivation): 内発的動機付けとは、個人が活動自体から楽しみや満足感を得るために行動する状態を指します。このタイプの動機付けは、個人が自分の興味や好奇心に従って行動するときに発生します。内発的動機付けの例としては、個人の好きな趣味に没頭することや、クリエイティブな活動に取り組むことが挙げられます。内発的動機付けは、個人の自己成長や達成感を促進し、楽しみながら取り組むことができる要因となります。

外発的動機付け(Extrinsic Motivation): 外発的動機付けとは、外部からの報酬や刺激によって行動を引き起こす状態を指します。このタイプの動機付けは、報酬や評価、罰則などが存在するときに発生します。例えば、昇進の見込みやボーナスを得るために仕事を頑張ることが外発的動機付けの一例です。外発的動機付けは、一定の刺激が必要な場合や短期的な目標を達成する際に効果的ですが、長期的な満足感や自己成長には限界があることがあります。

両方の動機付けは、異なる状況やタスクに応じて影響します。内発的動機付けは、自己満足や成長を重視する場合に適しており、個人の興味や関心を活かすことができます。一方、外発的動機付けは、報酬や評価によって動機を引き出す場合に有効ですが、外部刺激がないとモチベーションが低下する可能性があります。

組織は、従業員のモチベーションを向上させるために、内発的動機付けと外発的動機付けの両方をバランスよく活用する方法を検討することが重要です。

Valerie Good氏らの研究は、293の効果サイズを含む127の研究(n = 77,560)からの結果を示しており、動機付けは営業員のパフォーマンスと有意に関連していることを示しています(r = .245、95% CI = .238から.252)。さらに、メタ分析の結果からは、内在的な動機付けがパフォーマンスとより強く関連していること(r = .298、95% CI = .287から.308)が示されており、外部からの動機付けよりも有意です(r = .176、95% CI = .166から.186)。多変量分析も、内在的な動機付けが外部からの動機付けよりも、年齢、性別、在職期間などのサンプル特性を制御した後でも、営業員のパフォーマンスにより強い影響を与えることを確認しています。

さらに、この研究では、内在的な動機付けとパフォーマンスの関連性が外部からの動機付けとパフォーマンスの関連性よりも、年齢が若い営業員と年齢が高い営業員、職歴と営業経験が長い営業員、女性営業員、B2Bのコンテキストで営業する営業員、および米国内に位置する営業員においても、内在的な動機付けとパフォーマンスの関係性が強いことがわかりました。これらの結果の理論的な重要性を考察し、営業マネージャーへの実務上の示唆を提供し、今後の学術研究の方向性を示しています。

Valerie Good, Douglas . Hughes, Ahmet . Kirca & Sean McGrath ,A self-determination theory-based meta-analysis on the differential effects of intrinsic and extrinsic motivation on salesperson performance, Journal of the Academy of Marketing Science,2022

健康リテラシーとワクチン接種 HPVワクチンは、HPV感染によるがんや病変のリスクを低減するために開発されました。一般的に、HPVワクチンは特定のHPV型に対する免疫を刺激し、感染を予防する効果があります。HPVワクチンは子宮頸がん、肛門がん、口腔がんなどの予防に役立つことが示されています。

イタリアでは15年以上にわたり、12歳以上の女の子に対して無料でHPVワクチンが提供されています。時間の経過とともに、HPVワクチンの無料提供は男の子やHPV病変のリスクがある若い大人にも拡大されてきました。しかし、HPVワクチンの効果と利用可能性にもかかわらず、イタリアではワクチン接種率が低く、2020年には46.5%と報告されています。さらに、南部の行政区域ではワクチン接種率が全国平均よりも低く、シチリアでは25.9%の接種率です。Alessandra Fallucca氏らにより、イタリア・シチリア地域(パレルモ)の大学生および高校生を対象に、HPVワクチン接種の遵守要因を特定するために、HPVワクチン実施の要因を調査する質問紙を使用した横断的研究が行われました。研究では、健康信念モデル(HBM)を使用して行動的な態度を探求し、また健康リテラシー(HL)のレベルを調査するためにSILSテストとMETERテストも使用しました。合計で3,073人の学生が登録され、そのうち約三分の一がワクチンスケジュールを完了したと報告しました(n = 925、30.1%)。多変量解析の結果、HPVワクチンへの遵守に直接関連する要因は女性(OR = 4.43、p < 0.001)、高いHBM総スコア(OR = 4.23、p < 0.001)、良好なHLレベル(OR = 1.26、p = 0.047)、両親(OR = 1.78、p = 0.004)、一般開業医(OR = 1.88、p = 0.001)、および公共ワクチンサービスから提供された教育資料(OR = 1.97、p = 0.001)がHPVワクチンの情報源として関連していることが示されました。望ましい95%のワクチン接種率を達成するために、健康リテラシーとHPVワクチンの利点の認識を向上させるためのさらなる健康促進プログラムが実施される必要があるとされています。

Alessandra Fallucca,Luca Riggio,Alessandra Casuccio,Francesco Vitale andVincenzo Restivo,Acceptability of HPV Vaccination in Young Students by Exploring Health Belief Model and Health Literacy,vaccines,2022

モチベーションだけでは不十分ながん検診受診への課題 肺がんの早期発見を促進するためには、定期的なスクリーニングや健康診断が重要です。一般的なスクリーニング方法には、胸部X線、CTスキャン、およびスピラルCTスキャンが含まれます。また、高リスクの個人、特に喫煙者や家族歴がある人々に対しては、肺がんの特定のバイオマーカーや遺伝子検査も行われることがあります。
肺がんスクリーニング(LCS)の試験や実世界のプログラムへの参加率は低く、多くの肺がんの高リスクを持つ人々が基準スクリーニングを受けることを選択しないことがあります。Kate L. A. Dunlo 氏らは、オーストラリアの設定でのLCSへの参加要因を特定しました。
オーストラリアの2つの施設から国際肺がんスクリーニング試験に参加(「スクリーニンググループ」)または参加を辞退(「辞退グループ」)した肺がんの高リスクを持つ個人との半構造化電話インタビューを実施しました。インタビューガイドの開発は、予防採用プロセスモデルに基づいて行われました。インタビューは録音され、文章化され、行動に関連する能力、機会、動機を探るためにCOM-Bモデルを用いて分析されました。
39人の参加者がインタビューされました(スクリーニンググループ25人、辞退グループ14人)。スクリーニングへの参加の動機は、肺がんの生活体験とスクリーニングの価値を信じる信念によって両グループで高かったが、辞退グループはスクリーニングに対する自己効力感が低いと報告しました。我々の研究の辞退グループは、出席能力、知識と理解の面での能力に関する課題を報告しました。また、辞退グループは、場所が障害となること、スクリーニングへの家族のサポートが不足していることなど、物理的および社会的な機会に関連する課題を報告しました。
私たちの調査結果は、動機だけではスクリーニングへの参加に関連する行動を変えるのに十分でないことを示唆しています。能力と機会も考慮することが必要です。能力と機会に関連する障壁に焦点を当てる戦略(オンライン/電話サポート、モバイルスクリーニングプログラム、スクリーニング参加者への財政支援など)がスクリーニングへの参加をより良く促進する可能性があります。個人の意思決定をサポートし、自己効力感を信じるためのクリニシャンの資金援助を提供することが、動機を育むかもしれません。資格を持つ個人をLCSプログラムに結び付ける介入を対象にすることが、成功した実施には重要です。

Kate L. A. Dunlop ,Henry M. Marshall,Emily Stone,Ashleigh R. Sharman,Rachael H. Dodd,Joel J. Rhee,Sue McCullough,Nicole M. Rankin,Motivation is not enough: A qualitative study of lung cancer screening uptake in Australia to inform future implementation,plos one,2022

高血圧予防のセルフケア マレーシアでは急速な都市化や食生活の変化により、高塩分の食事や加工食品の摂取が増えています。

Paulina Pei Suu Tan氏らは、2020年6月12日から2021年7月26日までの間に実施された横断研究を行いました。オンライン調査は、セランゴール州とクアラルンプールの地域に住むマレーシア人に電子メールとソーシャルメディアを通じて行われました。対象者は18歳以上で、高血圧の診断を受けていない人々です。調査は、高血圧に関する知識、健康信念モデルの概念、セルフケア行動の頻度、およびセルフケア行動の動機と障壁を評価しました。多重線形回帰分析を実施して、セルフケア行動の主要な予測要因を特定し、各セルフケア行動の動機付けと障壁を特徴付けるために記述統計が使用されました。

結果
セルフケア行動においては、健康への動機付け(β = 0.217、p < 0.001)と認識された障壁(β = 0.571、p < 0.001)が有意に影響を与えました。健康的な食事の維持、定期的な身体活動、血圧チェックの改善が必要であり、特に塩分とカロリー摂取の削減が求められています。時間の不足、選択肢の制約、怠惰さは、健康的な食事とアクティブなライフスタイルの採用において取り組むべき大きな課題です。多くの人々は自身の健康状態を無知であり、そのため高血圧のスクリーニングを優先的に受けない傾向があり、早期の高血圧診断のためにコミュニティの血圧チェックを強化する必要があることを示唆しています。

結論と展望
動機付けと障壁がセランゴール州とクアラルンプールのコミュニティにおけるセルフケア行動の主な決定要因であることが示されました。これらのセルフケア行動の側面をターゲットにした介入や教育プログラムの開発は、地域の文化的、環境的、個人的要因に合わせて調整されるべきです。これにより高血圧の有病率と負担を効果的に低減することが期待されます。

Paulina Pei Suu Tan,Ryand Singh Sandhu,Shamsul Mohd Zain,Deborah Hall,Ngiap Chuan Tan,Hooi Min Lim,Faiz Daud,Yuh-Fen Pung ,Health motivations and perceived barriers are determinants of self-care behaviour for the prevention of hypertension in a Malaysian community,plos one,2022

高齢者の転倒防止に向けたヘルスビリーフモデルの活用事例 高齢者の転倒は健康上の重要な問題です。転倒は高齢者の健康や生活の質に影響を及ぼす可能性があり、さまざまな要因によって引き起こされることがあります。以下に、高齢者の転倒が引き起こされる主な問題点をいくつか挙げてみましょう。

身体的な弱さやバランスの低下:高齢者は筋力やバランスが低下する傾向があり、これが転倒の主な原因となることがあります。筋力の低下や歩行困難、バランスの悪化が転倒のリスクを高めます。

薬物の影響:高齢者は複数の薬物を服用することが多く、これらの薬物が副作用を引き起こすことがあります。薬物がめまいやふらつきを引き起こす場合、転倒の危険性が増加します。

環境の障害:家庭内や公共の場所において、段差、滑りやすい床、障害物などが転倒を引き起こす原因となることがあります。また、不適切な照明や家具の配置も転倒のリスクを高めます。

悪天候や足元の注意不足:悪天候による路面の滑りやすさや、適切な靴を履かないことによる足元の不安定さが転倒を引き起こすことがあります。

健康問題:高齢者の中には、認知症や神経障害などの健康問題を抱える人もいます。これらの状態が転倒を引き起こす可能性があります。

転倒を減少させるためには転倒予防活動への参加が非常に重要です。ジェニファー・L ・ヴィンチェンツォ氏らの研究では、高齢者の転倒予防に対する認識を健康信念モデル(HBM)の理論的枠組みを用いて探究しました。

研究デザインと方法
情報に基づいた根拠のある理論のアプローチを採用しました。HBMに基づいた半構造化インタビューガイドを用いて4つのフォーカスグループを実施し、27人の地域在住の高齢者(平均年齢78歳)と対話しました。収集したデータにHBMの概念を適用し、その結果を説明するために帰納的な内容分析を行いました。

結果
転倒予防への参加を避ける要因として、自己認知された重症度や感受性、自己効力感の不足が挙げられ、医療提供者からの転倒予防に関する情報の不足もサブテーマとしてありました。逆に、転倒予防の知識や現在の参加、転倒予防をする中での社交が促進要因とされました。参加者は、家族、友人、医師、薬剤師、保険会社からの行動刺激の提供を推奨し、印刷物、視聴覚、オンライン、リマインダーなどのさまざまな手段を使用して行動刺激を提供することが示唆されました。

議論と示唆
この研究では、HBMを使用して高齢者の転倒予防への潜在的な障壁、促進要因、行動刺激を理解することを試みました。転倒予防行動への参加は、知識の不足、転倒の自己認識された重症度と感受性の不足などの障壁に取り組むことで改善される可能性があります。転倒予防の利点を強調し、転倒予防への参加を支援する行動刺激を促進することも参加を支援するかもしれません。

Jennifer L. Vincenzo, Susan Kane Patton , Leanne L. Lefler, Pearl. McElfish, Jeanne Wei, Geoffrey M. Curran,A qualitative study of older adults’ facilitators, barriers, and cues to action to engage in falls prevention using health belief model constructs,Archives of Gerontology and Geriatrics,2022

動機付け面接法が虫歯の予防にも効果的である可能性 思春期は虫歯になりやすい時期とされています。これはいくつかの要因によるものです。

食事習慣の変化:思春期になると、食事習慣が変化し、甘いお菓子や飲料、スナックフードの摂取が増えることが多いです。これらの食品は虫歯を引き起こす原因となる糖分を多く含んでいるため、摂取量が増えると虫歯のリスクが高まります。

口腔衛生の疎かさ:思春期の若者は忙しい日々を送ることが多く、口腔衛生に時間をかけることが難しいことがあります。歯磨きやデンタルケアの疎かさにより、虫歯の進行が促される可能性があります。

生理的変化:思春期には唾液の分泌量が変化することがあります。唾液は口腔内のバクテリアを中和する働きを持っており、十分な唾液がないと虫歯の進行が速まることがあります。

歯の構造:成長するにつれて、歯の表面が硬くなり、エナメル質が厚くなることがあります。しかし、思春期の初めはこの過程がまだ進行中であり、歯が虫歯に対して脆い状態であることがあります。

したがって、思春期は虫歯のリスクが高まる時期であり、適切な口腔衛生習慣の確立や栄養バランスの取れた食事摂取が重要です。また、定期的な歯科検診や専門家のアドバイスを受けることも大切です。
Lingli Wu氏らは、モチベーショナルインタビュー(MI)の効果を調査し、思春期の健康行動(スナック摂取と歯磨き)の変容および歯の虫歯予防における有効性を検証しました。

方法
虫歯関連の行動が不利な状態であるとされるスナックの摂取(1日3回以上)および歯磨き(1日2回未満)の習慣を持つ512人の思春期の被験者が無作為に3つのグループに割り当てられました。グループIは通常の健康教育(口腔衛生の講話とパンフレット)を受けました。グループIIの参加者は個別の対面式MIセッションに参加しました。グループIIIでは、MIプロセスをサポートするために患者コミュニケーションツール(Cariogram)が組み込まれました。介入前と介入後24か月の時点で、自己記入式のアンケートによって参加者の社会人口統計学的特徴、口腔衛生の自己効力感、行動に関する情報が収集されました。彼らの口腔衛生と歯の状態は盲検評価者によって評価されました。

結果
24か月後、460人(89.8%)の参加者が追跡されました。グループIと比較して、(i)スナックの摂取制限はグループII [OR(95%CI):3.91(1.48-10.33)] およびグループIII [OR(95%CI):6.33(2.46-16.27)] でより起こりやすく、一方グループIIIでは1日2回の歯磨きの習慣が見られました [OR(95%CI):4.80(1.79-12.85)] ;(ii)プラークスコアの低下においてグループ間で有意差は見られませんでした(p > 0.05);および(iii)グループIIおよびグループIIIでは虫歯の発生本数が少なかったです(△DICDASII 3-6MFT) [β(95%CI):-0.19(-0.37、-0.01)および-0.20(-0.38、-0.02)]。一方、グループIIIでは総虫歯病巣の増加(△DICDASII 1-6MFT)が低かったです [β(95%CI):-0.63(-1.24、-0.02)]。

結論
MIは通常の健康教育を上回り、思春期の口腔衛生行動の改善および虫歯の予防において効果的であることが示されました。

臨床的関連性
虫歯にかかりやすい思春期の患者にMIを組み込むことは、最適な健康成果に貢献します。

Lingli Wu, Edward C. M. Lo, Colman McGrath, May C. M. Wong, Samuel M. Y. Ho & Xiaoli Gao,Motivational interviewing for caries prevention in adolescents: a randomized controlled trial, Clinical Oral Investigations ,2022

寝る時間の先延ばし(BP)を減らす介入研究 「寝る時間の先延ばし」(Bedtime Procrastination、BP)は、外部的な理由がないにもかかわらず、意図したよりも遅く寝床に入る行動を指します。

寝る時間の先延ばしは、いくつかの健康的な問題を引き起こす可能性があります。以下にその問題点を示します。

睡眠不足:寝る時間を遅らせることで、十分な睡眠を確保するのが難しくなる可能性があります。睡眠不足は注意力や集中力の低下、判断力の鈍化、情緒の不安定さなどにつながる可能性があります。

睡眠の質の低下:寝る時間を遅らせることで、深い睡眠やREM(Rapid Eye Movement)ステージの睡眠の割合が減少する可能性があります。これにより、睡眠の質が低下し、熟睡感や休養感が得られなくなる可能性があります。

生体リズムの乱れ:夜遅くまで起きていることで、体内時計や生体リズムが乱れる可能性があります。これは朝起きるのが困難になるだけでなく、一日の調子や生産性にも影響を及ぼすことがあります。

健康リスクの増加:睡眠不足や睡眠の質の低下は、心血管疾患、糖尿病、肥満などの健康リスクを増加させる可能性があります。また、免疫機能の低下や認知機能の低下にもつながる可能性があります。

日中の機能低下:寝る時間を遅らせることで、日中の眠気や疲労感が増加する可能性があります。これにより、仕事や学業、日常生活の活動に支障が出ることがあります。

総じて、寝る時間の先延ばしは健康と生活の質に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、寝る時間を適切にコントロールし、健康的な睡眠習慣を確立することが重要です。

これまでの研究は、BPが睡眠と健康に悪影響を与えることを示しており、BPを減少させるための介入を開発する必要性を強調しています。スヨン・ソ氏らの介入開発研究は、寝る時間の先延ばしを減少させるために設計された心理的介入(BED-PRO)の概念実証研究です。

方法
介入は行動修正の原則と動機付け面接法に基づいて開発されました。最終的な介入は、週に3回のセッションと1回の追加のブースターコールからなるものでした。高いBPを持つ20人の個体が研究に参加し、事前・事後のデータが収集されました。個体は「寝る時間の先延ばしスケール」、「エプワース眠気スケール」、「疲労重症度スケール」、「朝型-夜型質問票」、「不眠重症度指数」、および睡眠日記を記入しました。

結果
介入後、睡眠日記によると、BPSスコア、寝る時間の先延ばしの期間(Δ51分、基準値比較で63.8%減少)、睡眠中の目覚め後の覚醒、睡眠効率、目覚め後のさわやかさに有意な変化が見られました。さらに、介入後1か月のフォローアップ時点でも、BPS、ISI、ESSスコアの変化、睡眠中の目覚め後の覚醒、睡眠効率、目覚め後のさわやかさが維持されたり改善し続けたりしました。

結論
この研究は、BED-PRO介入の実現可能性と受け入れ可能性、そして寝る時間の先延ばしを対象とした初の介入の潜在的な可能性を確認しました。BPのネガティブな影響に関する研究を考慮すると、この介入がBPを重要な健康行動として考える一歩となる可能性があります。

Sooyeon Suh,Nayog,Sonhye Jeoung & Hyeyoung An,Developing a Psychological Intervention for Decreasing Bedtime Procrastination: The BED-PRO StudyBehavioral Sleep Medicine ,2022

幼少期の経験が中年期の健康を害する!? 逆境的な幼少期の経験(Adverse Childhood Experiences、ACEs)は、健康の悪化と関連しており、子供の発達に影響を与え、将来の健康や幸福に悪影響を及ぼす可能性があります。ACEsの経験が蓄積することで、心理的、感情的、社会的な問題が生じやすくなることがあります。公衆衛生の観点からは、ACEsの予防やサポートが重要であり、子供たちが健康的な成長を遂げるためには、安全な環境と適切な支援が提供されることが求められます。
残念ながら、すべてのACEsを予防することは難しいです。すでに幼少期にACEsを経験した大人に対して、どのような心理的、社会的、行動的介入の対象が、負の健康結果のリスクを軽減する可能性があるでしょうか?ブーラッサテリー氏らの研究は、ACEsと健康の負の関連を説明する心理社会的なメカニズムの「ブラックボックス」に洞察を提供するため、出生から45歳までの長期コホートであるダニーデン・スタディのデータを使用しました。中央の健康における幼少期のACEsとの関連を説明する候補となる心理社会的変数を成人期におけるデータを用いて検討しました。潜在的な心理社会的仲介要因には、ストレスフルな生活イベント、知覚されるストレス、ネガティブな情緒、健康行動が含まれました。ACEsをより多く経験した子供たちは、中年期の健康が悪化していました。また、彼らは成人になってからも著しく多くのストレスフルな生活イベント、知覚されるストレス、ネガティブな情緒、不健康な行動を示しました。これらの仲介変数は、それぞれ中年期の健康と独立して関連しており、ACEsと中年期の健康の関連を統計的に仲介していました。健康行動が、ACEsから中年期の健康への最も強力な間接効果を示していました。これらの心理社会的仲介変数が、幼少期のACEsと数十年後の健康の関連を説明していました。ACEsの健康への影響を軽減するための公衆衛生的な取り組みは、成人期に幼少期の逆境を経験した人々が経験するストレスフルな生活イベントを減少させる、ネガティブな情緒を減少させる、知覚されるストレスを減少させる、または健康行動を改善することを目指すことが考えられます。

Kyle J. Bourassa, Terrie E. Moffitt, HonaLee Harrington, Renate Houts, Richie Poulton, Sandhya Ramrakha, Line J. H. Rasmussen, Jasmin Wertz & Avshalom Caspi ,Childhood Adversity and Midlife Health: Shining a Light on the Black Box of Psychosocial Mechanisms,Prevention Science ,2022

健康に経済的なインセンティブを与え、効果を長続きさせるための一考 健康における経済的なインセンティブは、個人が健康的な行動をとる動機を高めるために経済的な報酬や刺激を提供するアプローチです。これは、健康行動を促進し、病気や健康リスクを軽減するための方法の一つです。経済的なインセンティブは、個人に自己管理や健康的な選択をするよう促し、健康的な生活様式を奨励することを目的としています。健康的な行動を達成したり維持したりすることに対して、金銭的な報酬が提供されることがあります。例えば、定期的な運動を行ったり、健康的な食事を摂取したりすることに対して報酬が支給されることがあります。また、健康保険料や医療費、健康施設の会費など、健康に関連する支出が割引される制度が存在します。健康的な行動をすることで経済的なメリットが得られることがあります。

経済的なインセンティブは、健康行動の改善に有望なアプローチですが、その効果は短期間に限定されてきました。この論文では、健康ウェアラブルが提供する動機付けツールと経済的インセンティブを組み合わせることで、この制約に対処し、健康行動の長期的な変化を促進できるかどうかを調査しています。アジェリド氏らは、目標達成に対する経済的報酬と目標未達のペナルティを提供する「得失のインセンティブ」プログラムに焦点を当てています。

Fitbitウェアラブルを装着した個人を対象とした実験を行った結果、得失のインセンティブが身体活動の増加を促進することがわかりましたが、選択肢の要素によって制約されていることが示されました。具体的には、得失のインセンティブの選択肢を提供された人々は、身体活動がわずかに増加し、しかも効果が短期的であることがわかりました。このグループにおける効果の限定は、これらのプログラムから最も恩恵を受ける人々が、自発的に参加しない傾向があるために発生するようです。

対照的に、同じ得失のインセンティブが割り当てられた(しばしば希望に反して)グループでは、身体活動の顕著で持続的な増加が見られました。これらの個人は、インセンティブ期間中に1日あたり約2,000歩の追加の活動を記録し、インセンティブが終了してからも6か月間効果が持続しました。重要なことは、持続的な成果は、ウェアラブルの目標設定ツールを利用した個人によってもたらされたということです。
アジェリド氏らのの結果は、健康行動の持続的な変化を促進する新しいアプローチを示唆しています。つまり、短期的に個人を快適なゾーンから引き離す積極的なインセンティブプログラムを組み合わせ、経済的インセンティブが終了した後も健康行動を維持するのに役立つ健康ウェアラブルに組み込まれた動機付けツールを活用するというアプローチです。

Idris Adjerid , George Loewenstein, Rachael Purta, Aaron Striegel,Gain-Loss Incentives and Physical Activity: The Role of Choice and Wearable Health Tools,management Science,2021

高齢者のeヘルスリテラシー向上に向けて eヘルスリテラシー(electronic health literacy)は、電子的な健康情報や医療関連のデジタルツールを理解し、適切に利用する能力を指します。具体的には、インターネット、ウェブサイト、モバイルアプリ、電子メール、ソーシャルメディアなどの電子的な健康情報源を適切に評価し、選択し、理解し、活用する能力です。
eヘルスリテラシーは、現代のデジタル化された医療環境において、患者や一般の人々が自分の健康に関する情報を収集し、理解し、効果的な健康管理や医療判断を行うために重要な役割を果たします。eヘルスリテラシーが高い人は、オンラインで信頼性のある情報を見つける能力や、電子的なツールを使って健康状態を追跡し、医療専門家とコミュニケーションを取る能力が向上しています。ワンオ・イヌオ氏らの研究は、デジタル時代において地域に住む高齢者の電子健康リテラシー(eヘルスリテラシー)が、健康行動において重要な役割を果たすことがあることを探究しました。自己効力感と自己ケア能力がこの関係に関連していることが、研究者によって文書化されています。この研究の目的は、中国東北部の山東省青島市内の3つのコミュニティに住む高齢者の間で、eヘルスリテラシーと健康促進行動との関係を評価し、その関係における自己効力感と自己ケア能力の連鎖的な中介役割を探求することでした。この横断研究では、2021年6月から9月までの間に425人の高齢者のデータを使用し、構造方程式モデルを用いて経路分析を行いました。その結果、eヘルスリテラシーは高齢者の健康促進行動と有意な関連があることがわかりました。さらに、eヘルスリテラシーは自己効力感と自己ケア能力を介してそれぞれ健康促進行動に間接的な影響を与えることが示されました。さらに、eヘルスリテラシーと健康促進行動の関係においては、連鎖的な中介効果も確認されました。つまり、eヘルスリテラシー→自己効力感→自己ケア能力→健康促進行動という連鎖的な関係が存在することが示されました。これらの研究結果は、高齢者のeヘルスリテラシーを向上させることを通じて、彼らの健康行動を変容させるための介入方法を開発する有望な方向性を提供しています。

Yinuo Wang ,Yuting Song,Yaru Zhu,Heqian Ji andAimin Wang ,Association of eHealth Literacy with Health Promotion Behaviors of Community-Dwelling Older People: The Chain Mediating Role of Self-Efficacy and Self-Care Ability,International Journal of Environmental Research and Public Health,2022

ユーダイモニック・ウェルビーイングと内発的動機付け ユーダイモニック・ウェルビーイングは、ポジティブ心理学の観点から定義される幸福感や生活満足度とは異なる概念です。ユーダイモニック・ウェルビーイングは、人々が自分自身の成長、意味、目的、および自己実現を追求することに焦点を当てた幸福感の形態です。この概念は、古代ギリシャ哲学者アリストテレスの「eudaimonia(幸福)」という概念に由来し、単に快楽や幸福感を追求するのではなく、深い満足感や充足感を感じるために内面的な成長や価値観の追求に注力することを示します。

ユーダイモニック・ウェルビーイングは、個人の目標達成や成長、人生の意味や目的の追求、他者との関係の充実など、より高次の精神的な側面に焦点を当てた健康の形態です。この概念は、単なる幸福感や快楽追求にとどまらず、より深い意味と充実感を求める人間の本質的なニーズを反映しています。
研究やアプローチにおいて、ユーダイモニック・ウェルビーイングは、個人の自己成長や意味の追求、個人的価値観の実現、ポジティブな人間関係の構築などを評価する指標として使用されます。

Alan S. Waterman氏らの研究では、607人の成人を対象に、ユーダイモニック・ウェルビーイングのアンケートの短縮版と、個人的な表現活動のアンケートを完成させました。前者は個人のウェルビーイングを評価する尺度であり、後者はその人が参加するアイデンティティ関連の活動の側面を評価します。内発的な動機づけの4つの予測変数が評価されました:(a)自己決定、(b)活動が提供する挑戦と持ち込むスキルのバランス、(c)自己実現の価値観、および(d)努力による従事したパフォーマンス。さらに、内発的な動機づけに関連する4つの主観的体験も評価されました:(a)興味、(b)フロー体験、(c)個人的な表現感、および(d)楽しみ。多層モデリングを使用して、調査結果は、ユーダイモニック・ウェルビーイングが内発的な動機づけを予測していることを一貫して支持し、その動機づけをもたらす条件と関連する主観的体験の両方に関してであることが示されました。さらに、高いレベルで予測変数が存在するほど、報告されるユーダイモニック・ウェルビーイングのレベルが高くなる傾向がありました。

Alan S. Watermana ,Seth J. Schwartz,Identity Contributions to a Life Well-Lived: A Study of the Relationship of Eudaimonic Well-Being to Intrinsic Motivation for Identity-Related Activities,An International Journal of Theory and Research,2023

スポーツ消費行動と動機付け スポーツ消費は、個人がスポーツに関連する活動やコンテンツを楽しむために行う様々な行動やプロセスを指します。これには、スポーツ観戦、スポーツイベントへの参加、スポーツ関連のメディアやコンテンツの消費などが含まれます。

スポーツ消費は、個人の興味や好みに応じて多様な形態を取ります。例えば、スポーツ観戦を通じてスタジアムやアリーナで試合を観ることや、テレビやオンラインで中継を視聴すること、スポーツイベントに参加してアクティブに参加すること、スポーツ関連のニュースや情報を読むことなどが挙げられます。また、スポーツのアパレルやグッズを購入し、スポーツに関連するコミュニケーションや交流を楽しむこともスポーツ消費の一部です。

スポーツ消費は、個人の娯楽や娯楽活動の一環として行われるだけでなく、スポーツ産業における収益の源としても重要な役割を果たしています。スポーツ消費は文化的、社会的、経済的な要因に影響されるため、多岐にわたる研究や分析が行われています。
人々の物質的な状況の向上と価値観の変化に伴い、スポーツ消費は、単に楽しい経験を追求する快楽的な消費から、自己成長や人生の価値を求める有意義な消費へとシフトしています。有意義なスポーツ消費行動も学者たちの注目を集めています。この研究の主な目的は、個人の価値観の観点から有意義なスポーツ消費行動のメカニズムを探求することです。自己超越の価値観を独立変数とし、チームの認同とユーダイモニックな動機付けを中介変数として、主観的なフィールドパフォーマンスとハイポエゴイックなマインドセットを調整変数として導入し、Kai Guo氏らの研究ではどのように自己超越の価値観が有意義なスポーツ消費行動に影響を与えるかを探求します。中国の910人のアンケートデータに基づく経験的分析の結果、自己超越の価値観は、チームの認同とユーダイモニックな動機付けのチェーン中介的な役割を通じて有意義なスポーツ消費行動に重要な正の影響を与えることが示されました。主観的なフィールドパフォーマンスとハイポエゴイックなマインドセットは、この影響において調整の役割を果たしています。この研究は、スポーツ消費行動の研究を豊かにし、有意義なスポーツ消費行動に関する研究を深化させ、スポーツ消費行動に新しい研究の視点を導入しています。この研究の結果は、スポーツマーケターに対して、消費者を引き寄せ、消費者の定着を増加させるための新しいマネジメントのアイデアを提供しています。

Kai Guo,Zhigang Wang,Lei Zhang andChenya Li,Self-Transcendence Values Influence Meaningful Sports Consumption Behavior: The Chain Mediator of Team Identification and Eudaimonic Motivation,Sustinability.2023

ユーダイモニックな動機と幸福度の関係 ユーダイモニアとヘドニアは、人々が幸福を追求するための異なる動機の二つの源です。
ヘドニックな動機は、人々が楽しさや快楽を追求するために行動する動機のことを指します。これは、快楽や感じることの楽しみを追求し、不快感や苦痛を避けることを目指す動機です。ヘドニックな動機は、一時的な快楽や気持ちの良さを追求することに焦点を当てています。

例えば、美味しい食事を楽しむ、楽しいエンターテインメントを体験する、リラックスするために休息するなど、日常生活の中でさまざまな活動や行動がヘドニックな動機に基づいています。これは一般的に、人々が楽しさや快楽を感じることを重視し、その瞬間の幸福や楽しみを追求する動機です。

ヘドニックな動機は一方で、一時的な快楽や楽しみを追求する一方、持続的な満足感や幸福感を提供するとは限りません。したがって、一時的な楽しみだけでなく、より長期的な幸福や満足感も考慮する必要があります。ヘドニックな動機と対比されるのが、より持続的な満足感や意味を追求するユーダイモニックな動機です。

ユーダイモニックな動機(Eudaimonic Motivation)は、人々が個人的な成長、意味や価値の追求、自己実現を目指して行動する動機を指します。この動機は、単に一時的な快楽や楽しさを追求するだけでなく、より深い意味や満足感を追求することに焦点を当てています。

ユーダイモニックな動機に基づく行動は、個人の成長や発展、人生の目的や価値観の実現、他者との関わりによる満足感などを追求するものです。例えば、自己成長を促進するために新しいスキルを学ぶ、他人のために尽力することで自己実現を追求する、人生の意味や目的を考えることで満足感を得るなどがユーダイモニックな動機に基づく行動の例です。

ユーダイモニックな動機は、一時的な快楽や楽しみだけでなく、個人の成長や発展、深い満足感、個人的な価値や目的の追求を通じて得られる長期的な幸福や満足感を重視します。ヘドニックな動機とは対照的に、ユーダイモニックな動機はより持続的な幸福や人生の満足感を追求するために行動する際の動機を指します。
これまでの研究は、ユーダイモニックな動機がヘドニックな動機よりも幸福を予測する効果が高いことを示唆していますが、その理由はあまり知られていません。

ウジュン氏らの研究は、ユーダイモニズムを重視する人々がなぜより幸福を経験するのかを調査し、二つの幸福動機が人生満足度に影響を与えるメカニズムの違いを比較することを試みています。研究は、中国の19の異なる省から852人の大学生を無作為に選び、ユーダイモニックとヘドニックな動機、意味探求、意味体験、ポジティブな感情、ネガティブな感情、および生活満足度の関係を調べました。構造方程式モデル(SEM)を使用して、幸福動機と生活満足度の間に意味や感情の仲介効果を検証しました。結果は以下の通りです:(1)ユーダイモニックな動機の生活満足度への予測効果はヘドニックな動機よりも高かった。 (2)二つの動機の予測効果の違いは、異なる影響メカニズムによるものでした。ユーダイモニックな動機は意味や意味と感情の組み合わせを通じて生活満足度を促進し、一方、ヘドニックな動機はポジティブな感情を通じて生活満足度を促進しました。ユーダイモニックな動機の多くの中介経路の効果サイズは大きく、方向(肯定的なものと否定的なもの)が一致しており、ヘドニックな動機の効果サイズは小さく、より抑制的な影響がありました。 (3)ユーダイモニックな動機は、意味探求を通じて生活満足度に負の影響を与えましたが、個人が意味体験を高めることでこの負の影響が逆転しました。 (4)ヘドニックな動機はネガティブな感情の低減を予測せず、またネガティブな感情を低減して個人の生活満足度を向上させることもありませんでした。一定の範囲で、この研究の結果は個人の幸福追求の内部メカニズムを反映し、ユーダイモニックな動機がなぜより幸福をもたらすのかの理由を示しており、個人の幸福追求の動機を理解することが非常に重要であることを示唆しています。

Wujun Sun, Lei Liu, Zeqing Zheng, Yuan Jiang & Ping Fang ,Why eudemonia bring more happiness: The multiple mediating roles of meaning of life and emotions, Current Psychology,2022

人々が人生を理解するためのメタファーとは 人生のメタファーとは、人々が日常的な言葉や表現を使って、人生やその意味に関する考えや感情を表現する手法です。これは、複雑な概念や感情をわかりやすく伝えるために使用される比喩的な表現です。例えば、「人生は山登りのようなものだ」という表現は、人生の困難さや挑戦を示すメタファーです。人生の出来事や経験を理解し、共有するために、人々はしばしばメタファーを使用します。

研究や文学、哲学などの分野では、人生や人間の存在に関するメタファーが幅広く使用されています。これらのメタファーは、人々の視点や価値観に影響を与え、深い理解や共感を生み出すのに役立ちます。また、人生の複雑な側面や感情を捉える手段としても重要です。

アントニオ・クレゴ氏らの研究は、人々が人生を理解するために使用する可能性のあるメタファーのタイプを特定し、人生のメタファーと意味、経験的回避、幸福、およびメンタルヘルスの関係を分析することを目指しています。スペインとラテンアメリカからの合計1536人の個人が、人生メタファーの使用に関する調査に回答し、また人生の意味への感情、経験的回避のレベル、幸福、不安、うつ病、一般的なメンタルヘルスのレベルに関するデータも収集されました。

探索的因子分析と確認的因子分析を用いて、2つの独立した人生メタファーのタイプが特定されました。すなわち、幸福なメタファー(例:人生は宝物)と不確実性のメタファー(例:人生は迷路)です。さらに、フィクション(例:人生は舞台劇、夢)や閉じ込め(例:人生は刑務所)といった他の複雑なメタファーが、幸福な次元や不確実性の次元と関連して分析されました。

幸福なメタファーは、幸福感と意味の水準が高く、経験的回避、不安、うつ病、およびメンタルヘルスの問題のレベルが低いことが示されました。逆に、不確実性のメタファーは、幸福感と人生の意味が低く、経験的回避が高く、メンタルヘルス症状が存在することが示されました。これらの結果は、臨床的文脈では、メタファーが心理的問題の注目すべき指標であると同に、介入の興味深いツールとなる可能性があるという考えと一致しています。

Antonio Crego, José Ramón Yela, Rita Ozores-Pérez, Pablo Riesco-Matías & María Ángeles Gómez-Martínez ,Eudaimonic and Uncertainty Metaphors About Life are Associated with Meaningfulness, Experiential Avoidance, Mental Health and Happiness, Journal of Happiness Studies ,2022

オランダにおける自己決定理論と動機付け面接法による食事介入例 自己決定理論(Self-Determination Theory, SDT)は、個人のモチベーションや行動の背後にある動機に焦点を当てる心理学的な理論です。SDTによれば、自己決定的なモチベーションは、外的な制御よりも持続的な行動変容をもたらす可能性が高いとされています。モチベーショナル・インタビュー(Motivational Interviewing, MI)は、自己決定的なモチベーションを促進するために使用されるアプローチです。

MIは、個人が自己決定的な動機を強化し、変化を達成するために使用されるコミュニケーション技術の体系です。MIの目的は、個人の変化の意欲や意向を引き出し、自己決定的な動機を高めることです。MIは、個人の自己決定的な動機を強化するために、共感的なコミュニケーション、自己調整、意識の向上、決断の補助などの技術を使用します。

自己決定理論とモチベーショナル・インタビューは、共に個人のモチベーションを向上させ、自己決定的な動機を促進することを目指すアプローチです。これらのアプローチは、行動変容やポジティブな結果を達成するための有用な戦略として、健康分野や行動変容分野で広く利用されています。

ジュール・M・J ・クーマンス氏らの研究では、SDTとMIに基づくウェブベースのコンピュータータイラード介入である「MyLifestyleCoach」が、食事と運動行動を促進するのに効果的かどうかを調査しました。

方法
オランダの成人1142人を対象にした2つのアームの無作為化比較試験を実施しました。介入群と対照群は、基線、6か月、および12か月後にアンケートを完成させました。介入条件の参加者だけがMyLifestyleCoachにアクセスできました。ウェイティングリストの対照群は、12か月後のアンケートを完了した後に介入にアクセスできました。修正された食品周波数アンケートは、食事行動(果物、野菜、魚、および不健康なスナック)を測定するために使用されました。オランダ健康評価短縮アンケートは、中程度から激しい運動(MVPA)の週間分数を測定するために使用されました。使用データは、この研究ではセッションの完了として操作化され、ログデータによって客観的に評価されました。2段階の線形混合効果モデルを実行しました。第1ステップでは、条件、時間、潜在的な混乱変数、および参加者のランダムなインターセプトからなるモデルを検討しました。第2ステップでは、相互作用項を追加して、食事とPAの結果に対する介入(時間 × 条件)および使用(時間 × 開始セッションと時間 × 完了セッション)の効果を時間経過にわたって調査しました。

結果
調査結果は、いずれの時間点でも4つの食事行動とMVPAの週間分数において、グループ間に違いがなかったことを示しました。詳細な分析では、介入のオープニングセッションを受講した参加者は、個別のフィードバックを受けたセッションで、果物の摂取量が6か月と12か月で増加する傾向がありました。また、ダイエットモジュールでより多くのセッションを受講した参加者は、6か月後に果物と野菜の摂取量が増加し、12か月後に不健康なスナックの摂取頻度が減少する傾向がありました。

Juul M.J. Coumans, Catherine A.W. Bolman, Anke Oenema, Lilian Lechner ,The effects of a web-based computer-tailored diet and physical activity intervention based on self-determination theory and motivational interviewing: A randomized controlled trial,Internet Interventions2022

サルコペニアの改善に向けたウェアラブル端末などの導入成果の一例 サルコペニアは、高齢者において筋肉量や筋力の低下が進行的に起こる状態ですが、その影響はさまざまな側面に及びます。以下にサルコペニアの主な問題点を挙げてみましょう

機能障害:サルコペニアによって筋肉量と筋力が低下するため、日常生活動作(ADL)や運動能力が減少し、高齢者の生活の質が低下する可能性があります。

虚弱:サルコペニアは虚弱状態のリスクを増加させる要因となります。虚弱は身体の脆弱性が高まる状態であり、外傷や疾患による合併症のリスクが増加します。

転倒と骨折のリスク:筋肉量の低下はバランスや身体の安定性を悪化させるため、転倒や骨折のリスクが高まります。

独立性の喪失:サルコペニアが進行すると、高齢者の独立性が減少し、自己介助や介護の必要性が増加する可能性があります。

代謝の変化:筋肉はエネルギー消費の主要な部位であり、筋肉量の低下によって基礎代謝率が低下する可能性があります。これによって体脂肪の蓄積が進み、肥満や代謝疾患のリスクが高まることがあります。

炎症と免疫機能の低下:サルコペニアは炎症の状態とも関連しており、免疫機能の低下を引き起こす可能性があります。これによって感染症への感受性が高まることが考えられます。

低い生活の質:サルコペニアによって身体的な制約や不快感が増加し、高齢者の生活の質が低下する可能性があります。

これらの問題点から、サルコペニアの予防や管理は高齢者の健康と生活の質を維持するために重要な課題とされています。適切な運動や栄養の改善、適切な医療アプローチなどが必要とされています。

座位中心の生活は、サルコペニア・フレイルと関連性が高く、座っている時間を減少させることと、座っている時間を断続的に破ることが介入対象として挙げられます。ブルネル大学ロンドンのDaniel P. Bailey氏らは、虚弱な高齢者における座っている時間の減少と断続的な破壊を通じてサルコペニアと独立した生活の改善を評価するランダム化比較試験(RCT)を実施することの可行性、安全性、受け入れ可能性を調査しました。

方法
この混合方法のランダム化比較可能性試験は、65歳以上の非常に軽度または軽度の虚弱を有する地域在住の高齢者60人を募集します。基準値測定後、参加者はFrail-LESS(Frailな高齢者における座っている時間とサルコペニアの緩和)介入を受ける群と、6ヶ月間の対照群(通常のケア)に無作為に割り当てられます。Frail-LESSは、座っている時間に関するカスタマイズされたフィードバック、過剰な座っている時間の健康リスクに関する情報、支援された目標設定とアクションプランニング、不活動時間を追跡し動くためのアラートを提供する装着型デバイス、健康コーチング、および同じ状況の仲間支援から成る遠隔提供の介入です。可行性は、募集、保持率、データ補完率を評価します。プロセス評価により、介入の受け入れ可能性、安全性、および試験の信頼性が評価されます。次の評価は、基準値、3ヶ月、6ヶ月で行われます:太ももに着用するactivPAL4デバイスを使用した座っている時間、立っている時間、歩いている時間、サルコペニア(握力、筋肉量、身体機能を通じて)、気分、幸福感、生活の質。

議論
本研究は、虚弱な高齢者におけるサルコペニアと独立した生活の改善を支援するための座っている時間を減少させるための遠隔介入の評価の可行性、安全性、受け入れ可能性を決定します。研究結果に基づいて、介入の効果を決定するための将来の明確なRCTが計画されるでしょう。

Daniel P. Bailey, Cherry Kilbride, Jamie H. Harper, Christina Victor, Marsha L. Brierley, David J. Hewson & Angel M. Chater ,The Frail-LESS (LEss Sitting and Sarcopenia in Frail older adults) intervention to improve sarcopenia and maintain independent living via reductions in prolonged sitting: a randomised controlled feasibility trial protocol, Pilot and Feasibility Studies ,2023

地中海諸国における食事の健康行動動機付け 地中海料理は、健康に対する多くのメリットを提供することで知られています。以下にその主な健康上のメリットをいくつか挙げてみましょう。

心血管健康の促進:地中海食は、オリーブオイルを主要な脂質源として使用することが特徴的です。オリーブオイルはモノ不飽和脂肪酸を豊富に含み、心血管の健康を促進し、LDLコレステロール(悪玉コレステロール)の低下や動脈硬化のリスク軽減に寄与します。

抗酸化作用:地中海食には、野菜、果物、ナッツ、種子、および一部のハーブが豊富に含まれています。これらの食品は抗酸化物質を提供し、細胞への酸化ストレスを減少させる効果があります。

炎症の軽減:地中海食は、オメガ-3脂肪酸を多く含む魚介類を含みます。これにより、炎症を軽減し、慢性炎症関連の疾患のリスクを低減する効果があります。

魚介類の利点:地中海食には、魚介類(特にサーモン、マグロ、サーディンなど)が頻繁に含まれます。これにより、心臓の健康を支援するオメガ-3脂肪酸を摂取できます。

高食物繊維摂取:地中海食は、野菜、果物、全粒穀物を含む食材を使用します。これにより、食物繊維の摂取が増え、腸の健康を維持し、消化機能を改善します。

糖尿病の管理:地中海食は、低GI(グリセミック指数)の食材を含み、血糖値の急激な上昇を抑制する効果があります。これにより、糖尿病の管理に役立ちます。

食品の多様性:地中海食は多くの種類の食材を組み合わせて使用するため、栄養バランスが取れた食事を提供します。

心理的な健康への影響:地中海食は、社交的な食事の概念と結びついており、食事を楽しむことが強調されています。これにより、心理的な健康を向上させる効果があります。

地中海食は、これらの健康上のメリットを提供するため、多くの人々に推奨される健康的な食事法の一つです。

Marija Ljubičić氏らの横断研究は、異なる地中海諸国での健康食品への認識と健康行動の動機(Motivation for health behaviour 以下:MHB)を評価することを目的としています。複数の線形回帰を使用して、異なる国々で健康食品の認識とMHBの関連性を特定しました。MHBが最も高かったのはポルトガル(中央値 38.0;IQR 7.0)であり、最も低かったのはギリシャ(中央値 34.0;IQR 8.0)でした。ポルトガルの回答者と比較して、クロアチア(ß=0.35;p < 0.001)、エジプト(ß=0.24;p < 0.001)、およびギリシャ(ß=0.10;p < 0.001)の回答者は、健康食品へのより良い認識の可能性が高かったです。スロベニアの回答者は健康食品への認識(ß=-0.10;p < 0.001)とMHB(ß=-0.22;p < 0.001)が低下していましたが、健康的な食事の遵守度は高かった(ß=0.22;p < 0.001)。身体運動などのライフスタイル習慣は、MHB(ß=0.14;p < 0.001)および健康食品の遵守度(ß=0.18;p < 0.001)と弱い関連がありました。多くの慢性疾患の存在は、MHBとの関連が否定的でした。異なる国々での健康食品への認識、MHB、バランスの取れた健康的な食事への遵守度の関連は、健康的な食事の促進と慢性疾患の予防のための戦略の実施に役立つ可能性があります。

Marija Ljubičić , Marijana Matek Sarić , Ivo Klarin , Ivana Rumbak , Irena Colić Barić , Jasmina Ranilović , Ayman EL-Kenawy , Maria Papageorgiou , Elena Vittadini , Maša Černelič Bizjak , Raquel Guiné,Motivation for health behaviour: A predictor of adherence to balanced and healthy food across different coastal Mediterranean countries,Journal of Functional Foods,2022

脳の報酬系と腸管ホルモンの関連性 腸管ホルモンが報酬系を調節する可能性が示唆されています。
食欲調節と報酬系: グレリンは主に胃の空腹を感知して分泌されるホルモンであり、食欲を刺激します。報酬系とも関連しており、特に食物や快楽的な刺激によって活性化される報酬系の一部が関与します。報酬系の中でも、脳内の多くの領域や神経伝達物質(主にドーパミン)が食欲と快感の制御に関与しています。グレリンの分泌が増加することで、報酬系の一部が刺激され、食欲を高める影響があるとされています。

食事の報酬的側面:食事そのものも報酬的な側面を持ちます。食べ物の味や見た目、食事の満足感などは、報酬系と関連する脳の領域に影響を与えます。グレリンの分泌は食事の前や食事の間に増加するため、これが食事を報酬的な体験と関連付ける要因となる可能性があります。

Corinna Schulz氏らは、タスク型機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を使用して測定された報酬反応とグレリン(Ncomb = 353、18の対照)の正の関連およびGLP-1(Ncomb = 258、12の対照)の負の関連を報告する研究の多層カーネル密度メタ分析を行いました。次に、系統的な文献レビューを行い、異なる報酬フェーズと臨床集団の応用に焦点を当て、研究間の変動の要因を特定しました。前臨床研究と一致する結果として、私たちは、グレリンが報酬反応を増加させることを示す結果を得ました。報酬回路の重要なノードである、報酬系の中核部、線条体、パリジェノーディグロ、黒質、腹側被蓋野、および背側中間扁桃核などで増加していることが示されました。一方、GLP-1に関しては、報酬反応の低下を支持する十分な収束を見つけることはできませんでした。代わりに、系統的なレビューにより、GLP-1が予期される報酬反応と実際の報酬反応の違いが示唆されました。利用可能な研究の系統的な総合に基づいて、腸内の循環ペプチドが報酬反応に対する神経調節の可能性を支持する十分なエビデンスがあると結論づけられました。臨床的な応用のためにその可能性を開くために、今後の研究は予期される報酬だけでなく、他の報酬の側面を対象とすることが有用であるかもしれません。

Corinna Schulz, Cecilia Vezzani , Nils B. Kroemer,How gut hormones shape reward: A systematic review of the role of ghrelin and GLP-1 in human fMRI,Physiology & Behavior,2023

リソースアドバンテージ理論とCSRの動機 リソースアドバンテージ(R-A理論)は、ビジネスとマーケティングのコンセプトであり、企業が競争優位性を確立するために持っている資源と能力の組み合わせを指します。このコンセプトは、ジャック・ハイツ(Jack M. Houts)とダニエル・ジェニー(Daniel D. Jensen)によって提唱されました。

リソースアドバンテージ理論は、企業の成功と競争優位性が、その持つリソース(資源)の性質、質、量、効率的な活用、そして競争相手との比較によって形成されると主張しています。企業が持つリソースは、物理的なもの(設備、技術、製品)、人的なもの(スキル、知識、経験)、組織的なもの(ブランド、カルチャー、ネットワーク)など多岐にわたります。

リソースアドバンテージの概念は、以下の要素に焦点を当てています:

Value(価値): リソースがどれだけ顧客や市場に価値を提供できるかが重要です。
Rarity(希少性): 他の企業と比較して、リソースが希少であることが競争上の優位性をもたらします。
Inimitability(模倣困難性): 競合他社に容易に模倣されないリソースが重要です。
Substitutability(代替可能性): 他のリソースで代替可能な程度が影響を与えます。
リソースアドバンテージ理論は、企業のリソースと能力を最大限に活用して、競争優位性を構築するための枠組みを提供します。これにより、企業は市場での地位を強化し、持続可能な成功を実現することが期待されます。

リソースアドバンテージ(R-A)理論に基づき、Jared M. Hansen氏らは市場指向と財務指向の関連性と、異なる企業のCSR(企業の社会的責任)への取り組み動機との関連性を調査しています。また、異なるCSRの動機が、財政的競争力と内部顧客フォーカス(従業員の士気)の違いと関連しているかどうかも検証しています。257社の企業データを分析しました。

結果は、より市場志向の高い企業は、CSRへの取り組みを以下の動機によるものとして行っています:(a)善行の動機(正しい道徳的な選択)および/または(b)効果的な動機(従業員や顧客への善意、競争優位性の獲得)。一方、より財務志向の企業では関係が逆転しており、(a)効果的な動機および/または(b)効率的な動機(他の企業もやっている、法的規制回避、エネルギーコストの上昇を避ける)に焦点を当てていますが、(c)善行の動機には焦点を当てていません。最後に、善行と効果的な動機は従業員の士気向上と関連しており、これらは価値のある内部マーケティングツールとなります。一方、効率的な動機は財政的競争力の向上と関連しています。

Jared M. Hansen, Robert E. McDonald, Hunter Hatfield,Exploring market orientation versus finance orientation effects on perceived CSR motivations and outcomes using resource-advantage (R-A) theory,Journal of Business Research,2023

ナッジが座りっぱなしの行動を減らすために使われた結果に関するレビュー ナッジ理論(Nudge theory)は、行動経済学や行動科学の枠組みを基にして、人々の行動を影響するための方法を提供する理論です。この理論は、人々の選択や行動を助けるために、環境やコンテキストを微妙に変えることで、望ましい結果を導き出そうとするアプローチです。ナッジとは「そっと押す」「ちょっとした助言」といった意味で、人々の意思決定に影響を与えるために軽い刺激や仕掛けを行う手法を指します。

ナッジ理論の主なアイデアは、人々の行動はしばしば自動的で反射的に行われることがあり、簡単な環境の変化によってその行動が影響を受ける可能性がある、という点です。ナッジは人々に選択肢を提示し、望ましい選択を促進する方法として用いられます。例えば、健康的な食事を選ぶように促すために、食堂で野菜が目立つ場所に配置する、食事のカロリー表示を表示するなどが挙げられます。

ナッジの目的は、人々が自分自身の意志で選択する自由を保ちつつ、より健康的な選択や望ましい行動を行うことを助けることです。政府や組織は、ナッジを利用して市民や顧客の健康、環境、金融などの様々な領域におけるポジティブな行動を促進するために活用しています。

リチャード・セイラーとキャス・サンステインによって提唱されたこの理論は、その後、行動経済学や行動科学の研究分野で広く受け入れられ、政策立案や市場戦略の分野で実用化されています。
職場の健康促進においても、ナッジを活用してアクティブな日常をサポートするためにますます注目されています。Sarah Forberger氏らによるスコーピングレビューの目的は、職場の健康促進においてナッジがどれくらい頻繁に適用されているか(a)分析し、身体活動を増やすとともに、座っている時間を減少させるためにナッジがどのように使われているか(b)使用されたナッジを明らかにすることです。

2009年から2020年6月までの期間について、システマティックなデータベース検索が行われました。予め定義された選択基準に従い、ナッジを使用して身体活動を促進し、または座っている時間を減少させるための研究が含まれました。ナッジはMINDSPACEとTIPPMEに従って分類されました。研究プロトコルは以前に公表されています。

256の研究の中で、26がナッジを使用しました。ほとんどの研究はヨーロッパ(n = 12)とアメリカ(n = 8)で実施されました。18の研究が身体活動を対象とし、8つの研究が座っている時間を対象としました。身体活動を促進するためのほとんどの研究では、階段を登るよう促す方法が使用されました(n = 11)。座っている時間を減少させるための介入は多様で、デジタル介入やミックスアプローチが使用されました(n = 8)。

ナッジは身体活動を増加させ、座っている時間を減少させるのに役立ちますが、効果的かつ効率的に使用するためのまだ課題があります。介入期間を超えて習慣化と行動変化を分析する長期的な研究が不足しています。また、デジタルおよびミックスアプローチの潜在能力はまだ十分に活用されていません。異なる気候や労働条件を持つ低所得および中所得国からのさらなる研究が必要であり、身体活動不足への対抗を進めるためのアプローチの実行可能性を調査する必要があります。

Sarah Forberger, Frauke Wichmann, Chiara Nicoletta Comito ,Nudges used to promote physical activity and to reduce sedentary behaviour in the workplace: Results of a scoping review,Preventive Medicine,2022

思春期における身体的と心理、社会的健康との関係 思春期は成長段階であり、身体的な変化だけでなく、アイデンティティの形成、対人関係、自己評価などの心理的な側面でも大きな変動が起きる時期です。心理的健康は、以下の要素に影響を受けることがあります。

感情的健康:思春期は感情の変動が激しくなる時期であり、ストレス、不安、うつ症状などの問題が増加する可能性があります。適切な感情の認識とコントロールを学ぶことが重要です。

社会的健康:対人関係や友情の変化が思春期には顕著であり、社会的な調整が必要です。仲間への帰属感や社会的サポートを得ることが心理的健康に寄与します。

アイデンティティの発達:思春期は自己のアイデンティティを形成する時期であり、自己評価や自己認識が重要です。自分自身を理解し、受け入れるプロセスが心理的健康に影響を与えます。

ストレスとコーピング:思春期は学業、友情、家庭などのさまざまなストレス要因に直面することが多い時期です。適切なコーピング戦略を身につけ、ストレスをうまく処理することが必要です。

身体的健康:身体的な変化が心理的健康にも影響を与えることがあります。十分な睡眠、バランスの取れた食事、適切な運動などが心身の健康に寄与します。

Barbara Franca Haverkamp氏らによる研究の目的は、身体的フィットネスと体組成の両方が思春期(12〜15歳)の心理社会的健康との関係を調べることでした。データは2019年から2020年にかけて、361人のオランダの思春期の代表的なサンプル(男子46.3%、年齢=13.44±0.43歳)で収集されました。身体的フィットネスと体組成は、心肺フィットネス(20mシャトルランテスト)、筋力フィットネス(ブロードジャンプとシットアップ)、速度・敏捷性(10x5mシャトルランテストとファーストタッピングテスト)、および体組成(ボディマス指数)のサブテストによって評価されました。心理社会的健康は4つの領域で評価されました:自己概念(思春期の能力体験尺度)、うつ症状(子供のうつ病指標)、不安(状態・特性不安指標)、およびADHD(ADHD症状の強みと弱み)。MLwinで多層回帰分析が実施されました。結果は、心肺フィットネスが良いほど自己概念が向上し(β = 0.225、p < 0.001)、うつ症状が少なくなる(β = −0.263、p = 0.003)、状態不安(β = −0.239、p = 0.008)および特性不安(β = -0.232、p = 0.008)が低くなることを示しました。さらに、BMIが高いほど自己概念が低くなる関連がありました(β = -0.075、p = 0.019)。全体として、結果は心肺フィットネスと痩せた体組成が自己概念とポジティブな関係を持ち、心肺フィットネスがうつ症状と不安症状が少なくなる関連があることを示唆しています。

年齢に対するネガティブな認識が、老化を進める!? 老化は生物学的なプロセスであり、時間の経過とともに体の様々な機能が変化していきます。老化は避けられないものであり、誰もが年を重ねるにつれて経験する過程です。年齢に対するネガティブな認識や健康の衰退を老化のせいにする見方を持つ人々は、健康促進行動を少なく行う傾向があります。Josephine A. Menkin氏らの研究は、老化に関する見解に対処する簡潔な反老化メッセージの介入が、シニアセンターでの身体活動への参加を促すかどうかを検証しました。50歳以上の参加者(n = 349;平均年齢 = 72、標準偏差 = 9)が7つのセンターで集まり、老化の見解に対処する異なるアプローチの3つの介入メッセージのいずれかを読んだり、メッセージを読まずにさまざまなセンタープログラム(身体活動を含む)への参加の可能性を評価したりする前に、ランダムに割り当てられました。多層回帰モデルの結果は、72歳以上の参加者の中で、介入が身体活動への参加意欲をコントロールグループと比較して増加させたことを示しています。3つの反老化メッセージは同様に効果的であり、フレームを柔軟に調整できることを示唆しています。結果は、反老化メッセージが高齢者の身体活動の促進において、拡大可能で低コストなアプローチである可能性を示しています。

Josephine A. Menkin , Jennifer L. Smith and Joseph G. Bihary,Brief Anti-Ageism Messaging Effects on Physical Activity Motivation Among Older Adults,Journal of Applied Gerontology,2020

普及する遺伝子検査。実施後の人々の変化とは 一般の個人が遺伝子情報を解読するために民間の遺伝子検査会社を利用するサービスが急増しています。これらの検査は、個人のDNAサンプル(通常は唾液または口腔内の細胞)を提供し、そのDNA中の特定の遺伝子領域を解析することによって、遺伝的情報や特定の遺伝的傾向を明らかにします。遺伝的情報を基に健康的な生活習慣や食事アドバイスを提供することがあります。

消費者向けの遺伝子検査(GT)の広範な普及にもかかわらず、臨床的な状態に対する遺伝的感受性を学んだ人々がその行動を変えるか、およびその心理的要因はまだ不明です。そこで、欧州腫瘍学研究所のオリヴェリ氏らは、イタリアのGT利用者のサンプルを対象に、健康に関連する選択肢、個人の傾向、リスク志向の長期的な変化を調査しました。Mind the Risk研究の枠組みで、イタリアの大人のサンプルが私立研究所でGTを受けたものを調査し、99人のクライアントがフォローアップ評価に参加しました。彼らは以下の項目を調査する自己記入式の質問紙に回答しました:(a) 臨床的経歴と検査の動機、(b) ライフスタイルとリスク行動、(c) 健康への個人的な傾向、および (d) リスク志向とリスク耐性。これらの変数は3つの異なる時点で測定されました:T0—GT前、T1—遺伝子結果後6か月、T2—結果後1年。結果は、GT結果後に自分の行動を変える意向を示した参加者は、実際に時間の経過とともにその行動を変える傾向があることを示しました。この結果は、陽性または陰性のテスト結果を受けた参加者の両方に当てはまりました。一般的に、より健康的な食事が最もよく観察された長期的な行動変化でした。心理的な変数に関しては、リスク志向の態度やリスク耐性は、ライフスタイルを変える決定に影響を与えないようでした。最後に、時間の経過とともに全体的に健康に対する不安や心配が減少していることがわかりましたが、健康の促進や予防の動機、健康評価、将来の健康に対する前向きな期待も減少していることがわかりました。

Serena Oliveri, Clizia Cincidda, Giulia Ongaro, Ilaria Cutica, Alessandra Gorini, Francesca Spinella, Francesco Fiorentino, Marina Baldi & Gabriella Pravettoni,What people really change after genetic testing (GT) performed in private labs: results from an Italian study, european journal of human genetics ,2022

学童期の運動不足とmHealthによる介入結果 学童は学校のカリキュラムや学習活動、デジタルデバイスの使用などに時間を費やすことが増えるため、外での活動や運動の機会が減少し、身体活動量が不足することがあります。運動不足は健康に悪影響を及ぼす可能性があり、肥満や健康問題のリスクが高まることが指摘されています。運動不足の解決策としては、学校や保護者、地域などが協力して運動機会を提供し、健康な生活習慣を促進する取り組みが行われています。

Hannes Baumann氏らは、不十分な運動(IPA)と座っている時間(SB)は、個別化されたモバイルヘルス(mHealth)介入のための関連する行動変容領域として調査を行っています。

目的:
このレビューとメタ分析は、mHealth介入がIPAとSBに及ぼす効果を調査し、特に年齢と個別化レベルに焦点を当てました。

方法:
PubMed、Scopus、Web of Science、SPORTDiscus、およびCochrane Libraryで、2000年1月から2021年3月までの無作為化試験を検索しました。IPAとSBに関連する行動変容に取り組む子供と思春期の予防を対象としたmHealth介入が含まれています。内容特性と方法論的品質を比較し、要約しました。さらに、年齢と個別化のレベルが全体的な効果に及ぼす影響を探る探索的なメタ回帰を行いました。

結果:
選定基準に基づいて、初めに特定された研究の1.3%(11/828)が qualitativeness synthesis に含まれ、1.2%(10/828)がメタ分析に含まれました。試験には合計1515人(平均年齢11.69、SD 0.788歳;男性65%、女性35%)が含まれており、自己報告(3/11、27%)またはデバイス測定(8/11、73%)の健康データを、平均9.3(SD 5.6)週間の間に座っている時間と運動時間に関して提供しました。個別化のレベルが高い研究は、不十分な運動のレベルを有意に減少させました(Cohen d = 0.33、95% CI 0.08-0.58、Z = 2.55、P = 0.01)。一方で、個別化のレベルが低い研究(Cohen d = -0.06、95% CI -0.32 to 0.20、Z = 0.48、P = 0.63)またはSBを対象とした研究(Cohen d = -0.11、95% CI -0.01 to 0.23、Z = 1.73、P = 0.08)は、全体的に有意な効果は示しませんでした。研究の異質性は中程度から低く、個別化のレベルが高い試験と低い試験の間で有意な亜群の違いが見られました(χ21 = 4.0、P = 0.04、I2 = 75.2%)。モデレータ変数としての年齢は小さな効果を示しましたが、結果は有意ではなく、結果は十分なパワーがない可能性があります。

結論:
証拠は、mHealth介入が子供と思春期の若者のIPAを適度に減少させる可能性があることを示唆していますが、SBには効果が見られません。さらに、IPAを減少させるための個別化されたmHealth介入は、子供よりも思春期の若者に対して効果的であるようです。今のところ、mHealth研究は無活動で座っている若者に取り組んでいるものはほんのわずかで、その証拠の質は中程度ですが、これらの結果は個別化の重要性とmHealth介入によるSBの減少の難しさを示しています。

Hannes Baumann, Janis Fiedler Author Orcid,Kathrin Wunsch , Alexander Woll,Bettina Wollesen,mHealth Interventions to Reduce Physical Inactivity and Sedentary Behavior in Children and Adolescents: Systematic Review and Meta-analysis of Randomized Controlled Trials,JMIR mHealth and uHealth,2022

身体活動レベルを上げるための動機付けに関する一考 身体活動レベルが低い状態は、様々な健康リスクを引き起こす可能性があります。具体的なリスク要因や影響は以下の通りです。

肥満:身体活動が不足するとエネルギー消費が減少し、カロリーが蓄積しやすくなります。これが肥満のリスクを高める要因となります。

心血管疾患:運動不足は心臓や血管の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。高血圧、高コレステロール、動脈硬化などのリスクが増加します。

糖尿病:身体活動不足はインスリンの効果を低下させ、糖尿病の発症リスクを増加させる可能性があります。

骨密度の低下:適切な身体活動がないと骨密度が低下し、骨折のリスクが上がることがあります。

精神的健康の悪化:運動不足はうつ病や不安障害などの精神的健康問題を引き起こす可能性があります。

高リスク行動の増加:運動不足はストレスの対処方法としての飲酒や喫煙などの高リスク行動の増加を促すことがあります。

免疫機能の低下:運動不足は免疫機能を低下させ、感染症にかかりやすくなる可能性があります。

寿命の短縮:長期間にわたり身体活動が不足していると、健康リスクが累積し、寿命が短縮する可能性があります。

これらのリスクを軽減するためには、適切な運動習慣を取り入れることが重要です。定期的な身体活動は健康を維持し、様々な疾患のリスクを低減する役割を果たします。スマートフォンを通じて提供される身体活動介入は、ユーザーが身体活動を維持または増加させるのに役立ちますが、その結果はまちまちです。

目的
カリフォルニア大学のフィゲロア医学博士氏らの研究では、日々のモチベーション向上とフィードバックテキストメッセージの送信が、学生集団の日々の身体活動の変化に与える影響を、マイクロランダム化クリニカルトライアルにて評価しました。

方法
「DIAMANTE」という身体活動アプリを6週間使用した93人の参加者を対象にしました。毎日、スマートフォンの歩数計は参加者の歩数を自動的にトラッキングしました。認知行動フレームワークに基づいた異なるタイプのモチベーションメッセージと歩数のフィードバックを、マイクロランダム法により送信しました。一日から次の日への歩数の変化に対するフィードバックとモチベーションメッセージの効果を検証するために、一般化推定方程式モデルを使用しました。

結果
テキストメッセージの送信(任意のメッセージ)と送信しない場合を比較すると、最初の段階では日々の歩数が増加しました(729歩、p = 0.012)。ただし、この効果は時間の経過とともに減少しました。各テキストメッセージカテゴリを個別に評価する多変量解析では、最初の肯定的な効果はモチベーションメッセージによるもので、効果はわずかで傾向として有意(717歩、p = 0.083)でしたが、フィードバックメッセージには効果がありませんでした(-276歩、p = 0.4)。

認知行動フレームワークに基づいたモチベーション向上の身体活動テキストメッセージの送信は、歩数の増加に対して初めは肯定的な効果を持つ可能性がありますが、時間の経過とともに効果が減少します。テキストメッセージ介入の身体活動への効果を向上させるために、個別最適化が検討される必要があると結論付けられています。

Caroline A Figueroa, MD, PHD, Nina Deliu, MSc, Bibhas Chakraborty, PhD, Arghavan Modiri, Msc, Jing Xu, PhD, Jai Aggarwal, MSc, Joseph Jay Williams, PhD, Courtney Lyles, PhD, Adrian Aguilera, PhD,Daily Motivational Text Messages to Promote Physical Activity in University Students: Results From a Microrandomized Trial ,Annals of Behavioral Medicine,2022